認知症の母親の話です。
前回、働こうとしている母親の話を書きました。その後日談です。

またも母親の就職セット(カバンと風呂敷包み)が用意されており、いつでも出掛ける準備ができていたそうです。

気づいた姉は、「お母さんは年金を十分もらっているよ」と話をしたそうですが、母親の世界では年金はないということになっていて、話が通じません。通帳を見せてもらっている証拠を見せても無駄でした。

そこで姉は質問を変え、会社の定年は60か65歳ですが、お母さんはおいくつですか?と聞くと、77?と言いながら年齢早耳表が書かれた本を開き、81だ…と大変ショックな様子。

その体勢のまま「もう81なので○○では働けないです。髪の毛も真っ白だし…」と悲しげな独り言でがっかりしていたそうな。

ここまでやるのは、ちょっと強引かもしれませんが、姉も父親の入居準備で忙しく外出しがちですので、母が勝手に出掛けてよそ様に迷惑をかけてはいけないと思ってしたことだと思います。
実際、母親は以前銀行とトラブルを起こしていますので…。

認知症の相手には、説得するより納得させることが大切と言われています。僕は納得させるためには多少の嘘をついても仕方ないと思っています。

つづく