出産後の生活に思いを馳せることは大切だけれど、どんなに心構えしても意味がないこともある。
取り越し苦労になるくらいなら、ことが起こってから対処すればよい、ということも往々にしてある。
でもお花畑が過ぎて、出産をゴールにすえていた私は明らかに甘かった。
産んだら何とかなる。
確かに、何とかならなくはないが、きちんと準備した「何とか」と場当たり的な「なんとか」では、心身ともに余裕の度合いが異なるだろう。
もし、現役妊婦ちゃんがこのブログを読んでくれているならば、出産後の24時間、あるいは入院生活について、ぜひとも今から情報収集をして欲しい。
私の産んだ病院は、いわゆる「なんちゃって母乳推進病院」であった。
母乳外来こそあるものの、母子異室、ミルク補足あり、しかもミルクの量は日齢×10ml(だったかな?)という古典的な量。
おやつにケーキが出るわ、こってりお祝い膳は振舞われるわ、最初におっぱいをあげるのは出産後4日目以降だわ(まぁこれは麻酔チューブが背中に入っていたので致し方ない)、
極めつけは全員対象のミルク屋による調乳指導、退院時のお土産はミルク付き&ワイン付き、
1ヶ月検診の栄養相談はミルク屋、と、はりぼて甚だしい病院だった。
でもこれは、この病院が悪いのではない。
(なんちゃって、なところがありすぎて、それは是正されるべきと思うが)
知識がなくてこの病院を選んだ私が悪い。
もうちょっというと、産院を個室の広さと料理のおいしさというおバカなポイントで選んだ私が悪い。
産んだら母乳が出るし、私も母乳で育ったし、まぁ、飲ませれば大丈夫なんでしょ、くらいに思っていたお花畑の日々。
おっぱいが立ち上がるまでにどのくらいの労を要するのか。
1回の授乳にどれほどの時間がかかるのか。
赤ちゃんはどのくらいの頻度でおっぱいを飲むのか。
私には調べていないことが多すぎた。
初乳には多くの免疫成分が含まれていることも。
だから、2時間限定で母子同室になった手術翌日も、ひたすら眠る赤ちゃんをただただ眺めていただけなのである。
おお、何ともったいないことをしてしまったのか。
赤ちゃんへの授乳練習が始まるのは、術後4日目から。
でも、その前に心ある看護師Hさん(私の手術を担当してくれた)が「ちょっとおっぱいくわえさせてごらん」と、ほんの少しだけお乳を飲ませてくれた。
これは、私にとって後の救いとなった。
幸いにして、妊娠中から乳首の手入れだけは一日も欠かさず行っていたので、おっぱいの準備だけはどうやらできていた。
(でもこれがあだになったのか、授乳練習が始まる前におっぱいがメロンみたい(大きさも血管の浮き出ている具合も)腫れてしまい、過呼吸になり、泣きながらナースコールして看護師さんに怒られる事態になるのだが)
でも、おっぱいは赤ちゃんとの共同作業であること、これは抜け落ちていた。
授乳練習の説明をするのは、何と片言の看護師さん(外国の方なのですね)。
実際に指導をしてくれたのは助産師さんだったが、初対面のキャラが強烈すぎて、ちょっとひいてしまう始末。深くくわえさせるために、赤ちゃんの後頸部をぐっと把持するのだが、赤ちゃんがぎゃん泣きして「かわいそう」と思ってしまったのだ(しかも、それを口に出して怒られる私)。
授乳練習中(といっても1時間くらい)にちっともうまく出来るようにならなかった私は(そりゃそうだ)、この強烈助産師Iさんに補習を申し出、夕方に再度指導してもらい、ようやく朧気に分かるようになった。
Iさんはとてもよい方で、介助の合間を縫って、生意気な口をきいてしまった私に懇切丁寧に教えてくれた。
Iさんがいなかったならば、娘は母乳で育てられていなかったかもしれない。
本当にありがとうございました。
ちなみに同じ日に緊急カイザーとなったKさんは、「私にはおっぱいが出ない」と諦めてしまっていた。
さて、この初めての母子共同作業、息が合わないと成功しない。
小鼻と口角が同じ幅=おちょぼ口の娘。
彼女にとって左の乳首は吸いにくいらしく、一緒に大きく口をあけて「あーん、ぱっくん」を果てしなく繰り返した。
最初は乳頭保護器も使っていたが次第に直母できるようになり、退院時には生下時の体重まで回復した。
回復しないと退院させないので、ミルク補足してくださいねと云われていて、本当に必死で2人で頑張った。
今にして思えば、私が自分が考えていたよりも、母乳へのこだわりが強くあったのだ。
お産のイメージをすることは、とても大切だと思う。
帝王切開と決まっても、私は当日まで一応、イメトレを欠かさずにいた。
でも、もっとイメージすべきは、産んだその後だ。
妊婦ちゃん向け雑誌には、産むまでのことしか書いていない。
行政のパパママ教室でも、産むときのことしか教えてくれない。
病院のパパママ教室も然り、だ。
だからこそぜひ、自分で調べて心の準備をして欲しいなぁ、と、赤ちゃんとの対面を心待ちにしている妊婦ちゃんたちに伝えたいのです。