AM4:00 異空間の旅 | がらくた通り3丁目

がらくた通り3丁目

人にとってはまるで無価値。それも一個人の形成には不可欠。自我の源泉をたどる旅。おつきあい頂けたら幸いです。






あらら。もう朝か。
カーテンからこぼれる光に起こされ
枕元に置いてある
スマホで時間を確認するとまだ4時。
このままもうひと眠りと思うものの
なかなか眠れない。

そのまま起きて
まずは部屋の窓を開ける。

開けた瞬間
少しだけ冷たい空気が入り込んできて
朝露の香りが鼻をくすぐる。
なんだか懐かしい気分になる。

これは夏休みの香りだ。

早起きしてというか
朝早く母親に起こされ
スタンプカードを首からぶら下げ
眠い目をこすりながらでかけた近くの公園。
ラジオ体操への道すがら
こんな香りに包まれてたな〜。

昭和なんて今でもすぐそこにあるもんだ。

チュン、チュン
耳に飛び込んでくるのは鳥のさえずりだけ。
人間様はまだ眠っているらしい。
車が走る音もない。
静かだ。
外はこんなにも明るいのに妙な静けさだ。

ここはいったい何処?

時おりサラ、サラ
葉のすれる音がかすかに聞こえる。

自然の息吹に包まれながら
まるで異空間のミゾに迷い込んで
彷徨ってるような気分だ。

なんだかワクワクしてくる。

急いでやかんに火をかけたら
いつものマグカップに
ドリップ・コーヒーをセット。

いれたての熱いコーヒー片手に
玄関をあけ外の空気を思いっきり吸いこむ。

庭に目をやると朝露に濡れた
マイスタージンガーのつぼみが
少し顔を出している。
あと3日もすれば咲きそうだ。

いかん!ウキウキしてきた!
気持ちを抑えるために
コーヒーを体内に流し込む。

とその時だ背後に気配が!

おかしい!まだ人間様は眠ってるはず
一体何者!

ピタ、ピタ、ピタ
振り返るとご老人が犬の散歩をしてた。

は〜。自分も歳なんだな。
庭のバラの剪定やら水をやったりしてるうちに
もう6時になろうとしていた。

ブオ〜ン、ブオ〜ン、
チャリ、チャリ、チャリン
いつの間にか騒々しくなってきた。

ハッ!自分は一体どこへ行ってたんだろう?
ふと我に返る。
異空間の旅から呼び戻されたようだ。

生活音はたった2時間の時空間旅行の
終わりを告げるチャイムだ。
もう少し浸っていたかったな〜。

コーヒーはすっかり冷めていた。