2分の1成人式
1月の終わりに、授業参観があった。
杏菜にとっては、小学校生活で最後の授業参観。
しかし、そこは杏菜。
いつものように親の顔を確認することも、
一瞬もチラリとすることもなく、真剣に算数の授業を受けていたわ。
とりあえず真剣だったので、2分ほど眺めて、
オレの方へと移動した。
オレの方、小4の授業参観は、
「2分の1成人式」をしていた。
個人的に2分の1成人式に関しては
「なんで10歳で祝う必要があるんだ(笑)」と思っている親なので、画伯とふたりで
「とりあえず漣人の面白い顔を拝見しよう」
とワクワクしながら見た。
おそらく、そんな不純な気持ちで2分の1成人式に臨む親は、いない。
会場につくと、姉とは真逆で、
1秒で私たちを発見し、ニヤニヤが止まらないオレ。
ひたすらニヤニヤしている。それを見て、ニヤニヤが止まらない親。気持ちが悪い。
式自体は、
合唱にはじまり、学習発表があり、
最後に、ひとりずつ「将来の夢」を発表する時間になった。
背の大きい順に発表していくので、
ちいさいオレは最後から2番目。
みんなが「パティシエール」「サッカー選手」とどんどん発表していく。
そして、オレの番がきた。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190208/20/peco3118/bf/65/j/o0599108014352717469.jpg?caw=800)
「僕は、農業家になりたいです」
「ひいおばあちゃんに、野菜の作り方を教えてもらいます」
ひたすらニヤニヤしながら、
でも、しっかりと言っていた。
「農業家」という響きに慣れず、画伯とふたり
「農家じゃないのか(笑)」と笑ったが、
いやぁ、漣人らしい夢だなぁと微笑ましくなったよ。
農家になって、野菜をみんなに配って、
ゆくゆくはそれを使って、レストラン開きたいんだもんね。
いつか、父と母、ついでに姉と、
おそらく生きているであろうひいばあさんをそのレストランに呼んでね。