2013年最初のマッチレヴューは、セリエA第19節ユヴェントスVSサンプドリアをチョイスした。コンテが現場に復帰し、首位固めに入りつつあるユーヴェに起こったまさかの出来事・・・。そしてフェラーラ監督でスタートし、下馬評が高かったサンプもいつのまにか15位。後半戦に巻き返せるか。
☆厳しいレフェリングの結果は・・・
前半戦の結論から言うと、ユーヴェはいつも通り試合を支配する事に成功していた。
サンプは相手にボールを持たせないために、相手の3バックにプレスをかけようとしていた。下図のポーリの動きが少々自己的であまり意味が無い。そのせいで自陣に穴を空けてしまう格好となり、ユーヴェが支配する展開となった。
ユーヴェのペースで進んでいた試合は24分、ジョビンコをPA内でベラルディが倒してPKに。これをジョビンコが決めて1-0とユーヴェが先制に成功する。この際にベラルディにはイエローカードが出ているのだが、今日の主審の判定は少々厳しかったように思う。
そして前半31分、ベラルディが2枚目のイエローで退場になってしまう。リードを奪われている状況で、数的不利となる事はすなわちサンプの敗北を意味していた。しかしここから試合は動いていく。
☆数的優位=勝利ではない
サンプの面白かったところは、1人減った10人の状態でも2トップをやめなかった事だ。監督のデリオ・ロッシは3バックを諦め、4-3-2の形に変更した。厳密には4-3-1-1といってもいい。攻撃に望みを繋げようとしたロッシの采配は見事だ。
10人となったサンプは、FWのエデルがピルロを徹底的にマークし、攻撃に関与させない。11人の時には見られなかった光景だが、システムを4-3-1-1に固定した事で守備の安定感が高まった。これもロッシの臨機応変な対応といったところか。
ピルロを抑えられたユーヴェだが、フリーのCB3枚でビルドアップを行えば良い状況である。バルザッリやペルーゾがドリブルで持ちあがるシーンが増える。
しかしここに落とし穴があった。最近のユーヴェはCBの攻め上がりから失点するケースが増えている。ビルドアップの際にボールを奪われ、CB2枚で対応する形となってしまうからだ。この試合では相手が10人になったという事もあり、ユーヴェ全体が攻撃的になってしまっていた。
そして後半7分、一瞬の隙を突かれ、イカルディに同点ゴールを許してしまう。このシーンではラインコントロールが上手く行かず、オフサイドを取り損ねたようにも見えた。
ちなみに、後半よりエスティ→シルヴェストリに代え、ロッシはDFラインを堅くしている。
☆4-2-4への切り替え
数的不利の相手に追いつかれたコンテ率いるユーヴェは、後半16分に動く。デ・チェリエ→ヴチニッチ、マトリ→クアリアレッラに変更。
上図のように4-2-4にシフトする。4-2-4とは、コンテがシエナを率いていた時代に採用していた2トップ+2ウイングという超攻撃的なシステムだ。ユーヴェでも就任当初に試していたのだが、全く機能せずに断念した経緯がある。
そんな4-2-4でコンテは勝ち越しゴールを求めたのだ。しかしこのシステム変更はチーム状況を悪くするばかりだった。左サイドに配置されたジョビンコは自分のポジションを捨て去り、中央で動き続けた。右サイドに入ったポグバは本来ウイングの選手ではない。
その結果攻守のバランスが乱れ、逆に後半24分に失点する運びとなる。
流れは簡単だ。前線の4枚が守備に戻らないため、広大なスペースをピルロとマルキジオで埋める必要がある。しかし相手が10人と油断していたのか、マルキジオはかなり高い位置を取っていた。つまり2CB+ピルロのみで自陣をカバーしようとしていたのだ。数的優位を全く生かせていないユーヴェは、逆にサンプの反撃に遭う形となってしまった。
ユーヴェはウイングを配してはいるが、攻撃の狙いは中央突破である。上図ように何度も中央へのパスをカットされ、サンプのカウンターに繋がっていた。マルキジオも後半途中に足を痛め、交代枠を使い切っていたユーヴェは自ら10対10の形を作り出してしまった。
試合はそのまま終了し、ユーヴェにとっては手痛い1敗となった。
☆まとめ~流れが変わる後半戦~
セリエAは2012年終了間際に予期せぬ出来事があった。ナポリに所属していたGKのマッテオ・ジャネロが3シーズン前に八百長に関わっていたと告白。この告発でナポリは勝ち点2の減点、そしてそれを知りながら報告しなかったという罪で現主将のパオロ・カンナバーロとグラーヴァが9カ月の出場停止となったのだ。
この事件は恐らくマッツァーリ監督にも飛び火し、コンテと同様の処罰を受ける可能性がある。私が今季の優勝候補に挙げたナポリが思わぬ形で失速するハメとなった。
これでユーヴェを追走するのはフィオレンティーナ、インテル、ラツィオの3チームに絞られたと言ってもいいかもしれない。もちろんナポリも3位なので、逆転優勝の可能性は大いにある。しかしチームのゴタゴタを考えれば、ユーヴェと張り合える状態とはいえない。
後半もユーヴェが独走するのか。長友が所属するインテルは付いていけるのか。後半戦に流れが大きく変わりそうな予感だ。
☆厳しいレフェリングの結果は・・・
前半戦の結論から言うと、ユーヴェはいつも通り試合を支配する事に成功していた。
サンプは相手にボールを持たせないために、相手の3バックにプレスをかけようとしていた。下図のポーリの動きが少々自己的であまり意味が無い。そのせいで自陣に穴を空けてしまう格好となり、ユーヴェが支配する展開となった。
ユーヴェのペースで進んでいた試合は24分、ジョビンコをPA内でベラルディが倒してPKに。これをジョビンコが決めて1-0とユーヴェが先制に成功する。この際にベラルディにはイエローカードが出ているのだが、今日の主審の判定は少々厳しかったように思う。
そして前半31分、ベラルディが2枚目のイエローで退場になってしまう。リードを奪われている状況で、数的不利となる事はすなわちサンプの敗北を意味していた。しかしここから試合は動いていく。
☆数的優位=勝利ではない
サンプの面白かったところは、1人減った10人の状態でも2トップをやめなかった事だ。監督のデリオ・ロッシは3バックを諦め、4-3-2の形に変更した。厳密には4-3-1-1といってもいい。攻撃に望みを繋げようとしたロッシの采配は見事だ。
10人となったサンプは、FWのエデルがピルロを徹底的にマークし、攻撃に関与させない。11人の時には見られなかった光景だが、システムを4-3-1-1に固定した事で守備の安定感が高まった。これもロッシの臨機応変な対応といったところか。
ピルロを抑えられたユーヴェだが、フリーのCB3枚でビルドアップを行えば良い状況である。バルザッリやペルーゾがドリブルで持ちあがるシーンが増える。
しかしここに落とし穴があった。最近のユーヴェはCBの攻め上がりから失点するケースが増えている。ビルドアップの際にボールを奪われ、CB2枚で対応する形となってしまうからだ。この試合では相手が10人になったという事もあり、ユーヴェ全体が攻撃的になってしまっていた。
そして後半7分、一瞬の隙を突かれ、イカルディに同点ゴールを許してしまう。このシーンではラインコントロールが上手く行かず、オフサイドを取り損ねたようにも見えた。
ちなみに、後半よりエスティ→シルヴェストリに代え、ロッシはDFラインを堅くしている。
☆4-2-4への切り替え
数的不利の相手に追いつかれたコンテ率いるユーヴェは、後半16分に動く。デ・チェリエ→ヴチニッチ、マトリ→クアリアレッラに変更。
上図のように4-2-4にシフトする。4-2-4とは、コンテがシエナを率いていた時代に採用していた2トップ+2ウイングという超攻撃的なシステムだ。ユーヴェでも就任当初に試していたのだが、全く機能せずに断念した経緯がある。
そんな4-2-4でコンテは勝ち越しゴールを求めたのだ。しかしこのシステム変更はチーム状況を悪くするばかりだった。左サイドに配置されたジョビンコは自分のポジションを捨て去り、中央で動き続けた。右サイドに入ったポグバは本来ウイングの選手ではない。
その結果攻守のバランスが乱れ、逆に後半24分に失点する運びとなる。
流れは簡単だ。前線の4枚が守備に戻らないため、広大なスペースをピルロとマルキジオで埋める必要がある。しかし相手が10人と油断していたのか、マルキジオはかなり高い位置を取っていた。つまり2CB+ピルロのみで自陣をカバーしようとしていたのだ。数的優位を全く生かせていないユーヴェは、逆にサンプの反撃に遭う形となってしまった。
ユーヴェはウイングを配してはいるが、攻撃の狙いは中央突破である。上図ように何度も中央へのパスをカットされ、サンプのカウンターに繋がっていた。マルキジオも後半途中に足を痛め、交代枠を使い切っていたユーヴェは自ら10対10の形を作り出してしまった。
試合はそのまま終了し、ユーヴェにとっては手痛い1敗となった。
☆まとめ~流れが変わる後半戦~
セリエAは2012年終了間際に予期せぬ出来事があった。ナポリに所属していたGKのマッテオ・ジャネロが3シーズン前に八百長に関わっていたと告白。この告発でナポリは勝ち点2の減点、そしてそれを知りながら報告しなかったという罪で現主将のパオロ・カンナバーロとグラーヴァが9カ月の出場停止となったのだ。
この事件は恐らくマッツァーリ監督にも飛び火し、コンテと同様の処罰を受ける可能性がある。私が今季の優勝候補に挙げたナポリが思わぬ形で失速するハメとなった。
これでユーヴェを追走するのはフィオレンティーナ、インテル、ラツィオの3チームに絞られたと言ってもいいかもしれない。もちろんナポリも3位なので、逆転優勝の可能性は大いにある。しかしチームのゴタゴタを考えれば、ユーヴェと張り合える状態とはいえない。
後半もユーヴェが独走するのか。長友が所属するインテルは付いていけるのか。後半戦に流れが大きく変わりそうな予感だ。