シーズン開幕前の予想通り、首位攻防戦の形で迎えたマンチェスター・ダービー。勝ち点36で首位のユナイテッドと、同33で2位のシティの対決。どちらも万全の状態とは言えない中で迎えたダービーは、果たして・・・。

☆悪しき状態

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この試合を簡単に総括すると、そんなに質の高い試合ではなかった。今季のユナイテッドは自慢の守備が崩壊し、前節も格下のレディングと4-3という派手な打ち合いを演じている。お得意のゲームコントロールが上手く行かず、ファーガソンも満足していない様子。

一方のシティも、CLで1勝も出来ずにグループを去るなど、決してチーム状態が良いとは言い切れない。カンフル剤として未だ1ゴールしか挙げていないバロテッリを起用しているが、効き目はあるのか。

この試合はそんな両チームの状態を色濃く反映したものとなった。

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シティはとにかくラインが低い。もちろん意図してやっているのではなく、ずるずると下がってしまっている印象だ。そのため、シルバやナスリといった中盤の選手が守備に戻りきれない。中盤の守備を厚くするには、陣形をコンパクトに保たなければいけない。

序盤はユナイテッドがペースを握り、ルーニーの2発で先制する展開となった。

一方のユナイテッドは、両SHの守備意識が高い。

最近のユナイテッドに多く見られる光景だが、SHが最終ライン付近まで下がって守備を行っている。守備が破綻しているがゆえの処置なのかは不明だが、バレンシアとヤングには相当の運動量が求められる。

現在のユナイテッドは前線から激しくプレスをかけるチームではないので、シティも相手陣内までボールを運ぶ事には成功していた。

☆揺れ動く采配

2点を先制した時点で、ユナイテッドはゲームをコントロールする方向に入るかと思われた。しかしどうもゴタゴタしている。その理由は、シティのペースに付き合ったからだ。

2点をリードされたシティは当然攻撃的に来る。そのため、シティ陣内にはスペースが出来ていた。ユナイテッドは毎回カウンターを仕掛けるので、ボールの奪い合いが激しい。リードを巧みに使いながら攻めて欲しかったと思う。

今日のユナイテッドの特徴はボランチのクレヴァリーだ。彼は後方からの攻め上がりに定評があり、序盤から上手く攻撃に絡んでいたと思う。しかしリードしてからも頻繁に上がるので、守備面が疎かになるシーンが何度かあった。

ファーガソンは後半40分に、バレンシアを下げてDFのジョーンズを投入。むろん、守備固めのためだ。しかしその2分後に追いつかれてしまう。

そして後半43分にクレヴァリーを下げてFWのウェルベックを投入。あまりにチーム戦術が右に左に揺れすぎていないだろうか。最終的にペルシーの直接FKが決まって勝利したものの、ユナイテッドらしさが感じられない一戦だった。

☆まとめ~中盤に頼り過ぎるな~

シティの事にも少々触れておきたい。最近スタメンで起用されるようになったバロテッリだが、彼はボールを収めるのがあまり得意ではない。シュートセンスは認めるが、足元の技術が高い訳ではないので、味方とうまく連動出来ていない印象だ。

テベスが入ってからの方が明らかにシティの選手たちが躍動していた。だからといって、バロテッリに需要がない訳ではない。昨季とEUROでの爆発を考えると、彼はスタメンでも何らおかしくはない。

重要なのは、バロテッリにどうやってボールを届けるかである。現在のシティは攻撃のオーガナイズを中盤に頼っているため、バロテッリらFW陣をフォローしきれていない部分がある。これはDFラインが低い事も原因の1つではある。

19歳でシティのスタメンを張るCBのナスタシッチも、時折訳の分からないロングボールを蹴飛ばすきらいがある。相棒のDFリーダー・コンパニもビルドアップが得意な選手ではない。ヤヤ、シルバ、ナスリ、ボールを運べる彼らに全てを任せっきりにならない事が重要だ。

この敗戦で、シティとユナイテッドの勝ち点差は6となった。ユナイテッドも首位らしいサッカーを展開している訳ではないが、何とか勝っている。ビディッチと香川の復帰も近いようなので、もう少ししたら、詳しく見ていきたいと思う。