この試合を書くつもりは無かったのだが、広島の負け方が非常に残念なものだったので、書く事にした。

相手はアフリカ王者のアルアハリ。CWCではお馴染みのチームである。個人的にアブトレイカしか知らないのだが、チーム力は高いとの前評判だった。確かに攻撃にセンスは感じた。しかし守備は破綻していたというのが素直な感想だ。前半で決着をつけられなかった広島・・・。そのあたりから見ていく。

☆広島の特徴

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恐らく広島のスタメンはこれで合っている。アルアハリの選手名などは知らない。広島は前半3分にGKの西川が負傷退場し、早々に交代カードを切る結果となった。

今季のJリーグを制した広島だが、大きな特徴は3バックのシステムにある。

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上図は守備時にもの。OHの森崎と高萩がサイドに位置し、5-4-1のブロックを作るのが特徴だ。WBはDFラインに落ちるので、守備はそれなりに堅い。意味不明なラインコントロールのミスなどもあったが、堅守を武器に今季のJを制したようだ。

攻撃は、ショートパスを多用し、2列目や3列目からの飛び出しを利用するというもの。佐藤に頼ってしまう部分もあるが、青山や森崎までもが裏に飛び出すスタイルは非常に美しかった。

☆ガタガタな守備

そして対戦相手のアルアハリだが、広島にとっては戦いやすい相手だったのではないかと思う。その理由はアルアハリの守備面にある。

アルアハリは最終ラインをかなり高く保っている。しかし広島のボールホルダーにプレスがかかっていない。ラインを高く設定している場合、プレスをかけるのが絶対条件となるのだが、アルアハリはそんなタブーを犯していたため、前半は広島が何度も裏を突きまくる展開となった。

プレスをかけないと、簡単にラインの裏を狙われる事になる。特に佐藤のようなスピード系のFWがいる場合はなおさらだ。しかし広島は何度か訪れた決定機を決める事が出来ない。単純な試算だが、しっかりとゴールを決めていれば6点は入っていた。それほど広島は決定機を多く作れていたのだ。

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上図はアルアハリの守備の様子を描いている。試合前のスタメン表では4-2-3-1だったはずだが、守備時には5バックのような形になっている。アンカーの選手がDFラインに吸収されたのかは不明だが、とかく中盤にスペースが出来る。

広島の攻撃のキーマンは、青山と高萩である。特に高萩と森崎の位置に縦パスが入ると、攻撃が一気に加速する。アルアハリはそんな危険なエリアを誰も守っていない。

試合展開は、前半に広島も守備でミスを犯し、相手に先制点を奪われたものの、佐藤のゴールで同点に追いつき、押せ押せムードで進んでいた。

☆前半で決めるべきだった

しかし後半のアルアハリは少々姿を変えた。DFラインがもう1人増えて何と6バックになったのである。そのぶん広島は中盤でボールを保持出来るようになったが、ゴール前はさすがに堅い。

中盤から最終ラインの裏を簡単に突けていた佐藤も、後半は決定機が減ってしまった(GKと1対1になるシーンがあったが、外している)

そんなアルアハリの訳の分からない守備に苦戦していると、逆に広島が失点し、万事休す。アルアハリに守備を固められ、試合は終了した。

☆まとめ~世界と戦う資格~

ざっくり言うと、日本人らしい試合だった。近年Jリーグのレベルは落ちていると言われ続けているが、広島の戦い方は称賛に値するものだった。しかし、内容なんてものは一発勝負の世界ではガラクタにすぎない。勝たなければ意味がないのだ。

広島は何度も決定機を逃し続けた結果、ベスト4入りを逃してしまった。私は前半を見ていて、広島は余裕でベスト4に進めると安堵していたものだ。それは先制されてからも変わらない。広島の方が圧倒的にゲームをコントロールしていたからだ。

チャンスに弱い。そんな日本人の特徴が表に出てしまったゲーム展開だった。前半、決定機を逃したDF水本は、私が最も嫌うタイプの選手である。CBとして仕事はこなしているが、攻撃面で何も貢献出来ない。

守るだけのCBはもはや時代遅れだ。よくこういう言葉を耳にする。「DFは最も上手いプレーヤーが務めるべきだ」と。世界を見れば、フンメルスやピケといったテクニックのあるCBが増えている。

前半の決定機を外した際の水本も、GKをしっかり見れば決められたはずだ。あそこの場面で焦ってしまうようなら、もはや世界を相手に戦う資格などない。もちろん日本代表になど呼ぶべき選手ではない。

真の度胸を持った者だけが世界と戦える。そう痛感した一戦だった。