欧州CLもグループ終盤を迎え、突破か敗退かはっきりする時期に突入した。今回取り上げるのはグループEのユヴェントスVSチェルシーの一戦。前回王者チェルシーとイタリア王者ユヴェントスがグループをリードするかと思いきや、シャフタールが現在グループの首位に立っている。

この試合前、チェルシーは勝ち点7で2位。ユヴェントスは同6で3位だった。ユーヴェからすれば、負ければグループ敗退が決まってしまうだけに、この一戦は本気の戦いとなった。

☆戦術変更のタイミング

先週末の国内リーグ戦で、チェルシーはリヴァプールと引き分けた。その際にディ・マッテオは「今後は守備的な戦いにシフトする」と語っていた。そして迎えたユヴェントス戦。スタメンはこうなった。

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本来SBを務めるアスピリクエタが右SHに入り、FWのトーレスがベンチスタートとなっている。宣言通り守備的な布陣で臨んできた訳だ。しかしこの策は最悪の結果となって表れる事になる。

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チェルシーは守備時にアスピリクエタもDFラインに入って5バックのイメージで戦っていた。ただ5バックにするだけで守備が堅くなる訳ではないが、相手の攻撃に対して数的不利に陥る可能性は低くなる。下の図を見てほしい。

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図のように相手2トップに対してCB3枚で当たる事が可能となり、理論上は1枚CBが余る事になる。5バックのメリットは、単純にカバー出来る範囲が広がる事だ。しかし中盤の枚数は当然減り、ボールを奪う位置が低くなってしまうというデメリットもある。

枚数は整ったが、相手も動いてくる。

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ユヴェントスはヴチニッチやマルキジオが動く事で、チェルシーの守備陣をかく乱する事に成功していた。普段5バックで守っていなかった事もチェルシーが混乱した1つの要因だろう。

ユヴェントスの攻撃でよく見られたのは、ビダルやマルキジオがフリーの状態でボールを持ち、サイドを変更するシーンだ。

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特に何度もアルメロとアスピリクエタの1対1が出来上がっていたように思う。難しかったのはミケルとラミレスの判断だ。最終ラインの前を空ける訳にもいかないし、ビダルらを野放しにする事も出来ない。2人だけで中盤を抑えるのは無理だ。

☆悲報と共に

前半38分にクアリアレッリャのゴールで1点を先制されたチェルシーだが、攻撃の糸口が見つけられない。それもそのはず、チェルシーの攻撃はカウンターのみだったからだ。

しかも前線で体を張ってボールをキープ出来る選手が存在しないため、タメを作る事も出来ない。ユヴェントスの守備は基本的に3枚のCB+ピルロの状態を常に保っている。カウンターを喰らっても、ある程度対応出来るようにするためだ。

チェルシーはアザール、マタ、オスカルの3枚で攻撃を仕掛けようとしていたが、枚数的に不利となっている。個人技ばかりが目立ち、ボールの失い方も悪かった。

では、カウンター以外の攻撃はどうだったのか。これは予想通りの展開だった。

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見事にユヴェントスにプレスをハメられ、ボールを前へ運べない。運べた場面もあったが、それはミケルとラミレスが強引に突破したからだ。ボールを運べないと前線の選手が降りてくる。運ぶ→崩す→フィニッシュを全て前線の3枚で行おうとした訳だ。ゲームの世界である。

焦ったチェルシーは後半15分にモーゼス、26分にトーレスを投入するが、彼らにビハインドを跳ね返す力は無かった。

試合は3-0のワンサイドゲームとなり、前回王者チェルシーはまさかの3位に後退する結果となった。

チェルシーがグループを突破するためには、最終節のノアシェラン戦に勝利し、さらにシャフタールとユヴェントスの一戦が引き分けで終わらない事が条件となる。シャフタールが負けた場合も恐らく突破する事は出来ない。まさに追い詰められた訳だ。そして残念な報告が届く。

☆まとめ~解任にタイミングなど存在しない~

11月22日、チェルシーの監督・ディ・マッテオの解任が決定した。後任にはラファエル・ベニテスが就任する予定だ。まさに会長のアブラモビッチ劇場である。CL最終節を残したこのタイミングで監督交代に踏み切るとは・・・。

この事についてはまた詳しく書くが、チェルシーは今後クラブワールドカップも控えている。まさにゴタゴタな状態のまま戦う事になる。さらに25日にはマンCとの上位対決も控えている。チェルシーが泥沼にハマって抜け出せない映像が見えているかのようだ。

そしてディ・マッテオとベニテスでは理想とする戦術がまるで違う。そこのところも今後の焦点となりそうだ。そして付け加えておきたいのは、ベニテスはあくまで仮の監督だ。アブラモビッチは常にペップ・グアルディオラの招聘を狙っている。ベニテスが来季も指揮を取れるかは保証されていない・・・。