$basuku-doのサッカーブログ

少し遅くなりましたが、コパ・イタリア決勝です。

ここまでシーズン無敗を続けているユーヴェと、今季はそこまで調子が上がらずCL出場権を失ってしまったナポリの一戦。どちらも3バックで試合に臨んだ。

☆ユーヴェ対策~ピルロを抑えられた時の攻撃の幅~

ナポリはユーヴェ対策をしっかりと考えてきたのだろう。そう思わせる戦いぶりだった。今季のユーヴェの戦い方を踏まえた上で、抑えるべきところを抑えたナポリ。そのあたりから見ていきたいと思う。

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ナポリはカバーニ、時にはハムシクなどがピルロをマークし、DFからピルロへのパスコースを遮断していた。ピルロをビルドアップから除外させようとしたのだ。それでも今季のユーヴェはパスを繋ぐサッカーを信条としているので、CBから一気にマルキジオやビダルへ繋ごうとする。そこにナポリは網を張っていた。

上図は前半によく見られた形だが、ピルロが中央のコースを空け、フリーになっているボヌッチから中盤へ一気にパスを通したシーン。このパスが出た瞬間にナポリは密集してボールを奪いに行く。ここでボールを奪ってカウンターを仕掛ける場面も何度かあったので、ナポリの狙いは当たったと考えていいだろう。

逆にユーヴェはピルロを抑えられてビルドアップに四苦八苦している状態だった。前線のボリエッロに放り込むのも1つの手ではあったが、ユーヴェはそういったサッカーを好んでいないようだ。ピルロを抑えられた時にどうやって相手を崩すか。これは来季も課題として残りそうだ。

ユーヴェはピルロをフリーにするために中盤の構成を変える策も取った。

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マルキジオとビダルが下がり、ピルロを高い位置に押し出す形を取った。しかしナポリの前線はそれでもピルロを抑えにくる。この日のユーヴェは、チームとしてピルロをフリーにする事は出来なかった。後はピルロが個人力でマークを外してボールに絡んでもらうしかない。そんな場面も何度かはあった。しかしピルロから決定的なパスが出る事はほとんどなかった。

対するナポリの攻撃はシンプルだ。両WBが上がりを控えめにし、ハムシクとラベッシが3バックの弱点でもあるサイドを突こうとする。

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ナポリは最終ラインで数的優位に立っていてもあまり繋ごうとはしない。安全第一で後方からロングボールで組み立てる。チャンスはほとんどがカウンターから生まれるのがナポリの特徴だ。だからハムシクやラベッシにボールが通らなくてもあまり気にしていない。守備から試合を動かす・・・。そのチームカラーがよく出ていたと思う。

☆前半スコアレスで終えた心境~変化しないといけないユーヴェと待ち構えるナポリ

前半を0-0で折り返した両チーム。スコアに変化はないが、心境的にはナポリの方が有利と見ていいだろう。ユーヴェはハーフタイム中にどのような変化を付けてくるのか。ここで何か対策を打てなければ後半もチャンスは作れそうにない。

そしてユーヴェが取った策は、自分たちのコンセプトを貫く事。パスサッカーはやめないという事だ。

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ユーヴェはピルロをビルドアップに使うのを諦め、フリーのボヌッチがドリブルでボールを持ち上がってチャンスを演出しようと試みる。これで徐々に相手陣内でプレーする機会が増えたユーヴェだが、同時にボールを奪われた後のカウンターに注意しなければいけない。

ボヌッチがボールを持ち運ぶところまではいいが、7人で自陣を固めるナポリを崩せる気配はない。この試合のナポリは5バックになるケースが多く、3バックの弱点でもあるサイドのケアも完璧だった。ユーヴェの攻撃は中央を強引にこじ開けようとするものが多くなる。

しかしそこでボールを失えば、ナポリのカウンターが炸裂する。ナポリは前線に残っているラベッシのスピードを生かして攻撃する。

そして64分、ナポリのスローインから生まれたチャンスでラベッシがPA内に侵入してPKを獲得。これをカバーニが決めてナポリが先制する。この試合は主審の判定に疑問が残る事が多かったようで、この失点の前のプレーにも誤審めいたものがあり、ユーヴェの選手が主審に詰め寄るシーンがあった。

その誤審とは、ボヌッチが出したパスがナポリの選手に当たってゴールラインを割ったにも関わらず、主審はユーヴェのCKではなくナポリのゴールキックと宣告した。このゴールキックからスローインになり、そしてナポリのゴールが生まれている。ユーヴェにとっては少し不運だった。主審に抗議した後で気持ちを切り替えるべきだったが・・・。

ここからはユーヴェの攻撃をナポリが守り、そしてカウンターから追加点を狙う展開に。そして82分にハムシクがゴールを決めて2-0!!ナポリがユーヴェに今季初黒星を付け、コパ・イタリアを制した。

☆まとめ~2年目の重要性~

今季はコンテの下で無敗優勝を成し遂げたユーヴェ。確かに強かったし、コンテの戦術の柔軟性にも驚かされた。しかしピルロに頼り切っている面もあるし、今季のユーヴェは攻撃よりも守備の堅さが目立った。そして何より選手層が薄い。来季のCLも見据えてしっかりと補強する必要がある。

補強する主なポイントは、代えの利かないCB陣・ピルロの代役・確実性のあるストライカー&チャンスメイカー。このあたりか。

今季のユーヴェはリーグ総得点68、総失点20という成績だった。総失点20はセリエAでダントツの1位で、2位ミランに13もの差をつけている。来季もこの守備力がベースとなるはずだが、現在はキエッリーニ、ボヌッチ、バルザッリだけで回している。カセレスもCBを務められるが、彼はWBで先発する事もあるだけに、新たなCBが必要不可欠だ。

攻撃についてだが、総得点68はそこまで低い成績ではない。しかしチームで2桁得点を決めているのは10ゴールのマトリだけだ。チーム全員がゴールを決められるチームといえば聞こえはいいが、今回のナポリのような守備の堅いチームからゴールを奪えるストライカーが欲しいところだ。

来季のCLでの活躍が期待される。そしてデルピエロがついにユーヴェ最終戦を終えた。悲しい別れだが、これもチームが若返っていくために必要な事だ。出来ればJリーグに来てほしいなと思うけどね・・・。