ここまで首位をキープし、一気にビッグクラブの仲間入りを果たしたシティ。そんなシティの去年からの変貌ぶりを書いていきたいと思います。

☆変貌するスタイル

まず成績で見れば一目瞭然なのだが、マンCは今季ここまでリーグ戦16試合で50得点上げている。この記録は昨年のシティからは想像もつかないものだ。昨年のシティは守備的な戦い方が目に付き、リーグ戦38試合で60得点という成績だった。単純計算すればシティは今季100得点も夢ではない。「優勝を狙うチームは攻撃的に」と今シーズンが始まるくらいにこのブログで書いた。シティはその名のとおりここまで攻撃力を武器に首位を維持している。

しかし同時に失われつつあるものがある。それは昨季のような分厚い守備だ。最近のシティは無失点で終わる試合がほとんどない。勝利はしても、1点か2点は失っている。もちろんチームが攻撃的になった分、守備への意識は少し下がっているかもしれない。しかしマンチーニも毎試合のように失点する現状を嘆いている。

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上の図は今季のシティの大方のスタメン。守備力が落ちた原因は今季のシステムを見れば分かってくる。今季のシティはヤヤ・トゥーレをボランチで起用する事が多い。ヤヤはバルサでも守備的MFだったし、器用な選手なのだが、少し守備への意識が薄い。シティでのヤヤは中盤の守備と同様に攻撃参加も求められている。正直ヤヤがいなくなるとシティは苦しい。バルサでは前線に攻め上がる回数はそこまで多くなく、守備に専念していた。しかし今は守備の大半をボランチの相方に任せている。相方はバリーの事が多い。

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上は昨季の基本システム。少しうろ覚えです・・・。昨シーズンはヤヤは4-2-3-1のトップ下で起用される事が多かった。守備も出来て攻撃もできる。そんなヤヤの守備の面にも期待してのトップ下起用だった。ヤヤは1VS1の守備には強いのだが、少しポジショニングに難がある。そこが最近のシティの守備力半減に繋がっているともいえる。要は簡単にカウンターを喰らう場面が多くなったんよね。

CBコンパニの想像以上の成長もシティの守備力半減に繋がっている。コンパニは昨季から世界レベルのCBと認知されるまでに成長した。そのぶんコンパニへの負担が大きくなり、守りきれない場面が何度かある。もう1つの問題がコンパニの相棒が定まらない事だ。

昨季はコロ・トゥーレが務めていたのだが、ケガもあってスタメンはレスコットになった。しかしリーグ戦初の黒星を喫したチェルシー戦でレスコットは決定的なミスをしてしまい、それ以降出場のチャンスが無い。マンチーニの冷徹な一面も見えるところやね。

昨季からといえば、昨季はボランチでフル回転していたデ・ヨングがほとんど試合に出ていない。個人的にデ・ヨングの事は高く評価している。少しプレーが荒っぽくて、カードをもらいやすい選手だが、中盤でのフィルター役としては最高峰のものを持っていると思う。昨季はデ・ヨングとバリーの守備的な2人がボランチを組んでいた。だからこそプレミアNo1ともいえる守備力を維持出来た。しかし今季は攻撃的にシフトしており、攻撃を得意としていないデ・ヨングはマンチーニの中で不要な存在になってしまったのだ。残念な話です。

デ・ヨングを使わない主な理由として、やはりビルドアップ能力の低さにあると思う。シティはポゼッション率の高いチームではあるが、CBの2人はまるで繋げない。そのぶんマンチーニは繋ぎの部分をボランチにかなり依存している。そのためボランチの2人は少々守備が苦手な選手でも確実に前線までボールを届けられる人物でないといけない。そんな中でのチョイスがヤヤとバリーという事なんやね。

今シーズンの初めから変わってきた事がもう1つ。シティの攻撃スピードが速くなっている。これは良い意味と捉える事も出来るが、悪くとらえたい。シティと対戦するほとんどのチームは、たいてい自陣に引いているチームが多い。シティの攻撃力を警戒しているからね。今季始まったころのシティはそんな相手に対して70%近いポゼッション率を誇っていた。

しかし最近のシティはあまりボールを長く持とうとしない傾向にある。速いタイミングで縦へボールを運び、シュートに持っていく。ポゼッションしようとする位置が高くなったといえる。もちろん相手陣内でポゼッションしようと思えば、相手から激しいプレッシャーに遭うのは必至。逆に今季の始めのように自陣で回していればほとんどプレッシャーは受けない。

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上の図がいわゆるプレッシャーを受けない安全ゾーンでのボール回し。昨季から今シーズン初めにかけてはこのパターンが多かった。

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しかし最近は相手陣内にヤヤも加わってポゼッションしようとする動きが多く感じる。このヤヤの動きは1つのキーポイント。どちらが良いかと聞かれると、個人的には前者。マンUを6-1で粉砕した伝説の一戦では、自陣でのポゼッションが効いた。攻め急がない事が重要かなと。

☆マンチーニとまとめ

今季の優勝は絶対条件でマンチーニの進退にもかかわってくる。初めはかなり開きのあったマンUとの勝ち点差も3に詰まってきた。そしてマンチーニは稀に見る冷徹な監督だと思う。レスコット、テベス、デ・ヨングなどなど、バッサリと選手を切っていく。相当のプレッシャーなんやと思う。もうトゥーレ兄弟がアフリカ・ネーションズカップのコートジボワール代表としてチームを離脱する。ヤヤがいなくなった間のシティはかなり心配やね。逆にマンUはこの時に首位を奪い返すチャンスでもある。個人的にはデ・ヨングをヤヤの代役にしてあげてほしいと思います。