質問者*「ブラフマンは真理である。世界は幻想である」

   とは シャンカラの常套句です。

   しかし、別の人たちは「世界は実在である」と言います。

   どちらが真実なのでしょうか?

 

マハルシ師*

   どちらの言葉も真実である。

   それは異なった霊性の段階について、

   異なった視点から語られたものである。

 

   真理の探究者は 

   「常に存在するものが実在である」

   という定義から進み始める。

   それから彼は世界を非実在として捨て去る。

 

   なぜなら世界は変化するものだからである。

 

   このように変化するものを非実在として

   捨て去っていくことで 

   探究者は究極的に真我にたどり着く。

   

   その実現のなかで 

   彼はすべての存在がひとつとして在ることを見出す。

   

   そのとき最初に非実在として捨て去られたものも

   ひとつとして在ることの一部だったことが理解されるのである。

 

   実在のなかに吸収されれば 世界もまた実在である。

 

   真我の実現のなかでは ただ存在だけがあり

   他には何もない。

 

 

   シャンカラは 彼のマーヤー(幻想)の見解について、

   人々から理解されないまま批判された。

 

   彼はこのように言った

 

   ①ブラフマンは実在である

   ②宇宙は非実在である

   ③宇宙はブラフマンである

 

 

   彼は二番目のところで止まらなかった。

   なぜなら 第三番目が他の二つを説明しているからである。

 

   それは もし真我として知覚されれば宇宙は実在であり

   真我から分離したものとして知覚されれば

   宇宙は実在だということを意味している。

 

   したがって マーヤー(幻想)と実在はひとつであり

   同じものなのである。