《お母さんを助けてあげないと》

《お母さんを一人にさせないで》

《お母さんがかわいそう》

 《弟が結婚した今、支えてあげないと》

《おうちを守らなきゃね》

《やっぱり娘は家に置いておかないと》


親戚や近所の人は私の姿を見つけては

そんな言葉を掛けてくる。

 

女の子なんだから、親の近くにいて当たり前だと

就職の時にも口を出してきた。

祖母の介護が必要になってくると

女の子なんだから、介護も出来ないとダメだ

仕事なんか辞めて介護しろ、と叔母たちは言ってきた。

自分たちの母親なのに、だ。

 

そんなことを言われた私を

母は守ってくれなかった。

家からも出してくれなかった。

弟は学生時代の後輩と早々と結婚し家を出たのに。

 

祖母は施設に入ることは拒んだ。

姥捨て山のようなイメージなのだろう

叔母、叔父たちも嫌がった。

「仕事辞めて介護に専従はできない」と伝えると

「生意気だ」「最近の女の子は…」

極めつけは

「父親がいないとね…こうなるんだ…」


思考が止まってしまっている私は

そんな言葉を浴びせられているうち

彼女たちの奴隷になることが

正しいのかと思うようにもなった。

 

母は俯くばかりで何も言わない。

親戚たちは私が首を縦に振るまで

罵り続けるだろう。