昨日着付けのお稽古をしていた時のことです。
最新の「美しいキモノ」に載っていたコーディネートの
着物も帯も帯揚げも帯締めも、全部うちは直接の取引があるのよ。と先生がおっしゃっていました。
そのコーディネート、確かに素敵でした。
でも私は好きじゃない。
この辺は個人の好き好きなので、それは良いとして。
初めて着物を着ようと思った人が、
呉服屋さんのドアを開けて「着物作りたいんです」って言うかな。と思いました。
これだけ世の中にリサイクルきもの屋さんが増えて
そこでたまたま「好みの着物」があったから着てみたくなって買ってみた。
これがエンドユーザーの実情じゃないかなと思います。
あとは実家のタンスの中にあった着物を着てみたい。とか。
実際私は着物を始めたきっかけはメルカリでした。
着物着てみたいな。と思った人が
お仕立て代が別にかかる30万円の反物買うかなと思うわけです。
お金がある人はいいですよ。車が買えちゃうくらいの反物買っても。
それ着てどこ行くの?と思うわけです。
エンドユーザーが求めているのは
伝統的なすごい技法で作られた着物より
手が出しやすくて、気軽に着てお出かけできるワンピース的な着物じゃないのかなと思います。
木綿着物なら焼肉行っても大丈夫なんですって。と言ったら
先生は「絹はにおいが付かないのよ」と。
いや、樟脳くさくなるけど。と思ったけど黙ってました。
正絹の着物着て焼肉行くなんて正気の沙汰ではないでしょ。と思います。
木綿着物なら汚れても家で洗えるし、
晴れの日に着るものではなくてけの日に着る物を求めてるんじゃないのかな。
まずはリサイクルの着物で「着物への扉」を開けて
だんだん着物のことを知って、
こんな技法の素敵な着物もある。って新しい扉が開いたら
そこで誂える。ってなるかもしれませんが。
マイサイズで誂えた着物のほうが着やすい。と先生は言いますが
身幅が狭かったらした前にさらしを足してみたりするんですって。と私が言うと
「みんないろんなこと考えてるのね」と。
確かに呉服屋さんも売れなければ商売になりませんから
売りたいのはわかります。
でもエンドユーザーのニーズとずれてる気がします。
多くのエンドユーザーは「着物が着たい」わけであって
「自慢できる着物が着たい」わけではないのではないか。
少なくとも私はそうです。
でもこのままでは職人さんの仕事がなくなって
作られなくなる技法が出てくると危機感を持つのもわかります。
呉服屋さんがニーズのずれを把握して
今までやってきたことを軌道修正しないと
この先、町の小さな呉服屋さんは厳しくなるんじゃないのかなと思いました。
じゃあどうすればいいか。
ひよっこの私には今のところ提案できることは何もないのですが。
ただ、娘の後輩は修学旅行で京都に行ってレンタル着物を着せてもらって散策したそうです。
もちろん化繊の着物でしょうけど、着物着て京都の町を歩いた。っていう特別感は
着物を着るきっかけとしては大いにあり得ると思います。
先生のお店では、着物を着てお出かけ。が定期的に行われているのですが
歌舞伎を見てフレンチとか
文楽をみて会席料理とか
結構なお値段がします。
そんなの子どもにお金がかかっているうちはそうそう行けないので
ちょっとしたランチとか、もっと気楽に着物を着るきっかけがあるといいなと思います。
結城の着物イベントは着物を着ていくといいことがあるらしいので
どんな風にいいことがあるのか楽しみにしています。
この辺にヒントがあるのかもしれません。
長くなりましたが、
昨日「ずれがある」と思ったことを書いてみました。