喉のいがいが | ツールボックス

喉のいがいが

先程から彼がまたぶつぶつと何かいっている、「他人の発するキーワードにどれだけ踊らされるかなんだ、ようは首が固まって動かない奴にはすぐ隣りにある稼ぎ口が見えないって事だよ。頭が回らないとはよいたとえだね、見落としてばかりだ。」
彼と壁の立ち話をしばらく私は見守っていたんだ。一言言い終える度に空虚な応答が彼に返されて、その度に彼の声はだんだん大きくなり、怒りをおびた遠慮のない口調へと変化して言った。
彼が無言の返答にためらわなくなって来た頃から、同じ所感を延々繰り返し、論理は壊滅的になり始めた。地下にこつんと足跡を残した何者かが彼の手を引にやってくる。そうなる前にここから逃げなければならなかった。彼はこの丸い地球上の世界の果てに、いつも自分が立っている事を知らない。彼は下をみて首が固まったんだ。見つけられないんだ。
太陽が眠りにつく頃の東京で繁華街・高層ビル・高速道路に明かりが灯り始めた、美しかった。