「映画はこの前見たし・・・・・・どこに行きましょうか」

総司「そう言えば、昼メシまだだったな」

「あ、食べてから出てくれば良かったですね」

総司「今の流れだと、普通、どこで食べましょうか、だろう」

「でも、外食ってもったいない気がして・・・・・・」

総司「もったいない?」

「はい。外食って、特別な日にするからおいしい気がしません?普通の日はできるだけ節約して、特別な時に外食すると、すっごく美味しく感じられるというか」

総司「なるほど」

「って、家はそれほど裕福じゃなかったから、そうしてただけなのかもしれませんけど」

総司「そういえばおまえは遅く帰ってきてもちゃんと料理をするな」

「買ってすますのもいいんですけど、やっぱりもったいなくて。一人暮らししてた時も、出来るだけ自炊してたんです」

総司「俺の周りにはそういう人間はいないから、新鮮だ。お前の手料理も、そう思って食べていた」

「でも総司さん、美味しいものばかり食べてるから、口に合いませんよね・・・・・・」

総司「そんなことはない」


総司さんの方を見ると、優しい笑顔にぶつかる

驚いて、思わず目を逸らしてしまった


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総司「どうした?」

「い、いえ・・・・・・」


(何か今日の総司さん、いつもより優しい気が・・・・・・でも・・・・・・今日だけじゃない)


「総司さん、最初にあったころから見たら、変わりましたよね」

総司「どこがだ?」

「基本は変わってないんですけど・・・・・・意地悪が減ったというか」

総司「意地悪して欲しいのか」

「いえ、そういう意味じゃ」

総司「じゃあ期待に応えて、今日の夜にでも可愛がってやる」

「ほ、本当に違いますから!」

総司「何を考えている?俺は夜にまたいろいろ命令してお前で遊んでやると言っただけだが。変なことを想像しただろう」


イジワルに笑うその顔は、やっぱり最初の頃よりもずっとやさしく見えた

(でもそれって・・・・・・私の総司さんに対する気持ちが変わったから?それとも、総司さんの気持ちが・・・・・・?)

ドキドキしながら歩いていると、不意に総司さんが腕を引っ張る


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「なんですか?」

総司「なんでもない」


訳の分からないまま歩いていたけど、しばらくしてようやく総司さんが私の腕を引いた意味が分かった

車道側を歩いていた私を、歩道側に押してくれたのだ

(こういうさり気ない優しさ、ずるい・・・・・・)


冬太「あれ?マリィさん?」


後ろから声を掛けられて、総司さんと振り返る

その顔を見た瞬間、少しだけ気まずい気持ちに変わった


「冬太くん・・・・・・」

冬太「偶然だね。もしかして、その人がマリィさんの旦那さん?」

「う、うん」

総司「おまえが・・・・・・」

冬太「こんにちは。村瀬冬太です」

総司「知っている」

冬太「え?」

「あ、えっと・・・・・・前にナンパされてるところを助けてもらった話、したから」

冬太「ああ、そういうこと」


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(どうしよう・・・・・・せっかく総司さんとデートしてるのに)


「冬太くんもこれからデート?」

冬太「違うけど、『も』ってことは、マリィさんたちはデートなんだ。夫婦なのに初々しいね」

「お前には関係ない」


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冬太「ふーん・・・・・・マリィさんの旦那さん。マリィさんのこと、すっごく大事なんだね」

「え?」

冬太「仕事とマリィさんだったら、どっちが大事なのかな」

総司「何の話だ」

冬太「なんでもないよ。じゃあ、邪魔しちゃ悪いから俺、行くね」


意外とあっさり、冬太くんが待ちの中へ消える


「なんだったんだろう・・・・・・」

総司「・・・・・・あいつ・・・・・・」

「え?」

総司「・・・・・・いや」


総司さんはしばらくの間、冬太くんが消えた方を見つめていた


to be continued・・・