ここ数年において、私たちがいま置かれている状況から歴史を振り返ると、私たちも歴史の節目にいるのだろうなと個人的に感じています。
歴史の教科書の中で学習し、どこか自分とは関係がないように思えていた出来事を、ここ数年で経験していることに改めて考えさせられることがあります。
(1)上皇の誕生
日本史の教科書で習っていた上皇という存在。まさか自分の時代に再び誕生するとは思いませんでした。
印象に残っているのは、鎌倉時代や室町時代ですよね。
(2)疫病と流行の拡大
世界史や日本史の教科書にも載ったペストやコロリ(コレラ)、スペイン風邪のパンデミック。
同様に、いまこの時代にもCOVID-19(コロナウイルス)で現実のものになりました。
そして、もうひとつ気になること。
(3)政体の変遷からみる現在と独裁政への懸念
世界史の教科書にある、古代ギリシア時代に範を取った政体の変遷(政体循環論)。
具体的には、君主政→貴族政→寡頭政→民主政→衆愚政→君主政との変遷を繰り返すこと。
古代ローマの政体の変遷にも、よくあらわれています。
現在の民主国家の政体は、衆愚政の時代にあると言えるでしょう。衆愚政とはいまの言葉に置き換えればポピュリズムに相当します。
代表例は、アメリカのトランプ政権ですし、フィリピンやブラジルの大統領の政権もこの系統でしょう。
ところで、先に述べた気になることというのは、今回のコロナウイルスへの対応とその影響についてとなります。
具体的には、強権を発した国家がCOVID-19の封じ込めに成功しているという事実と、それがもたらすイメージの大きさです。
強権を発した国家とは、中国や、民主国家ではあるけれども強権が発動できる韓国やシンガポールなどです。
もちろん、ニュージーランドや台湾は成功していますよね。
しかし、報道で取り上げられている例は、多くがより強い強権を発動できる前者に寄っています。
いっぽうで、COVID-19の対策で失敗したのは、トランプ率いる米国、また、EU諸国ならびにイギリスでもCOVID-19はかなり大規模に拡がっています。
自由と民主主義を旗印とする国家がCOVID-19の対策を遅れて大きな被害を受けており、ドイツを除いて封じ込めに成功しているとは言えない状況です。
日本もどちらになるのか瀬戸際に来ていると感じます。
ここで不謹慎な発言をあえてしますが、私がもし独裁国家の指導者であるならば、この機会を逃さず今回のCOVID-19の状況を利用するでしょう。
専政国家、独裁国家の方が、危機の対応には適している、と。
つまり、各国のパンデミックへの対策状況、結果を利用し、民主主義の否定と独裁の正当化を持ち出す。
そう、これが個人として気になることです。
専政(独裁政)のほうが、いまの時代には即しているという考えが、世界に広まってしまう可能性があるという懸念。
もちろん、おしなべて専政を否定すれば良いというわけではないことも、歴史は示してもいます。必要とされる時代もある。パックスロマーナを実現した五賢帝の時代などはそうでしょう。ただし、それも民衆の専政者への支持があってのこと。暴君ネロの失政とその最後は、そのことをよく教えてくれています。
話が少しそれましたが、実際に社会現象としても、専政もしくは独裁政へとつながりかねない条件が揃ってきているのではないかと思うことがあります。
古代ローマが共和政から君主政へと移行した時代には、それまでローマの共和政を支えてきた中産層(中小農民層)が没落し、その結果多数の無産市民となって都市に流れ込み、いまでいうホームレスになって、社会問題化しました。一方で、貧富の差は拡大し、貴族は腐敗し、新興勢力と旧勢力の争いで国は疲弊していきます。結局、ローマは「パンと見せ物」という言葉で表される荒んだ時代を経て、専政へと移行しました。
そのことは、新自由主義とグローバル化の下において、中産階級が没落し、多くのホームレスや派遣労働者を産み出し、一方では貧富の差が極端に拡大し、なおかつポピュリズムにより価値観の深刻な分裂を生んでいる現在の米国・英国・日本などを見ていると、古代ローマの荒んだ時期と重なって見えてしまうことがあります。
このような状況下で自由と民主主義を旗印とする諸国が、COVID-19への抑え込みに失敗し、失望が広まれば、抑え込みに成功した強権を発動できる専政国家の影響力が拡がり、専政そのものが正統化されていくことに繋がりかねません。COVID-19は、その引き金を引いた可能性もあると思っています。
最後に、もうひとつ懸念点があります。
それは、オリンピックが中止になったときは戦争が起こっているということ。
現代では、大規模な戦争は起こりにくいとは思いますが、紛争と内戦はあちらこちらで発生している時代です。
COVID-19で世界中が協力しなければならないにも関わらず、ここ数ヶ月の領空侵犯によるスクランブル(緊急発進)は過去最高、尖閣諸島への侵犯もこの時期では最多、南沙諸島での実効支配強化の宣言、民主派の相次ぐ逮捕と専政の波は徐々に侵食を進めてきています。
いまは幸いに中止ではなく、オリンピック延期ではありますけれど。
大規模な紛争が起きないように願うだけではなく、COVID-19への対応と社会の変化に気をつけていかなければならないなと感じています。
