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行って来ました�

もうダメです�

クリムト、あまりにも凄かった�

もう、『パラス・アテナ』と言う絵の前で涙が出て来ました�

私は、行くまではドチラかというとエゴン・シーレが好きだと思って楽しみにしていたのですが、クリムト、凄かった�

美し過ぎる�

端正な絵画であり、また主張する絵画であった。

金色を贅沢に使い、官能的な恋人同士の抱き合う姿を描いたり、また全裸のルネッサンス丸出しのイケメン男性が二人、窓を囲む様に座っている。

筋肉ムキムキなその絵に溜め息、ハーッ�

クリムトは元々絵画の先生として学校で教える立場にいたのだけれど、ウィーンのあまりにもアカデミックを保持しようとするやり方に反抗し、派閥を作って分離する。

その際に、彼が描いたのが『パラス・アテナ』と言う、金の甲冑を身につけた、金の棒をまるで孫悟空みたいにしっかり身体に平行に立てて握り締め、反抗を表している、もしかしたら兵士なのかな�これは。

確かマイケル・ジャクソンにも白いマスクでこんな格好をしてるジャケットがあった気がするなぁー�

今までウィーンで絵を教えてて人気も高く、それだけでよしとしていた筈の彼が、アカデミックなものに背を向けた背景は友達じゃないから解らないけど、人間の中身ってどんどん変わって当たり前だもんね。

ヌクヌクと同じ土俵でやってるのじゃなく、やはり『違う』と思ったら、出来上がった物から抜け出したり、更地からやり直したりしたくなるのが本当だよね�

その勇ましい金の甲冑姿には泣きそうになって、何度も何度もまた絵の前に私は帰って来た。

私もしょっちゅう何かに反抗しては組織に自分の正義を通そうとしてしまうから、その絵に表れている決意みたいな物に感動したのだ。

そう思う。

もう、ホントに感動したし、力を与えられた。

仕事の疲れがクリムトのその絵によって何処かに抜けて行く想いがした。

エゴン・シーレはよくご存知の方も多いと思うが、細くてゴツゴツした気の強そうな若い女性が自慰行為をする絵とか、自画像とか、芝居がかった身体の捻り方をした人物を描いている。

かなり自意識過剰気味なシーレが描く、不安や絶望が絵の中の人物に曲がりくねって投影された絵。

彼は単なる美しい絵を描くと言う事には抵抗があったらしい。

絵には絶望や不安が表れなければ、と思っていたようだ。

私も実はそれには賛成で、絵の中でこそ、自分の内面を吐露するべきだと思う。

なかなか本当の不安や絶望を人には話せない。

絵に描く事により、観る者と共感出来る事もある。

そして、エゴン・シーレの素描はかなり繊細に曲がりくねった太い線で一筆書きみたいに描かれている。

その力強いけど、ゴツゴツしてるけど、それでも不安定な腕や身体のラインが、突き刺さる様な傷みを観る者にも与える。

私たちは何かしら傷つきながら生きている。

生きる中で、プライドを時にズタズタにさせられる。

そんな出来事を繰り返し、多分私たちは強くなる。

だけど、きっとエゴン・シーレはその自意識過剰気味な精神が故に、ホントに生きにくい人生を耐えて生きたのではないかと思われる。

痛々しいそのデッサンが私の今まで受けた傷をまた思い出させてくれた。

しかし、単純なただの鉛筆の線描だけで、布団に眠る安らいだ恋人たちの内面まで表している素朴で平和な作品もあり、和まされた。

彼の鉛筆のスケッチには、惚れてしまったよ。

流石だなぁ�