太陽光発電のエネルギー収支(ソーラーパネル) | ピークオイル、石油ピーク、脱石油社会の生活(Peak oil、エネルギー資源、地球温暖化、CO2)

太陽光発電のエネルギー収支(ソーラーパネル)

製造で使ったより多くのエネルギーを節約する

どのような発電方式も、その設備を製造したり運用したりするにはある程度のエネルギー(燃料や電力)を投入する必要があります。太陽光発電の場合、その殆どが原料精製や設備製造時のエネルギーです。

エネルギー源としての性能を示す指標に、EPT(エネルギーペイバックタイム)とEPR(エネルギー収支比)と呼ばれるものがあります。これは発電設備の製造などに要したエネルギーに対して、どれだけたくさんのエネルギーを得られるか(発電によって、どれだけのエネルギー消費を回避できたか)を示すものです。

太陽光発電は10年以上昔の技術でも、投入された燃料などの数倍に相当するエネルギーを得られていました。その後、量産規模が大きくなり、また技術的にもより省資源・省エネルギーになっています。たとえば、

  • 専用(ソーラーグレード)のシリコン原料の利用
  • 光閉じ込め技術による薄型化(省資源化)
  • 変換効率の向上
  • より省エネルギーなウエハ製造法(リボン法など)
  • 各種薄膜太陽電池の実用化(薄膜シリコン、CIGS系など)
  • リサイクルの促進 (*1)

など、様々な技術が次々に投入されてきました。現在広く普及している技術で寿命30年とおいた場合(*2)、日本におけるEPTは1~3年程度、EPRは12~21倍(寿命20年でも8~14倍)と見積もられます。また最近実用化された技術では、EPRは10数倍~30倍程度に達すると見積もられます。これは既に一般的な火力発電の性能(EPRで6~21倍程度)を超えつつあり、今後も伸びる見込みです。

また太陽光発電は発電用の燃料が要らず、設備も比較的容易に解体・リサイクルできるため、持続的な利用が可能です。これは再生可能エネルギー全般に共通する特長で、枯渇性燃料に比較して、エネルギー安全保障上の利益をもたらします。

さらに温室効果ガスの排出量も低く、製造時などに排出されるものを全て含めても、現在実用化されている技術ならば17~48g-CO2/kWh程度と、化石燃料による火力発電(519~975g-CO2/kWh)のわずか数%で済むと見積もられます。

このように、EPTやEPRでみても太陽光発電はエネルギー源として十分に実用的な性能を有しており、将来性も十分と言えます。