激しい雷雨の音を聞きながら夕飯の支度をしていると

停電してしまいました。

 

雨が吹き込まない部屋にお父ちゃんと避難。

網戸にして少しばかりの涼に当たりながら

電気の復旧を待ちます。

 

いつ復旧するんだろう。

今日の夕飯どうしよう。

冷蔵庫の中身大丈夫かな。

もし長引くようならクーラーボックスに

ある程度移動したほうがいいかな。

 

そんなことを考えているとお父ちゃんがふいに

春の海を口ずさみます。

テレビが見られないからBGM代わりかな?と聞くと

 

「早くお正月が来ないかな?と思って」

 

目先の電気の復旧を待つ私と違い

そんな先のことを見つめているだなんて

お父ちゃん大物目キラキラ

一応なんでお正月なのか聞くと

 

「卓上の一人用いろり鍋ですき焼きをやりたいと考えてたほっこり

 

冬のお鍋用に下仁田ネギを作ってますし

それいいかも。

あとでニトリに見に行こうよー、など語りながら

なんだか楽しそう。

 

それにしてもいつも突拍子ないなと呆れていたら

 

「そのお鍋があったら停電でもおかず作れるでしょ」

 

…ちゃんと考えていました。

でも順番に話してくれないと春の海の意図は分かりません。

そう言ったらとても不思議そうな顔をしていました。

相変わらずマイペースなお父ちゃんです。

 

 

作り物の月の灯りを頼りに部屋でゴロゴロしながら

他愛もない会話をする私たち。

たまには間接照明だけの空間も雰囲気あっていいなと

写真を撮ってみたら

 

 

月の模様が分からないほどピカっと光る

よく分からない上にちょっと不気味な床の間写真に

なってしまいました。

実際にはボワっとした柔らかい灯りだったのにどうして。

 

あれもこれも

月の灯りも正月料理も

真夏の夜の夢ならぬ真夏の夜の停電でのお話でした。