実はこれを読んだのは数週間前なんですが、お盆中でブログも空いて

いそうかなってことで今までに読んだ本の感想をアップしようかなと。


直木賞受賞作なんですよね・・・私はたまたま新聞(よく日曜版などで

掲載されている)のブックレビューで興味を持ち、読んでみようかなって

気になったんですけどね。あまり「話題作」とかには興味がないので。

ハードカバーの本は電車で読むと肩が凝るし。


で、内容ですが一昔前(おそらく作者が子供の頃?)の大阪の下町が

舞台になっていて、そこで起こる不思議だけどなんか懐かしいような

短編が6本で構成されています。

私自身、作者とは10歳くらい年が離れていますが、幼少期を大阪の

DEEPな下町で育った経験をもつので、すごく懐かしい感じ。

いまだに「チンチン電車」にときめきますし。(これは余談)


大体の人は本書のタイトルでもある「花まんま」のお話のレビューを

書かれると思うのですが、私が好きだった話は「摩訶不思議」です。

主人公アキラの叔父さんが酔って階段から落ちて急死する。

そこから物語が始まる。

叔父さんをとりまく3人の女性のやりとり(叔父さん・・・女好きなもんで)

を主人公アキラの目を通して描く。

叔父さん・・・死んでいるのに往生際が悪くって、自分の女全員に見送ら

れないと火葬場に行きたくないのか霊柩車のエンジンが止まってしまう。

その都度、アキラは心当たりの女性を呼びに行き、叔父さんに会わせる。

最終的に火葬場に集まった3人の女性・・・そして修羅場(笑)

ここまではよくある話、しかし、話は意外な方向へ転んでいく・・・

そして、オチがまた笑える。

この人すごいなぁって思った。「なるほど・・・こういう考え方もあるんだ」

男性である作者で、こういうとらえ方をするのも珍しいなぁと。


他の5編も子供の頃を思い出すような懐かしい話が多く、そして舞台が

私の育った環境に近いというのもあり、親近感がわく。

路地裏があって、長屋があって、子供の頃は知らなかったけど、近くに

はお墓も赤線といわれる女の人たちの町もあった。

子供は純粋だから、大人が近づくなと言っても興味があれば探検もす

るんだしね。

私も過去に1度だけ冒険したことがある。(結構距離があるので、かなり

の冒険だったと思うけど)

今の「大人の事情」と「子供の世界」はまったく違っていて、子供の世界

の目から見た大阪の町ってすごく不思議な町だったんだな・・・

そこに居た人たちも。


今、大人になって「あの人はね・・・」って話を聞いたら、そうだったのか

って思うことも、あの頃は目に見えることだけが真実で、それが全てだ

った。すごく楽しかったな・・・あの頃の思い出は今でも一生の宝物。

11歳で今のところへ引っ越してきて、住宅街なんでみんなドアしまって

いるのが当たり前な町、昼間も夜も猥雑な音がまったく聞こえない静か

な空間・・・

(実は私、引っ越して1ヶ月は夜が静か過ぎて眠れなかったんです。

だって生まれてからずっと家の向かいにパチンコ屋があり、幹線道路

沿いの家は夜中でも大型ダンプが通るので、常に家が揺れてたし)


隣の食堂のおばちゃんにお昼食べさせてもらったり、近所のこんにゃく

屋のおばあちゃんに可愛がられて毎日幼稚園の行きと帰りにおばあちゃ

んとこのおからをウサギの餌にもらったり。

友達の家もみんな普通に玄関とか開いてて、ほんとの井戸端会議とか

やってて、その周りでこどもがチョークで地面に落書きしたり・・・

もう、近所ぐるみでみんなの子供を育ててるって感じ。

よくいたずらとか怒られたし、プチ冒険したときは近所のおばちゃんや

下宿のお兄ちゃん達が探し回ってくれたりね。。。

「いい時代だったんだな」って今は思う。

今じゃそんなん考えられないもんね。

そんな町も今はマンション化が進んでいて、商店街も廃れていってる

そうな・・・あの風情・・・近くの神社の夏祭りとか、好きだったな・・・


タイムマシンで戻れるなら?って聞かれたら、間違いなく小学校時代を

過ごしたあの頃の町に戻りたいな・・・


1つの本で、こんなに昔を懐かしめるってなかなか美味しい体験をさせ

てもらえました。