入院中は就寝時に見回りがありました。


私は眠りが浅かったので、部屋のドア(スライド式)が開くたびに目が覚め、寝たフリをしていました。


特に初日の夜はほとんど眠れず、寝返りをしてみたり羊を数えてみたり、色々な事をしました。


全然関係ない話ですが、お笑い芸人の陣内智則さんのネタで、眠れない夜に羊を数える話がありました。


羊を頭に思い浮かべながら・・・


「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、羊と思たらカリフラワー」


というのです。


このネタを思い返してしまい、余計に眠れなくなりました。


朝4時半になり、窓側の椅子に座りました。


窓から外を見るとまだ真っ暗で、空に浮かぶ月を見ていました。


20分くらい外を眺め、ベッドに戻って体育座りをしました。


どうしてこんな事になっちゃったんだろう。

今頑張っていても、再発や転移があるかもしれない。

私はあと何年生きられる?

おばあちゃんになるまで生きられるの?

寿命が分かるなら教えてほしい。

いや、知ったら知ったで辛いよな。

1年後、2年後、3年後・・・。

その未来が今はもう思い浮かばない。

死にたくない。まだ死にたくない。


そう思いながら膝に顔をうずめて泣きました。


すると、ドアが開く音がしました。


ハッとして横を見ると、看護師さんが立っていました。


看護師「見回りです。どうされましたか?気分が悪いですか?」


私「いえ、体調は大丈夫です」


看護師「そうですか。よろしければ背中をさすりましょうか?」


私「ありがとうございます。でももう大丈夫です」


看護師「分かりました。何かあればナースコールしてください」


そう言って看護師さんは部屋を出ました。


時間を見ると5時でした。


朝5時になっても見回りに来るのかガーン


と思いました。


でも、看護師さんの優しい言葉が、荒れていた私の心を少し穏やかにしてくれました。


人の言葉は時に傷つく事もありますが、こんなにも温かいものなんだと気付かせてくれた出来事でした。