Kさんの逃亡生活は一週間で打ち切られた。

Kさんのお父さんとお母さんが探しに来て連れていかれたらしい。

実家にいられるようになったけど、お父さんから携帯のGPSを使って監視されるようになった。
Kさんが遊びに行くか自殺をすることを見張るためらしい。

以前のようにKさんに会えなくなった。

仕事が終わってから2時間くらい一緒にいるのがやっと。
遊びにも行けない。
泊まりにも行けない。

今までが会いすぎてたんだよね。

すごく淋しい…

でも、今ウチの存在がバレたらやっかいなことになる。

ウチらが一緒になることは100%不可能になる。

だから今は我慢するしかない。

いつか認めてもらえたらいいな…

Kさんと結婚するのは奇跡に近いことなのかもしれない。

例え無理だと分かっていても、今は彼のそばにいたい。

同情なのか愛情なのか分からなくなる。
それでも一緒にいたい気持ちは変わらない。

彼が幸せになってくれるなら、
彼の理想になれるのなら、
もう少し頑張ってみようと思う。

とりあえず一つ一つクリアしていかなきゃ。


どうかこれ以上Kさんを追い詰めることがありませんように。
Kさんが家に帰らなくなって一週間が過ぎた。

お風呂は実家に帰って入り、洗濯は会社の洗濯機でやって、車で寝泊まりをしている。


いつまでもこんな生活をしていたら絶対体を壊すだろうな…


アパートを借りれたら良いのだけど、すぐにはできないのが現実。


ウチはできるだけKさんを1人にさせたくない。

会社や実家以外は車で1人。
モニターがあるからDVDは観れて暇つぶしにはなるけど、何をしでかすかまだ不安でたまらない…

不安で会いに行くと、Kさんは普通に笑ってくれる。

それを見てやっと安心できる。

でもどことなく疲れている様子。

抱きしめてあげると、ぐったりと体を預けてくる。
いつもならウチが頭を撫でてもらっているけど、最近はウチがKさんの頭を撫でたり、体をさすってあげている。
子どもをあやすように[大丈夫だよ]って言いながら。

Kさんの最近の口癖は
[どこにもいかないで]
[一緒にいて]

ウチが離れていくと思っているのかな。

Kさんは普段はSで相手にはズバズバ言うタイプ。
だから責めらたてられるのに慣れていないから今回はかなり落ちていた。
自分を傷つけることはもうしないって約束したけど、やっぱりまだ不安だ。

それでもKさんはウチと一緒にいる時は普通で楽しそうにしてくれる。

そんなKさんに
Kさん[こんな俺だからPeaceのこと幸せにしてあげられるか分からない。でも、俺はPeaceと一緒にいられてすげー幸せなんだ。自分だけ幸せ感じてごめんな…]
って言われた。
ウチは
Peace[前にも言ったけどKさんの幸せがウチの幸せなんだよ??確かに慰謝料だの養育費だの大変にはなってくる。でも、奥さんからKさんを盗ったんだもん。安いもんじゃない??]
って言ってあげた。

Kさんは
Kさん[そんなこと言われたの初めてだ。すげー嬉しい…。俺は今までカップルとか見てひがむことしかできなかったけど、Peaceが俺にいろんな幸せくれるから人生も捨てたもんじゃないって思えるよ。]
と言ってくれた。

ウチもこの先何があるか不安でたまらないけど、今はKさんに元気になってもらうことが先決だと思う。

いずれ捨てられたとしても、彼が生きていけるならそれでいい。

自分の幸せなんてとうの昔に忘れた。

彼の幸せを願うのみ。
離婚の話を聞いた次の日、なかなかKさんからのメールがこなくて不安ばかりが募っていた。

Kさんが仕事に行く前にやっとメールがきた。

内容が
[首吊り失敗した]
の一文だけ。


頭が現実に追いつかなくて動けなくなった。

そして声を出して泣いた。

とりあえず安否だけ知りたくて、唯一ウチとKさんの仲を知っているJさんに電話をかけた。
仕事には普通に来てるというコトだったから一応安心したけど…

Kさんがいなくなった世界なんて考えたくないよ。

1人で逝かないでよ。
置いていかないで…

一緒になろうって約束したよね?

勝手なコトすんなよ

ふざけんなよ


泣きながら怒った。


[もうやらやないから]

そう言って二日後、
今度は頭痛薬を一箱飲んで錯乱状態になり、病院に運ばれた。


なんでそんなコトするの??
って聞くと、
[腹いせかな…でも途中でPeaceに[またね]って約束したの思い出して未遂で済んだんだよね]

[俺が死んでも所詮は赤の他人だ。何とも思わないだろうなって思ってバカバカしくなった。俺にはPeaceがいるからまだ頑張って生きられるよ。約束する。]

次はないと思う。
次やったら、きっとKさんはいなくなる。

彼に何もしてあげられないけど、一緒にいることはできる。

彼がまた病んだり、落ち込んだりする時があったとしても、
[大丈夫だよ]
って声をかけてあげるよ。

ウチはずっとそばにいるよ。


あれから一週間が過ぎ、Kさんは家にあまり帰らず、車や実家で過ごしている。

ウチが仕事を終えてから会いに行き、眠くなるまで話をしたり、手をつないだり、抱きしめたりする。

Kさんはご飯もなんとか食べられるようになったし、冗談を言えるようになった。

あとはKさんが前みたいにポジティブに生きていけば大丈夫だと思った。


彼のいない世界なんて考えたくない。

彼が笑ってくれるならどんなバカだってするから。

だから、頑張って生きて。
これ以上人生を無駄にしないで。

支えられる部分は支えていくから、あなたは前を見ることに専念してください。

ずっと一緒だよ。