BLUE
BEAT POPS

RCサクセション

夜に腰かけてた 中途半端な夢は
電話のベルで 覚まされた
無口になった僕は ふさわしく暮らしてる
言い忘れた事 あるけれど


小学生の時、兄が友達のレコードからコピーしてきたテープはラプソディ(ライヴアルバム)。
狭い家のことだから兄の部屋から流れる音楽に影響を受けないはずもなく。
「子供心にガーンと来た」などというカッコいいエピソードは実はまるでなくて
気がついたら「ヘンな声」の忌野清志郎のうたが大好きになってた。
それ以来、そこそこ流行に流されつつも、学生時代はいつもRCを聴いていた。

多摩蘭坂を のぼりきる手前の
坂の途中の 家を借りて住んでる
だけどどうも苦手さ こんな夜は


一番最初に自分で買ったのは「BEAT POPS」のカセットテープ。ちょうど出たばっかりの時だったから。
子供だったから難しいことは考えずに、ただ大好きな「キヨシローのうた」を一緒に歌って嬉しかった。
お金があんまりなくて、レコードはおろかコンサートなんて夢、の中学生の時には
サザンと一緒にやった野外ライヴのラジオ放送を録音したっけそういえば…今思い出した。
やっとこ買った二番目のレコードが「BLUE」。順序が逆だわね。
発売された年月はそう遠くないのに、この二つはなんだかちょっと雰囲気が違う。

お月さまのぞいてる
君の口に似てる
キスしておくれよ 窓から


"キング・オブ・ライヴ"RCサクセションのライブを初めて見たのは高校生の時。
札幌の野外競技場でやったロック・サーキットっていういろんなバンドのライヴだったけど。
それから何度か、解散する前のRCのライヴも見ることができたのはほんとの幸せ。
十代にRCを好きになったことが、自分で嬉しいと思う。

「キヨシローのうた」が詩となってそして実感を伴って心に入りこんで来たのはいつだったっけ?
おかしくてキュートでめちゃくちゃロマンチックでそして皮肉でいじわるででもドライじゃないの。
そんなうたを歌う清志郎の声だってとってもキュートでロマンチックなのね。

多摩蘭坂を 上りきる手前の
坂の途中の 家を借りて住んでる
だけどどうも苦手さ こんな季節は


そういえば保坂和志の小説を読んでいる時の気分は
RCを聴いている時の気分に似ている。
ああこんなんじゃ、全然わからないにきまってる。
とにかく、こんなうたが大好きなんだから、ロマンチストなんですあたし。
と自己申告。

お月さまのぞいてる
君の口に似てる
キスしておくれよ 窓から
キスしておくれよ


何枚か買ったレコードは、プレイヤーが壊れて聴けなくなった。
かといってCDを買う時はついつい新しいのを買ってしまったから、古いのは今聴けないでいる。
ベストアルバムも出ているけれど…違うんだよね。昔聴いたあのアルバムじゃなきゃあ…
「BEAT POPS」と「BLUE」は特別だから、買っちゃおうかなぁ?

*引用は「多摩蘭坂」歌詞「BLUE」より

ただ今忌野清志郎氏は喉頭癌ということで入院加療中とのこと。
一ファンとして、ただただ快癒されることをお祈り申し上げます。
早く元気になってねぇ、キヨちゃん。みんな待ってるよん。