こんにちは、詩人オウィディウスです。

また間があいてしまったけど、前回の内容は覚えているかな?

戦車競走の観客席で、気になる女の子を見つけたら、

どんなふうに会話を展開するか、っていう話だったね。

こういう場面は、彼女に君の気配りをアピールするチャンス。

じゃあ、具体的にはどんなことをすればいいのか。それが今日の話題だ。

 

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よくあることだけど、彼女の膝にゴミが落ちていたりしたら、

指で払ってあげること。

ゴミなんか落ちてなくても、あることにして払っちゃおう。

どんな口実でもいいから、君の気配りを示すチャンスにするんだ。

彼女の外套が長すぎて、地面に垂れていたら

つまんで汚い地面からそっと持ち上げること。

そしたら、君の気配りの報酬として、うまくいけば

脚がちらっと見えたりするかもしれない。

君たちの後ろに誰が座ろうとも

膝が彼女の柔らかな背中に当たったりしないように、気を配ろう。

小さなことが、気まぐれな女心を捉えるものなんだ。

クッションをさっとあてがってやるのも、役に立つっていう人が多い。

薄い板であおいでやったり

きゃしゃな足の下に、中のうつろな足台を置いてやったりするのもいい。

(『アルス・アマトリア』1. 149-162)

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ここで言う女物の外套は、長い布を身体に巻くようにして着るものなんだけど

(ついでに言うと、ラテン語でパリウムといって、お水系の女の子が着るもの)、

長すぎると、座ったときに地面に付いちゃうこともあるんだ。

そういう時は、そっとたくし上げてやること。

その拍子に、ふだん見えない脚がチラ見えしたりすることもあるからね。

僕らの時代の競技場の観客席は、背もたれがないから

後ろに座ったやつの膝が背中に当たる可能性もあるんだよね。

そういうことがないように、注意しようっていうことなんだ。

薄い板っていうのは、ショーのプログラム。

紙はまだなかったから、こういうものに字を書いて使ったんだけど、

これを扇子代わりにして、あおいでやるってことだね。

足台はギリシャの時代からあるんだけど、中をくりぬくように作ってあるわけ。

とにかく、こういうちょっとした気遣いが女性を喜ばせることは、

いつの時代も同じだろうね。

 

次回からはもうちょっと間をあけないように頑張ります。(反省)

それじゃ、また次回。