。だが最後には,そうした境遇を受け入れようと決意する。自分を利用しようとした人々を見返すために。死の床にいる優しき皇子アルゼウスのために。なによりも,自身が生き続けるために。 エディアルドによる厳しい教育に耐え,誰もがアルゼウスだと疑わないほどの立ち居振る舞いを身につけたカリエは,ついにほかの皇子たちの待つカデーレ宮に足を踏み入れる,アイオン RMT。そこでさらなる苦難が自身を待ち受けているとも知らずに。 ●どんな困難にも屈しない。カリエは気高く,強く生きる 本作の魅力の半分は,主人公であるカリエの強さにある,と言って過言ではないだろう。 前段で述べたように,カリエが置かれた状況は,14歳の少女が1人で受け止めるにはあまりに過酷すぎるものだ。普通なら,その重圧に押しつぶされてもおかしくない。カリエもその例外ではないが,彼女がすごいのは最後にはそれを受け入れ,その中でなんとか生き抜こうとするところだ。大本には「死にたくない」という強い思いがあるとはいえ,それを貫くだけの意志は誰もが持てるようなものではない。 そしてその強さは,時として自身が生きること以外にも向けられる。たとえばカデーレ宮を抜け出し,こっそり街を訪れたカリエは,人々が口にする現体制への不満に,影武者の身でありながら心を痛める。カリエの強さは決して独りよがりな(たとえば,他人を傷つけてでも生き延びようとするような)ものではなく,周囲への優しい視線を含んだ強さなのである。 そんな彼女の魅力は,自然と周囲の人々を惹きつける。初めは「病から奇跡の復活を遂げた皇子」という表向きから近づいてきた人々も,実際にカリエを前にしてからは,その奥底にある人柄により強く魅せられるのだ。 もっともカリエとて,ターミネーターのような強さの権化というわけではなく,年相応の一面も併せ持っている。自分が皇子の身代わりであることを忘れて美貌の僧?サルベーンに一目惚れしたり,年下の生意気な皇子?ミューカレウスと取っ組み合いの喧嘩をしたり。それがまた,誰もが彼女を気にかけずにはいられない理由の1つとなっている。 ●大陸を股にかけた壮大な冒険譚が,ここから幕を開ける ところで,さまざまなライトノベルを紹介するこの「放課後ライトノベル」で,メイプルストーリー RMT,一般にはライトノベルレーベルとは思われない角川文庫の作品を紹介していることに疑問を覚えた人もいるかもしれない。実はこの作品,かつて少女小説の老舗?コバルト文庫で刊行されていた『流血女神伝』の冒頭なのである
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