直面する抵抗、それは自分に柔軟性が欠如していることを意味する | コミュニケーションを極める実践トレーニングを学ぶスクール

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あなたもプロのコミュニケーションスキルを身につけませんか?

ある高名なセラピストのもとで修行をしていた新米セラピストが、しっかりと実力をつけて独立を果たしました。独立後そのセラピストは心理相談室をそこそこうまく経営していました。ところが、ときどきではありますが、自分の治療に抵抗を示すクライアントが現れることがあり、そういう場合セラピーセッションは全くうまくいきませんでした。

 

このような経験を何度か繰り返していたそのセラピストは、師匠である有名セラピストのもとへ相談に訪れました。「先生、ときどきですが、私の治療に抵抗を示すクライアントがいて、困ってしまいます。このような場合、どう対処したらいいのでしょうか?」

 

新米セラピストがこのように助言を乞うと、師は少し考えてから言いました。「いいか、治療に抵抗を示すクライアントというのは存在しない。そこにあるのは柔軟性が欠如したセラピストだけだ。そのことを肝に銘じておきなさい」

 

師が新米セラピストに伝えたことを言い換えるのならば、どのような問題状況や困難な状況、また対人コミュニケーションにおける抵抗や確執などに直面しているとしても、そういった状況における問題点はすべて自分の中に見出していくのがプロ・コミュニケーターとしての基本的な在り方であると言えます。

 

プロ・コミュニケーターはこの原則をしっかり身体に落とし込んでいるので、相手のここが悪いとか、あそこが悪いとか、相手の問題点をあげつらうかわりに、すべての問題点や改善点を自分自身の中に見出し、自らの在り方を柔軟に変化させていきます。自身の話しの内容はもちろん、話し方、見た目や雰囲気など、言語と非言語を自在に操りながら、さらにはスーパーセルフの協力をも得ながら、的確に相手との関係性を発展させる方向へ常に意志決定していくことは、プロ・コミュニケーターとして基本に据えるべき考えなのです。

 

お釈迦様が言ったとされる「過去と他人は変えられない。しかし自分と未来は変えられる」という教えも、この第7 の原則を簡潔に示唆しています。第7 の原則を別の角度から見たときに、それをよく表しているのが「TOTE モデル」と呼ばれるNLP の重要概念です。

 

TOTE とは、Test、Operate、Test、Exit の頭文字をとって名付けられたモデルで、四字熟語で言うところの「試行錯誤」の意味に近いものですが、それよりも更にスッキリとした理解を我々に与えてくれるスマートなモデルです。

 

例えば、ある日会社から帰ったらお気に入りのTV 番組を見るぞと決めていて、番組に間に合うように家へと帰り着きました。ソファーに腰かけ、さっそくテレビの電源を入れようとしますがリモコンが見当たらないので、仕方なく立ち上がってテレビまで電源を入れにいきます。そしてソファーまで戻ってテレビを見る(Test)と、なんと見たい番組が映っていません。

 

この場合、どうするでしょう?何も考えずチャンネルを変えようとするでしょう。すぐに立ち上がり、テレビのところまでいき、チャンネルを操作(Operate)することと思います。この時「なんで違う番組が映っているんだ!チクショウ!!」などと言いながらイライラしたり憤ったりする人はまずいないはずです。

 

そして、ソファーまで戻ってくると再びテレビを見ます(Test)。これで確かに見たい番組は映るようになりましたが、よく聞くとボリュームが小さくて心地よくテレビを鑑賞できる状態にはありません。

 

これではまだExit することはできないので、次なるOperate に入る必要があります。さあ、どうしますか?この場合もやはり何も考えずにボリュームを上げようとするでしょう。立ち上がり、テレビのところまでいき、ボリュームを上げる(Operate)と思います。そして再びソファーまで戻り、見たい番組を快適な音量で鑑賞できることを確認できれば(Test)、ここで初めてExit することができ、番組を心行くまで楽しむことができるようになります。

 

以上がTOTE モデルを簡単に表わした例となるわけですが、ここで注目するべきは、小さくてそのままでは満足できないボリュームを調節する際もやはり「なんでボリュームがこんなに小さいねん!クソ!!」などと言って取り乱す人はいないはずであるという点です。それなのに多くの人は、それがこと仕事や対人関係などにおける問題に置き換わると、その途端「なんで違う番組やねん!」とか「なんでボリュームが小さいねん!」というのと酷似した内的対話を繰り返しながら、落ち込んだりイライラしたり憤りを感じたりしています。

 

これは比喩的な表現ではありますが、目標達成のプロセスや人間関係などにおいて悩みを抱え込んでしまうとき、人は決まって上の比喩で起こっているのと同じ状態に陥ってしまっているのです。チャンネルやボリュームを調整したいならば、ただ立ち上がって、ボリュームを変えにいけば良いだけのことで、そこに悩みはおろか内的対話など全く必要ありません。

 

これは目標達成や対人関係にも全く同じことが言えて、いったん目標を設定したのであれば、その目標に到達するまではある意味ロボットになって、現状が目標値に収まりExit できるまで、TOTE を繰り返せば良いのです。

 

おさらいすると、まず現状と目標とのギャップをTest し、そこにギャップがあればそのギャップを埋めるためのOperate を行い、再びTest、それでもまだギャップがあるようなら再度Operate に入り、またTest する。このOperate とTest のループを何度も繰り返していく中で、Test の結果、現状と目標との間のギャップがゼロになれば、そこでようやくExit する。これがTOTE モデルです。

 

以上のことから、「やっていることがうまくいかないなら、なんでもいい、他のことをやる」というのは、うまくいかないやり方にこだわらず、どんどん別のアプローチに改善し実行していく作業を、いちいち内的対話に入り込んで悩んだり困惑したりすることなく、うまくいくまで何度でも繰り返すということに他なりません。

 

現状に満足できないなら、何も考えずにすぐ立ち上がってチャンネルを変えに行くということなのです。これは、先に述べたエジソンの物語の中で、エジソンが首尾一貫して実践していたことでもあるのです。プロ・コミュニケーターは、この原則を非常に高いレベルで身に付けているため、目標達成や人間関係構築などにおいて、非常に卓越したパフォーマンスをごく自然につくり出していくことができるのです。