コンビニ、セブンイレブンの残した功罪。①草津温泉にコンビニ出店。是か非か?
「コンビニ残酷物語」を書こうと思っていたところ、「弁当の廃棄を勧めるコンビ二本部の陰謀」の記事に、現役のセブンイレブンの経営者の方からコメントが届いた。さすがコンビニ経営をされている方なので「なるほど」と思わせるコメントだった。
また、この記事に対しては、環境問題から見た「コンビニ弁当廃棄問題」ということでコメントを頂いた。その中では古館伊知郎の特別番組で地球環境問題の一つとしてこのことが取り上げられていたようで、社会的関心もかなり高いようである。http://blogs.yahoo.co.jp/pcscd431/13100665.html#32749029
そんなときこんな新聞記事を見た。
「草津温泉にコンビニエンスストアー進出で論争」
『草津温泉の湯畑に面した一角に、コンビニエンスストアのセブンイレブン・ジャパンが出店準備を進めていることが、15日分った。温泉街外周にある幹線道路沿いにはコンビニがあるが、中心部への出店は初めて。「景観が損なわれる」といった住民の声を受け、草津町は同社に出店見合わせを申し入れたが、受け入れられなかった。一方で、観光客の中には「便利になってよい」という声もあり、議論を呼んでいる。
町によると、出店するのは老舗旅館やホテルなどが建つ湯畑の西側。 <中略> 湯畑にはパチンコ店などもあるが、中沢町長はこれらを「日本の温泉の情緒の一角」とし、コンビニについては「非日常を売る場所に、日常的なものを持ち込んでほしくない」と否定的な見方を示す。出店計画は法的な問題をクリアしているため、「これ以上、止める方法がない」と漏らす。<以下省略> (読売新聞2月16日、群馬版より)』
私がかつて某コンビニ本部に勤務していたことは、何度か書いた。スーパーバイザーといって各店舗を巡回して、経営指導という名の「本部の指示」を守らせる役だった。
その経験から言わせてもらえば、このコンビニ進出は「反対」である。
幹線道路や周辺地域に出店する分には、町の商店の売り上げを食い荒らすこともないから構わないでしょう。ただ、今回のような「草津温泉の中心地へのコンビニ進出」に反対なのは、町側にとって決して「いい結果」をもたらさないと、ある程度予測ができるからです。これは「街の景観という問題」だけではない。
それは、温泉地や観光地の中心部にコンビニが出店すれば、その地域の商業施設は地盤沈下を起こしてしまうということになるからです。
なぜか?
まずこの件を例にしてみましょう。(細かい点は省略します。ここでは大きな流れだけを書きます)
草津の温泉地にセブンイレブンが出店すれば、確実に売り上げの高い店舗となるでしょう。なんといってもライバル店がいない独占状態なわけですから、当然です。それに経験上、こういった観光地のコンビニは売れるということは分っています。観光地それ自体が客の集まる場所であり、観光客にとっても必要なものが揃っているので、黙っていても客は来ます。(日用品を売る店は観光地には少ないということもある)
しかも24時間営業なら尚更でしょう。こういった観光地の商店は早くに店を閉めてしまうが、ジュースや酒、お菓子などを求める観光客は多く、かなりの需要があることは確実だからです。よって夜間の売上も期待できるでしょう。
そうなると、こんな「おいしい場所」を他のコンビニ業者が黙っているはずはない。他の企業が進出してくるのは確実です。それまで、出店を渋っていたのは、地元住民の反対(草津温泉のように)などが出てくるのを恐れていたり、良い物件が空かない(昔ながらの観光地は商店同士の横のつながりが強いため新しい企業が入りづらい)などの諸事情があってのことだ。
ただその地域に1店でも出店すると、次々にコンビニが出来てくるのです。(これには原則がありますが、この点は後で書きます)
ファミリーマート、ローソン、いや群馬なのでセーブオンも出てくるでしょうか。観光地側もセブンイレブンの出店を許したのに、他の企業のコンビニ出店を拒否できないでしょう。
それに、ライバル企業同士だけの戦いではありません。セブンイレブンも商圏が重なるような場所に、わざと2号店を作ったりして、同じセブン同士での商圏争いも始まるんですよ。(ここが、本部が儲かる仕組みになっている。この辺りも後で書きます。) それはもう、まるで病原菌のように街の商圏が蝕ばれていくのです。
そして、始まるんですよ。セブンイレブンによる破壊が……。
周辺地域を囲むように続々とコンビニが出店してくると、もう、一般の商店なんて歯が立たない。これにあわせて回りのみやげ物店や食べ物屋の売上が食われていくんですよ。これによって今まで、酒、飲み物など自販機で売っていた物の売り上げは減る。(自販機の売り上げは小店舗にとって重要なもの)、小腹がすいたといって、観光地でラーメンを食べたりしていた観光客が、コンビニのおにぎりなんかで済ませてしまうことになる。それによって食べ物屋の売上も減っていく。(こうなると、自分の家にいていつものように間食を食っているのと同じことになるわけで、観光地へ旅行した意味がないのだが……)
そして、進出したいコンビニ本部がすることというのは、目ぼしい商店主をけしかけてコンビニ店に改装させることなんですよ。これが一番手取り早い。特に酒やたばこの販売免許を持っている商店が狙われる。
そして、夢と希望を持たされたコンビニ店主の「残酷物語」が始まるわけです。
だが、最後には、身も心もボロボロになって、自分の店をコンビニ改装したことを後悔して、店は潰れていくんことになる。(これは後で書きます)
そうなると、必然的に、これら在来の店は営業を辞めて、閉店される店が増えていく。観光地にあった個性ある店も、閉店してしまえば、残るのは大手のコンビニだけという状態になるのです。シャッターで閉まった虫食い状態の観光地になれば、他の田舎町の商店街と変わらないことになっていくのです。「街の景観」という点から言えばこれほど無残なことはないでしょう。
そして一方では、売上の食い合いをしたコンビニ同士の争いもあって、負けたところは撤退していくことになる。(これは売り上げが減るといったことだけではなく、店舗のオーナー問題で撤退していくことも多い)。そして結果、残るのはセブンイレブンだけ、という状態になる。
かなり大雑把に書いているが、これは本当にあることなのです。
私は、商店街に次々とコンビニが進出して、どんどん商店が潰れていく様を見てきた。
現実に田舎の商店街に起こっている、よく見かける光景なのです。
それだけに、今回の「草津温泉にコンビニ進出」はとても気になる問題です。
そして、いま話題になっている「コンビニ24時間営業問題」のことですが、これにも「セブンイレブンの罪」の一つなのですが、
これは、次回に書きます。