奥日光で観察した植物 その一
2016年6月7日(火)
千葉県生涯大学校
卒業生学習会 ハイキングクラブ
千葉市 NTT前を午前7時に バス2台で出発
曇りの千葉をスタートし、途中で雨になり、いろは坂は濃い霧
これからどうなるのかと心配したが、
中禅寺湖畔に出ると太陽も出てきて
ハイキングコースでは少々雨がぱらついたが、
まずまずのハイキング日和
歩いたコース
日光湯元ビジターセンター ⇒ 湯ノ湖
⇒ 湯滝 ⇒ 小田代橋 ⇒ 光徳入口
訪れたところ
湯ノ湖 標高 1,475m
湯滝 滝壺 標高 1,410m
戦場ヶ原 標高 1,390~1,400m
ビジターセンター周辺で見かけた植物
シウリザクラ ばら科 サクラ属 落葉高木 満開
中国大陸東北部などに分布
花の印象からは桜の仲間とは思えない、穂状に白い花をたくさん付ける
近づいて花を一つ一つ見ると桜の仲間とわかる
花期は5-6月 果実は黒く熟す
和名は本種のアイヌ名をとってつけられた
アイヌ語名:シウリ siw-ri(siw-ni:苦い木から転訛)
ウワミズザクラに比べて、花序が長く太い
ウワミズザクラに比べて寒冷地に多い
シウリザクラは私にとって初観察
平地で見かけられる「ウワミズザクラ」と思いこんで、皆さんに「ウワミズザクラ」と説明してしまった
ごめんなさい
ズミ(酸実、桷) ばら科 リンゴ属 落葉小高木
別名:コリンゴ、コナシなど
花は盛りを過ぎて一部が残っている
リンゴに近縁な野生種 日本と朝鮮半島に分布
冷涼な高原ではしばしば群生し、上高地の小梨平、山中湖近くの小梨が原、日光の戦場ヶ原などがよく知られている
晩春から初夏にかけ、白または、白くて部分的にピンクの花を咲かせる
秋に、黄色または赤で小さな球形の果実をつける
和名の由来は、
染料(黄色)となることから染み(そみ)、
あるいは、実が酸っぱいことから酢実
レンゲツツジ(蓮華躑躅) つつじ科 ツツジ属
落葉低木

湿原や草地、明るい二次林などに生育する
春にオレンジ色の美しい花を咲かせる
レンゲツツジは有毒植物であり、家畜が食べない
群馬県の県花
レンゲの由来は、花や葉が枝先に丸く円を描くように並ぶからそれを蓮華(ハス)に見立てて
ツツジの由来は、「躑躅」は「足踏みをする」「たたずむ」の意であり、花の美しさに思わずたたずむことから
ツルアジサイ(蔓紫陽花) ゆきのした科
アジサイ属 落葉つる性木本
別名:ゴトウヅル、ツルデマリ
外側の装飾花が開き始めた状態
山地の岩崖や林縁に自生する
大きいものは高さ20mになる
枝先に直径10~12cmの装飾花と両性花から成る花序をつける
両性花は黄白色で、直径約5~6mm
芳香がある
装飾花3~7個が両性花を取り囲む
花期6~7月 果期9~10月
名前の由来は、蔓性のアジサイという意味
アジサイの語源は、本物の藍で染めたような色の花がたくさん集まって咲くという意味で「集(アズ)真(サ)藍(アイ)」とする説がある
クルマムグラ(車葎) あかね科 ヤエムグラ属 多年草
6枚の葉が輪生
北海道から九州の山地の林下に生え、
朝鮮半島にも分布する。
茎は立ち上がり、高さ10~20cmほど
葉は輪生し、下部の葉は8~9枚、上部では6枚付くことが多い
5月の終わり頃から7月にかけ、茎の先端に白い花を咲かせる
クルマは、葉を馬車の輻(や)(車輪の中心部から放射状に出ている細長い棒)に見立てたものに由来する
ムグラとは、生い茂って藪(やぶ)のようになる、つる草の総称
湯ノ湖横の山道で見かけた植物
のんびりと釣りをする人
シロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺) ばら科
オランダイチゴ属 多年草
別名:モリイチゴ(森苺)

草丈:10cm
春~夏、本州~九州の日本の山地で、 白い五弁花を咲かせる
開花期:3~7月 花径:1.5cm
花後に赤い果実がなる
ヘビイチゴの実は味がないが、このイチゴは熟すと甘い
シロバナの由来は、花が白いことから
ヘビイチゴの由来は、葉がヘビイチゴに似ているから
ヘビイチゴの由来は、湿り気のある如何にも蛇のいそうなところに生える苺
イチゴの由来は、日本書紀には「伊致寐姑(いちびこ)」という漢字でその存在が綴られている
「いちびこ」から転じて「イチゴ」になったと考えられている
ベニサラサドウダン(紅更紗満天星) つつじ科
ドウダンツツジ属 落葉低木
サラサドウダンの変種

本州の東北~中部地方に分布
一般にサラサドウダンより標高の高い場所に生える
亜高山帯の低木林の中や、湿原周辺の湿り気が多い場所を好む傾向がある
花は淡江~濃紅色で小さい 花期:5月~6月
花は下向きに咲く
ベニの由来は、サラサドウダンに比べて紅色が強いことから
サラサの由来は、花に更紗染めの模様があることから
ドウダンとは昔の油で燃やす明かりの灯台の意味で、灯心の周りを囲った風よけが花の形に見えることから。
ズダヤクシュ(喘息薬種) ゆきのした科
ズダヤクシュ属 多年草

深山から亜高山帯にかけて林の中に生える繊細な多年草
ややまばらなブラシ形の花序を作り、花は白い萼片が目立つ
花弁は糸状でやはり白色
葉はモミジ形
名前の由来は、果実の形が頭陀袋(ずだぶくろ)に似ているからという説と、
信州・木曽の方言で喘息(ぜんそく)のことを「ズダ」と呼び、咳止めや喘息の薬として利用していたことから名付けられたという説がある
マイヅルソウ(舞鶴草) ゆり科 マイヅルソウ属
多年草
北海道~九州の山地から亜高山帯の針葉樹林内に生える
高さ10~25cm
葉は長さ2~4cmの柄があり、先はとがり、基部は深い心形
茎頂に白色の小さな花を多数総状につける 花期は5~7月
果実は球形の液果で直径5~7mm、赤く熟す
和名の由来は、葉の様子を鶴が羽を広げた形に見たてたもの
セントウソウ(仙洞草) せり科 セントウソウ属 多年草
北海道~九州の山野の林内や林縁などに生える
高さは10~25cmの小型で繊細
葉は1~3回3出羽状複葉で、紫色を帯びた長い柄があり、ほとんど根生する
葉の間から伸びた細い花茎の先に複散形花序をだし、白色の小さな花をつける
花期は3~5月
名前の由来は判っていない
”仙洞”とは仙人が住んでる洞窟の事で、そういう場所に生えるという説もあるが、定説にはなっていない
イワセントウソウ(岩仙洞草) せり科
イワセントウソウ属 多年草
イワセントウソウの葉
イワセントウソウの花
自生地は、深山の木陰の湿った岩上など
草丈:10~25cm
根生葉は2回3出複葉、 茎葉は普通1個で線形の羽状複葉
花は白色で、2~3個の花からなる散形花序を10数個つける
花期:5~6月
名前の由来は、岩場に生える仙洞草の意味
イワセントウソウは私(山野草)にとって初めての植物
暗い所で小さな花を撮るのに苦労した
湯野湖の風景
ウラハグサ・フウチソウ(裏葉草・風知草)
いね科 ウラハグサ属 多年草
英国でJapanese forest grassと呼ばれ、人気のあるガーデニング材料となっている
黄色や斑入りなど多くの園芸種があり、日本に逆輸入され、園芸店ではフウチソウと呼ばれている
在来種(日本固有種) 本州(関東地方、中部地方、紀伊半島の太平洋側)
長い根茎が広がり、群生する 草丈:40~70㎝
葉は長さ10~20㎝の披針形、葉裏は緑色が濃く、光沢があり、葉表の方が色が薄く、葉の表裏が通常の反対になっている
長さ約10㎝の円錐花序に細い小穂を多数つける
花期:8~10月
和名は葉裏が葉表のように見えることに由来する
生涯大学校 京葉学園の玄関前の植え込みに植えられている
入学してすぐに野口先生に教えていただいた
ヤマドリゼンマイ(山鳥薇) ぜんまい科
ゼンマイ属 夏緑性のシダ
日本全土のやや高い山地の、日当たりのよい湿原、林内に生え、群生する
草丈:70~100㎝ 大形のシダ
ゼンマイと同じようにあく抜き処理をすれば食べられるが、処理に時間がかかるのであまり食べられていない
ヤマドリゼンマイという名前は
ゼンマイ科の植物であること、
褐色の細長い胞子葉をヤマドリ(山鳥)の尾に見立てたことに因む
クジャクシダ(孔雀羊歯) みずわらび科
北海道~本州、四国の山地の林縁で見られる
クジャクシダは葉の枝分かれに特徴があり、それぞれに羽状複葉になった枝(羽片)を、扇状に広げる
この広げた姿がクジャクの尾羽を思わせるのが名前の由来
湯滝への難所の坂道
湯滝 落差:50m 滝幅:25m
オオカメノキ・ムシカリ(大亀の木・虫狩)
ゆきのした科 ガマズミ属 落葉小高木
花が終わり若い果実がついている
北海道~九州の山地に生える
葉身は直径6~20cmの円形~広卵形
枝先に直径6~14cmの散房花序をだし、白い花を多数つける
花は両性花と装飾花からなり、装飾花は5裂して平開する
花期は4~6月
果実は核果 8~10月に赤くなり、完全に熟すと黒くなる
オオカメノキの由来は、亀の甲羅のような形をしたちりめん状の葉から
ムシカリの由来は、葉を虫が好むというのでムシカリ「虫狩」
クリンソウ(九輪草) さくらそう科 サクラソウ属 多年草
湿地の周辺などの草地に生育する
花は5月から6月頃に咲き、花茎を出して2~5段に輪生させる
色は紅紫色で直径2~2.5cm
稀に白花のものもある
花は花茎を中心に円状につき、それが数段に重なる姿が仏閣の屋根にある「九輪」に似ていることから名前の由来となっている
ハルカラマツ(春落葉松) きんぽうげ科
カラマツソウ属 多年草
本州(東北地方南部~関東地方北部)の湿った草地に生える
草丈50~100cmの多年草
茎は上部でまばらに分枝し、茎葉は2~3回3出複葉
花は直径8mmで黄白色 花期: 6~7月
ハルは、春に咲くことから
カラマツは、カラマツソウのこと
カラマツソウの名前の由来は、雄蕊(おしべ)が房状に目立つ花の様子が、マツの仲間では針葉が短いカラマツ(落葉松)に似ていることからの命名
秋に咲く「アキカラマツ」は千葉県でも普通に見かける
ハルカラマツは私(山野草)にとって初めての植物
クサソテツ・コゴミ(草蘇鉄) めしだ科
クサソテツ属 夏緑シダ植物
北海道~九州の河川敷や山麓の湿地に生育する
クサソテツよりコゴミが山菜としてよく知られている
クサソテツ・コゴミには、同じシダ植物のワラビやゼンマイのようなアクはほとんどなく、採ってきたばかりの物なら生でも食べられる
クサソテツの名前の由来は、葉の形がソテツに似ているから
ソテツの名前の由来は、ソテツは弱ってきたとき、幹に鉄くぎを打ったり根に金くずをやると元気になることから「鉄でよみがえる」という意味から蘇鉄という名がついた
別名のコゴミは、新芽の先が曲がっていて、かがんでいる様から「カガム」「コゴム」と呼ばれ、それが「クグミ」になり、「コゴミ」はそこから転化したのでは、といわれています
ツマトリソウ(褄取草) サクラソウ科
ツマトリソウ属 多年草
北半球に広く分布し、亜高山の草地や林縁に生える
初夏に小さく可憐な白い花を咲かせる
がく片は7烈するものが多いようだが、6烈や8烈のものもある
つまどるとは、鎧の端を別色の糸や皮で継ぎ合わせること
ツマトリソウの名は、がく片の先端がまれに薄く赤になり、つまどっているように見えることにちなむ
今回見た個体は残念ながら真っ白だった






















