モンサント(現バイエル)の農薬

ラウンドアップが米国消費者市場において

2023年からの撤退が確定した。 


アメリカでは、2023年からは

個人向けの家庭菜園や芝で使う農薬から

ラウンドアップが消えることになる。


バイエル(モンサント)は米国での

ラウンドアップに対する訴訟の賠償のために

116億ドルを用意していた。

しかし、集団訴訟の交渉はまとまらず、

さらに45億ドルを追加することを表明した。

賠償金は、合計で160億ドルを超えた。


この危険な農薬をアメリカで売り続けることは、

さすがに裁判と両立しえない。

発ガン性の危険を商品に表示することを求められた

バイエル(モンサント)はそれを拒否し、

2023年から消費者市場から撤退することを

ほのめかしていたが、

2021年7月29日にバイエルはそれを断言した。


すでにコストコなどのスーパーでは、

販売を中止していたが、

2023年にはすべての販売店から

ラウンドアップが完全に姿を消すことになる。


バイエルとしては、

ラウンドアップを農業用農薬としての

販売は、続けることになるが、

これは大きな第一歩となる。


また、道路、公園、学校などでの散布は、

今回の決定は影響しないようだが、

すでに米国では多くの自治体が

ラウンドアップの散布を禁止している。


さて、

日本のホームセンターで山積みしてある

ラウンドアップも消えてくれるのだろうか? 

残念ながら日本では近年、

ラウンドアップの販売額は増加が続いている。


今年からラウンドアップ、グリホサートの

農薬再評価が始まる。

ここまで危険が明らかになった

農薬は禁止すべきであるのだが、、、



https://youtu.be/DRlFjOcI1qk



毒は日本中に撒かれている

 

アメリカでは、

ベトナム戦争で枯葉剤の不良在庫を抱え、

その処分に困ったことはご存知でしょうか。


困った挙句に、日本政府に押し付け。

林野庁が、日本の国有林に雑草対策と称して

散布し、それでも処理しきれなかったので、

国有林内の山に埋設投棄したという

記事がありました。


第24回『週刊金曜日』ルポルタージュ大賞入選作

「枯葉剤がカワウソを殺した」(成川順)

より抜粋(一部修正)


カワウソの激減


最近、農薬の散布に加えて、ベトナム戦争起源の

枯葉剤の存在を、カワウソ激減の原因として

考えなければならないことに気づきました。

私が、枯葉剤が高知県の国有林野に散布、

埋設投棄されていたのを知ったのは、

2012年の秋のことです。

『世界』(岩波の月刊誌)からカワウソ取材で

派遣されたライターのMさんから

それを聞かされた時は、

えー、そんなことありかよー

と叫んでいました。

しかし、カワウソ激減の時期と枯葉剤散布の時期は、

およそ重なります。

また、川や海の魚が10分の1に減ったという

おそろしい話もそれと重なります。

アユやウナギの原因不明の大量死が頻発し、

「山菜を食べると、ガンになる」

という噂が広がったのも、そのころです。

 

枯葉剤とは何か


1961年から1975年までに、

アメリカは、8万3600キロリットルの

枯葉剤をベトナムのジャングルに散布しました。

なるべく南ベトナム軍のパイロットを使ったり、

民間機を使ったり、

アメリカ軍の関与を表面化させないように

工作しました。

アメリカは最初から、

枯葉剤の人体への影響を知っていたのです。

それが化学兵器であることを知っていたのです。

しかし、

ジャングルの中のゲリラの動きを見るために、

4百万のベトナム人が

枯葉剤を頭上から浴びせられました。

まもなく、ベトナムでは多くの奇形児が

生まれるようになりました。

ベトちゃん、ドクちゃんは、あまりに有名です。

集中散布地域のタンニンでは、

千人中64人の高率で奇形が発生しました。

 

散布したアメリカ兵も

枯葉剤被害と無関係ではありませんでした。

戦後、ベトナム帰還兵と

その子どもたちにも異常が出てきました。

1984年、枯葉剤製造会社に対し、

4万人のアメリカ人が集団訴訟を起こしました。

そして、製造会社は、被害を認めぬまま、

補償金1億8000万ドルを

支払う和解案に同意しました。

和解を不服とする人たちが、

1989年にふたたび訴訟を起こしましたが、

却下されました。


アメリカは、245Tは植物対象なので

化学兵器ではないと主張しましたが、

人間にも健康被害が出ました。

スウェーデンは、

「奇形児出産の恐れがある」ということで、

245Tの製造を中止しました。

動物実験では催奇性が証明されています。

人間で証明されていないのは、

人体実験ができないからにすぎません。

 

枯葉剤の散布


私の隣人に、

営林署一筋の人生を歩んだ80歳のKさんがいます。

彼は、ニホンミツバチの巣箱を50個持っていて、

私とよくミツバチの話をします。

ある夏の日、地区の草刈りがあった時、

「今年はミツバチが多いですね」

と彼の方から話しかけてきました。

「確かに畑でもよく見かけますが、

最近の新聞では、少なくて困っている、

とありましたよ。

ところで、245Tを知っていますか」

と私が質問すると、

彼は、硬い表情になってうなずき、

言葉を選びつつ、こんな話をしてくれました。


「1970年ごろ、国有林の天然林やスギ林、

ヒノキ林で、強力な除草剤を散布しました。

非常に毒性が強いということで、

『スギ、ヒノキには絶対にかけるな』と注意され、

日に2時間以上働くことを禁じられていました。

粒剤でしたが、

『作業が終わったら、シャワーを必ず浴びろ』

と指導されました。

その作業は、2年ほど続きました。

除草剤として非常によく効いたと思います」


高知県では、

1967年から1970年までに、

その245T、

1万5000リットルの乳剤と

129トンの粒剤が国有林に散布されました。

国有林というのは、

およそ水源地のことでもあります。

高知県の河川は

どれほど245Tに汚染されたことでしょう。

県有林、民有林でも実験的に

10トン散布されました。

県西部(旧佐賀町)の民有林で、

「営林署に管理を委託したら、

『今後、50年は入らないでください』

と言われ、面食らった」という話があります。

 

ベトナム戦争がアメリカの敗戦により

予想外に早く終わったので、

アメリカは、枯葉剤の不良在庫を抱え込み、

その処分を日本に押し付けました。

さらに、林野庁から枯葉剤を押し付けられたのは、

16県1道ですが、

高知県は、散布、埋設投棄ともに

全国で1、2を争う多さです。

16県1道の名前をここに列記すると、

北海道、青森県、岩手県、福島県、群馬県、山梨県、

愛知県、岐阜県、広島県、愛媛県、高知県、佐賀県、

長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県です。

人口集中地帯を外しているのは、

原発建設の立地条件と同じ理由によるものでしょう。


イノシシ猟師の平賀真助さん(大川村・村議)は、

若い頃林業関係の仕事をしていたこともあり、

山の変化を目の当たりにしてきました。

私は、25年前に大阪から

Iターンしてきたのですが、

その頃から親しく付き合っています。

枯葉剤の話をすると、

以下のような言葉が返ってきました。 


「大川村の井野川では、40年ほど前、

天然林の皆伐をする時、

ササが作業の邪魔になりました。

それで、強力な除草剤を散布しました。

それが、枯葉剤であったのか

どうかはわかりません。

しかし、その影響で、井野川から

サンショウウオや天然のアメゴが姿を消しました。

今、井野川にアメゴはおりますよ。

しかし、あれは、その後放流したアメゴです。

それから、

上から石を投げたら

川の色が変わるほど魚がいたんですよ。

今はそんなこと起こりません。

魚がめっきり減ってしまいました。

営林署は、署員には、散布作業はやらせず、

下請けにやらせていました」

 

野生動物への影響


1970年には、

下北半島のニホンザルがエサ不足から

南下を始め、多くの奇形が生まれました。

エサ不足というのは、

下北半島の動植物の生態系に

大変動が起こったということかと思われます。

散布の3日後に、

カモシカが口から泡を吹いて死亡しました。

四国では、ニホンカワウソが激減しました。

カワウソの場合、魚やエビ、カニを食べるので、

生物濃縮によって、

他の野生動物より245Tの影響を

大きく受けたということではないでしょうか。

人間にも影響が出ています。

散布した地域では、

流産が多くなったというデータがあります。

また、ガン患者が多くなったというデータもあります。

日本人の母乳からはダイオキシンが

検出されることがありますが、

それも枯葉剤起源であろう、と囁かれています。


埋設枯葉剤の回収


いの町在住の山脇幸一さんは、

かつて須崎営林署の組合委員長をしていました。

その関係で、1984年当時、

埋設投棄した人(営林署員)に案内させて、

245Tの回収作業を指揮した経験があります。

「埋められていたのは、不入山(いらずやま)の

8合目付近でした。

1.5メートルくらい掘ったところから出てきました。

一斗缶のような缶に入っていました。

穴はあいていなかったです。

臭いもしませんでした。

回収して、しばらく須崎営林署の

倉庫に入れていましたが、指示があって、

高知市の営林局に持って行きました。

その後その245Tがどうなったかは、

私は知りません」


不入山というのは、四万十川の源頭部です。

仁淀川、物部川、吉野川でも同じことが

行われていたようです。

つまり、信じがたいことですが、

よりによって、

一級河川の 源頭部という最も避けるべき場所に

245Tは埋設投棄されていたのです。


2013年6月25日、

高知市の営林局に行きました。

全国山林労働組合高知県本部・執行委員長の

浜田嘉彦さんに会うためです。

彼は、1984年、埋設枯葉剤が愛媛県など

全国各地で流出していることが問題化した折、

全林野四国本部・書記長として、

林野庁と交渉にあたり、

埋設枯葉剤回収の指揮をとった人物です。

 

「当時、農薬使用に反対する全林野は、

孤立していました。

林野庁だけでなく、

マスコミからも批判されていました。

学者は、およそ御用学者ばかりでした。

『農薬を怖れるのは、科学的でない。

時代遅れである』

などと批判されていました。

埋設された245Tの回収は、四国だけでなく、

全国的に一応終了しています。

それぞれの地域で1カ所に集め、

コンクリートで周囲を固めて、管理しています。

時間が経っているので、

市町村役場ではおぼつかないでしょうが、

各地の森林管理所で聞けば、

集中管理している場所を教えてくれるはずです。


245Tは、最終的には、火力発電所か何かで、

1300度以上の高温で焼却するしかありません。

四国電力も火力発電所を持っていますから、

私は焼却処分の交渉をしました。

しかし、『危険である』ということで断られました。

ですから、焼却のための火力発電所を国が作って、

焼却が終わったら、

誰かが火力発電所として使ったらいいんです。

毒物は、どこにあっても毒物で、放射能と違って、

半減期というのはありません。

245Tの焼却無害化も、喫緊の課題です。

私たちは、昔から、松くい虫防除の農薬散布にも

反対していますが、

こちらの方はまだ止まっていません」


最初に埋設されたのが1971年、

流出が問題化し、全林野に発掘され、

再度埋設されたのが1984年です。

時間は十分に流れています。

容器やコンクリートの劣化も気になりますが、

地震や洪水、山津波なども心配です。

一日も早い245Tの

再発掘、無害化、焼却処分が望まれます。

もし、全林野による245Tの発掘、回収作業がなければ、

今頃日本は大変なことになっていたことでしょう。


1984年と言えば、

アメリカで枯葉剤訴訟が和解した年です。

まだ道半ばですが、世界の良識が、

アメリカ軍による枯葉剤使用を批判、

告発し続けています。

全林野の地道な反対運動が「時代遅れ」

でなかったことが、日本の世論でなく、

世界の世論によって証明されたかっこうです。 


第24回『週刊金曜日』ルポルタージュ大賞入選作

「枯葉剤がカワウソを殺した」(成川順)

より抜粋(一部修正)


https://youtu.be/DRlFjOcI1qk


ミツバチ大量死の主な原因となるのが、

ネオニコチノイド系殺虫剤と

グリホサートを有効成分とする除草剤だ。


大量死したミツバチの体内から検出される成分として

夏にゾウムシから守る農薬として使用されている

ネオニコチノイド系殺虫剤である

ダントツ水和剤が有名だ。


ネオニコチノイド系の農薬の特徴は、

従来の有機リン系の農薬と違って

虫の体内に残留する期間が長いこと。

つまり有機リン系の農薬は、虫をすぐに殺すが、

ネオニコチノイドは、虫をゆっくり殺すことで

集団で暮らすハチやアリなどを巣ごと

全滅させることができる非常に効率的な農薬である。


植物体への浸透移行性があり

残効が長い利点があり、

殺虫剤の散布回数を減らせるため、

世界各国において最も主流の殺虫剤として用いられて、

1990年頃から使用が急増した。

その後、世界各地でミツバチ大量死が多発し、

膨大な研究が行われた結果、

ネオニコチノイドが主原因と科学的に判明した。

EUでは規制が進み、2018年、

EUは登録ネオニコチノイド主要5種の内、

3種を原則使用禁止、

フランスは主要5種全てを禁止した。

一方、日本では、逆に

農薬残留基準を大幅に緩和している。


昆虫のみならず、

ヒトでも神経伝達物質として自律神経系、

神経筋接合部、中枢神経系において

作用していることから、

ネオニコチノイド系農薬のヒトの脳への影響、

とりわけ胎児・小児など脆弱な

発達中の脳への影響を懸念する意見もある。


使用を規制し始めたヨーロッパと

使用を緩和し促進し始めた日本。

全く逆の方向に動いている。


農家にとってはありがたい農薬。

しかし、一方でミツバチが全滅してしまう

ネオニコチノイド系の農薬があるのも事実だ。


https://www.facebook.com/PB.SATO