飢餓の現状

飢餓が原因で1日に4~5万人(1年間に1500万人以上)の人が亡くなっており(FAOより)、そのうち7割以上が子どもたちです。

世界中には食べ物が足りないの?

「飢餓」になるのは、食糧が十分につくられていないからではありません。
穀物は年間 24億トン生産されています。これは世界中の人が生きていくのに必要な量のおよそ2倍になります。
24億トン (年間穀物生産量) ÷ 71億人 (世界の人口)⇒  338kg (1人当たり)
※1人当たり1年間の標準量は  180kg

それでも食べ物の不足している人がいるのは、どうしてでしょうか?
たくさんの穀物はどこへ
1人当たりの食糧供給量を比較すると、日本では必要なカロリーより 31%も多く、ソマリアでは16%不足しています。
私たちのように食べるものがいつでも十分手にはいるのは、世界のおよそ2割の人だけなのです。
穀物は人間が食べるだけではなく、先進国では穀物の 6割(約4億トン)が、ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜のえさになっています。
牛肉1キロ作るために穀物11キロ、豚肉1キロ作るために穀物7キロ、鶏肉1キロ作るために穀物4キロを消費しています。
結果として、世界の 2割足らずの先進国にすむ私たちが世界の穀物の半分以上消費しているのです。

日本の飽食の影で・・・
私たちは日本人の食生活は、第二次世界大戦前とくらべると大きく変わりました。
例えば、肉や卵を食べる量は 10倍になり、えさとして使う穀物の量も急増。
現在、えさ用のトウモロコシや大豆は90%が輸入しています。
こうした穀物の消費の増加だけでなく、砂糖や植物油(ヤシ油)などのプランテーション作物を大量に輸入することで、途上国の生活にも大きくダメージを与えているのです。

世界で取れるマグロの4分の1以上が日本で消費されています。
そのマグロ漁の餌として、東南アジアの人が日常的に食べていた魚(ミルクフィッシュなど)を使ったため、その値段が高騰。
地元の人はその魚を簡単に食べられなくなりました。
さらに、現地では高級魚でほとんど食べられないマグロ(ツナ)は、日本では犬や猫たちがペットフードとして食べています。
絶滅が危惧される生物を記載したレッドリストにマグロは既に記載されています。資源保護が必要とされます。

輸入大国日本は廃棄大国
日本の食品の半分以上は、世界から輸入したものです。
私たちは年間 5500万トンの食糧を輸入しながら、1800万トンも捨てています。
食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、廃棄量は世界の食料援助総量470万トン(WFP)をはるかに上回り、3000万人分(途上国の5000万人分)の年間食料に匹敵しています。
日本の食品廃棄の実に半分以上にあたる1000万トンが家庭から捨てられています。
この家庭からでる残飯の総額は、日本全体で年間11兆円
これは日本の農水産業の生産額とほぼ同額です。
さらにその処理費用で、2兆円が使われています。
日本はほど大量に食糧を輸入しながら、廃棄を続けている国はないのです。
日本の食糧廃棄1940万トン
もし日本で食料の輸入がストップすれば・・・

穀物自給率

オーストラリア 241%
フランス 174%
アメリカ 125%
ドイツ 124%
インド 104%
中国 103%
北朝鮮 77%
日本 26%

食糧輸入が途絶した場合、1年後には3000万人が餓死すると1978年に試算されています。
今は、昭和50年頃の穀物自給率(40%)より10%以上悪化し、26%になっています。
もし、今、食糧輸入が途絶した場合にはそれ以上の餓死者が出ることになるのです。
今後、世界の食料は減産していく
2001年の世界の穀物在庫量は約6億トン(約100日分)でした。
しかし、猛暑・干ばつなどの異常気象、さらに新興国での食肉増加などの影響で、在庫は減少し、2011年の在庫量は4.5億トン(約75日分)まで低下しました。
現在、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国など世界84ヶ国が食糧援助を受けています。
世界の食料がより不足すれば、食糧支援を必要とする国はより増えていくのです。

できることからはじめよう

世界中で困窮している人たちが自立できるための支援が必要であると同時に、飽食や必要以上の消費をしている私たちの生活を見直すことが重要です。
まず食べる量を (例えば一割)減らしましょう
無駄な買い物、肉食、食べ残しを減らしましょう
国産品、無農薬の農作物を選びましょう
輸入品や季節はずれの食品 (ハウスの果物、野菜など)はさけましょう
 
食糧問題の現状は、黄信号です。
どうして食料が不足するのか、本当に不足しているのでしょうか。

毎日3,000万食の食料を廃棄する日本。
食料自給率が極端に低く、輸入してまで食べ残しています。
買い物のしかたなど、食について見直していきましょう。