4月。入学式の二日後。


学校から帰ってきたいーちゃんの足には大きな絆創膏が。
登校途中ですっころび、血まみれで登校し、
保健室へ直行ということらしい。

転んだけれどとっさに手を付けなかった理由について、
「ランドセルのココ(肩ヒモ)もってたから、つけなかったんだよ…」
と説明する彼。

そんな彼によると、
「おなかがまもってくれたから、カオはケガしなかったんだよ!」
と得意げ。

後日先生から聞いた話では、ちょうどその日、
新入生に保健室の使用方法を説明する予定だったそう。
いーちゃんは「こういうとき」に保健室に行くのだという格好のモデルとなり、
うれしそうに新入生代表として保健室のイスに座ったのだとか。

稀代のトホホボーイよ。

それにしても、登校後すぐに保健室に連れて行ってくれた上級生には感謝してもしきれない。
いーちゃんの通う小学校は登校班による集団登校で、
ステキなことに上級生たちが限りなく優しい。

登校二日目に転んだ彼だったが、
約一か月後の5月には傘を忘れていった帰り道に上級生の傘に入れてもらい(その子はいーちゃんを濡らすまいと、自分が濡れていたそうな…)、
約二か月後の6月には、履いていた靴を橋の下(水はないが草木が茂っているところ)に落とし(何をしていたらそうなる!?)たのを上級生たちが一生懸命取ろうとしてくれて、もはや彼らには頭が上がらない。

いーちゃんがとんでもなくトホホボーイなせいで、
その優しさがありがたくもあり、申し訳なくもある今日この頃。

いーちゃんも、上級生の優しさを受け継いでいってほしいと切に願う気持ちと、
頼むから、上級生たちが優しさを発揮しなければいけないような状況を作り出さないでくれ、
という願いが、心の中で互角のスプラトゥーン状態を繰り広げている父であった。