伝統の寿司に涙
帰国後最初のクライアントとの面談は、今回マジョルカゴルフコンペを共にした友人から
教えていただいた、日本唯一といっても過言ではない200年の伝統と技術に裏付けされた
確かな味を提供してくれる”おやじ”のいる店にしました。
その友人曰く、海外旅行後は迷いなく必ず立ち寄るほど旨い店だそうで、
そんなすごい店では、「おやじさんへお任せ」でお願いしてみるしかありません。
わくわくしながら初めの赤身を口にして、我々は揃って唸ることとなりました、
その味は一口めにして「これが本当の寿司味なのか・・・」と感慨深くさせるほど
味が違うのだから驚きます。そしてこれが最後の一貫に至るまで裏切らないのです。
これまで食べてきたものはいったいなんだったの?
これが魚本来の甘み、イクラの味、舌でとろけるウニの食感、海苔の風味。
これまで食べていた寿司が別なものに思うほどの格の違いを感じさせるその味は、全てが天然もの。
でもこれまでだって天然ものを食べていたはずなのに・・・何故?
全てがそこへ行き着くほどに旨いのだからどう表現したらよいのでしょう。
仕込みや握る技術は勿論、仕入れ先から伝統の繋がりに支えられた秘伝のルートにより
伝承されてきたものだそうで、8代に渡り200年もの間継承されてきたものだそうです。
200年も親の後を継ぐマインドを育てる秘訣は?と、
子育て最中の私が素朴な疑問をぶつけると、いやな顔一つせず答えてくれました。
「人には向き不向きもあるから、向かない子の場合もある。
そんなときは養子を取ってきたんだよ。」と深い回答がありました。
これだけの味を守り続けてこられるには、相当な信念と覚悟があるだろうことは想像できましたが、
そこまでは考えもつきませんでした。
私はついつい次なる質問を浴びせてしまいました。
「日本という国は、国宝級と言っても過言ではない、これだけの技術の伝承を
何かしら守ってゆく取り組みや、サポートするような動きというのは存在しているのですか?」
おやじさんは、それにはとても悲しそうに一言「ないんだよ・・・」と答えただけでした。
この時点で私の涙腺は音を立てて緩んでしまいました。。。(T□T)。。
味への感動、国への憤り、おやじさんへの感謝、何にも出来ていない情けない自分、
全てが入り混じったなんとも言えない涙。
そしておじさんが私のお腹を見て、一番強く言ってくれたのは、
「養殖業者にも自分の首を絞めてるようなものだって言うんだけどね・・・」
「養殖ものは抗生物質にまみれ、生簀の底はヘドロにまみれてる。」
「今はなかなか天然ものは手に入らなくなってきてしまっているけど、
魚の養殖ものは抗生物質まみれで人体にお及ぼす影響を考えると怖いんだよ。」
「できるなら天然ものしか食べちゃダメだよ。養殖ものは避けなさい。」ってことでした。
確かに、私は以前から生魚を一般の店で買うことは滅多になく、
生ものを戴くときは行きつけのお寿司屋さんというのが常ではありましたが、
しかし、今回のこのお店の味を知ってしまった今後は、どうするのか・・・
答えはおのずと見えていますが、輸入大国日本での食生活、
今後は家庭の味も一段とこれまで以上に気を配りそうです。
日本古来の伝統の味を守り続けてくれているおやじさん、そんな貴重なお店を教えてくれた友人、
共に感動を味わい共鳴してくださったクライアントの方、大きな感謝を抱いております。
ありがとうございました。
ちなみに写真一枚撮るのを忘れたというか、撮る間も惜しんだ、おバカな私を許しくださいませ。
このおみせBLOG上で紹介可能かを問い合わせてみたいとおもいます。
それからスイス&マジョルカ報告は主人が現在したためておりますので、もうしばらくお待ちくださいませ。