高密度と高品質 | 続 サルでもわかるプリント基板のはなし~きばんやおやじのブログ

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プリント基板の基礎から、実装技術を駆使した品質管理のノウハウ、コストダウンの方策まで、電子機器のものづくりのノウハウの虎の巻です

20年ほど以前に、
携帯電話をはじめ、
プリント配線板メーカー各社が
ビルドアップ工法のプリント配線板の
製造技術の開発に力を入れた時期があり、
当時在籍していた企業も同じ方向で
製販が一体となってシェアの拡大に力を入れていた。
その後、急速な円高によって
製造工場の海外への移転が進み、
中国などでの海外生産の方向性が定着して
ものづくりのノウハウも流失した。
プリント配線板の業界に限れば、
外形寸法
層数
板厚
表面処理
程度の情報で
単位面積あたりの金額を基本に
価格の標準化が進展して
業界が資本集約型の産業となり
設備があれば、品質は二の次として
プリント配線板を製造することは可能になった。
しかし、
プリント配線板の製造技術は設備に依存するわけではなく
製造技術に依存する部品であることを忘れるべきではない。

つまり、
プリント配線板は、本来は
技術集約型の産業であるということだ。

ビルドアップ工法は、
プリント配線板メーカー各社が、
仕様の高密度化を競ったが
配線の高密度化が高品質に直結する訳ではない。
競いたいことは、
高密度の仕様ではなく高品質のものづくりだ。
細い回路を形成する技術を否定するものではないが
重要な品質は、
スマートフォンやタブレットPCなどではなく
医療機器、輸送機器などの産業機器の信頼性だ。
高品質とは高信頼性を指す。