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吉本ばななさんは、言葉の使い方が上手いと思います。
言葉が生き生きとしている。
ネガティヴな印象を抱かれがちな言葉も、素材の味を生かしつつ、美しく生まれ変わらせることができる。
メイクのビフォーアフターみたい。
自分には思い付かないような言葉の使い方で、はっとさせられる。
言葉が、心に染み込んで栄養となる。
こちらは現実的な物語ですが、その中に、一般的には非現実的なシーンがありました。
ネタバレになってしまいますが、夢で現実を導くような?
でもそういう経験をしたことのある私にとっては、きっとそれも、“ありふれた”ことなのでしょう。
多くの人が記憶に残さないだけであって。
言葉に残さないだけであって。
失恋で東京から田舎へ帰省してきたヒロインは、その自然の穏やかな、ちょっとふわふわした感じに包まれて、ゆっくり傷を癒していくのですが。
あまり深いことは考えず、多くは考えず、ただ時間の経過と共に流されるままに、今たどり着いたところでゆっくりじっくり過ごしてくことも大事だと感じました。