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主人公は離婚をし、そしていとこは育ての親である祖父母を亡くし、傷を癒すためにふたりで旅行へ行く話です。
旅行って言っても有名どころではなく、寂れたようなところで。そこでのんびりと5日ほど過ごします。同じところに何回も行って、出来事としては、同じ毎日の繰り返しのようですが、その過程で少しずつ心を整理していきます。
私は結婚どころか交際もしたことはないけれど、結婚について考えさせられました。
いろんなところで聞くけど、やっぱり、「交際相手として選ぶ理想的な相手」と「結婚相手として選ぶ理想的な相手」って違いますね。
主人公は、相手の男性と一緒にいると楽しいということで結婚したけれど、安らぎを得れず、そして相手にも安らいでもらえず、いろいろなことが我慢できなくなって、離婚した。
交際だったら多くても週に1,2回しか会わないから、ハイテンションな楽しい人といれば毎回楽しいだろうし、デートのたびに非日常的なものが感じられれば嬉しいでしょうけど、結婚となると、毎日うぇーいっていうのはさすがにしんどいでしょう。
非日常なことを繰り返してきた相手と日常を過ごすって、どんな感じなんだろう。
落ち着いた人、独りの時間を大事にする人、そうぺちゃくちゃしゃべるような人ではない人、とかだったら、話は変わってくるのでしょうが。
子供がいたら、話は変わってくるのでしょうが。
主人公の元夫、結婚向いてないんじゃないかなぁって思った(笑)
吉本ばななさんの作品で、よく出てくる価値観が、「言葉にしないほうがいい感情・瞬間」というものが存在するということ。
あえて言葉にしてしまうと、その感情や瞬間の価値が下がってしまうということ?
――と、私が言葉にしてしまうのは、なんか違う気がしますが。
それこそ価値観の価値を下げてしまうような気がしますが(笑)
小説ですから、全く言葉にしない、というわけにはいかない。しかし言葉にして、はっきりと輪郭を付けてしまうのは無粋だ。
そういうシーンを、吉本ばななさんは絶妙に描いていらっしゃると思います。