栄養素についてもっとよく知ろう:鉄
今回はお馴染みの鉄を取り上げてみたいと思います。鉄って何?
鉄というと多くの人が気にしていると思いますし、実際普段気にする栄養素の一つでしょう。鉄は健康にとって極めて重要な栄養素であり、人体のあらゆる細胞内で見つけることが出来ます。主に、酸素を運ぶ役目を持つ分子であるヘモグロビンを形成するタンパク質と関わりを持っています。人体はおおよそ4グラムの鉄が存在しています。
食事中の鉄は2種類の形で入ってきます。ヘム鉄と非ヘム鉄です。ヘム鉄は動物の肉にのみ存在する物質で、動物組織内のヘモグロビン・ミオグロビンに由来するものです。非ヘム鉄は植物性の食品や乳製品に含まれています。
どんな風に働くの?
鉄はヘモグロビンの中心としての機能を果たしています。そして、それは赤血球の酸素運搬構成要素です。赤血球についてはほとんどの人がご存じだと思いますが、肺で酸素を取り上げて、それを全身に運搬する役割を持っています。赤血球の酸素を運搬する能力はヘモグロビン中の鉄の存在と関連づけられています。もし鉄が不足している場合、私たちの体内ではヘモグロビンの生産が低下してしまいます。そしてそれにより、体内の組織に対する酸素の運搬能力も低下してしまいます。鉄はさらにミオグロビンと呼ばれる別のタンパク質の構成要素としても重要な役割を持っています。ミオグロビンはヘモグロビンのように、酸素を運搬する分子の一つです。筋肉細胞、特に骨格筋や心臓に酸素を運搬する働きを持っています。
エネルギーの生産
鉄はさらに、シトクロム酵素・鉄ペルオキシダーゼ・鉄カタラーゼを含む様々な酵素の構成要素として、エネルギーを生産する際に重要な役割を担っています。さらに、脂肪の燃焼に重要な、非必須アミノ酸の一つであるカルニチンの生産にも関わっています。また、免疫システムの機能も十分な鉄に依存しています。鉄が不足すると?
人間の体は古い赤血球から新しい赤血球のためにヘモグロビンを作り出すために鉄を再利用することで非常に効果的に鉄を保存しますが、鉄不足はアメリカを始めとして世界中で最も一般的な栄養不足の一つとなっています。鉄不足の状態は食事中の鉄分の量が十分でない事や吸収率が悪いこと、寄生生物への感染、または内出血の原因となる状態に起因しているかもしれません。
また、日常的に献血をしている人や、生理中の出血が激しい人、鉄分の吸収を阻害する薬を飲んでいる人(制酸剤など)、妊娠中や授乳中の女性は貧血の可能性が出てきます。加えて、高齢者・ベジタリアン・十分に鉄を摂取していない子供も注意が必要です。
鉄不足は、ヘモグロビンが不足している発育不良な赤血球が特徴としてみられる、小球性貧血や低色素性貧血の原因となります。それにより、赤血球の酸素運搬能力が低下してしまいます。
しかし、貧血を発症する前だったとしても、鉄不足に陥っている人は、疲労・虚弱・スタミナ不足・集中力の欠如・感染症への罹患率の上昇・抜け毛・めまい・頭痛・爪が脆くなる・無感動・うつといった様々な症状を経験する可能性があります。
恐ろしいことに、鉄不足に陥っている人は、異食症と呼ばれる一般的でない食習慣を見せることがあります。それらの人は、食べるのに適していない、または普 通食べることが出来ない、泥・土・洗濯糊・炭・鉛の入ったペンキのかけらをいったものを食べることがあります。子供の場合、鉄不足は学習障害(LD)や IQの低下と関わりがあります。
過剰摂取の副作用
では、逆に過剰摂取した場合はどうなのでしょうか?鉄中毒と呼ばれる、鉄を含むサプリメントの急な大量摂取が原因となる現象は、吐き気・嘔吐・消化管の内壁へのダメージ・ショック・肝不全そして子供の場合死に至ることもあります。
また、慢性的な鉄の過剰摂取や過剰な鉄の貯蔵は、食欲減退・疲労・体重の減少・頭痛・肌の色がブロンズ色または灰色になる・めまい・吐き気・呼吸が浅くなるといった様々な症状の原因となります。
ただし、一般的には慢性的な鉄の過剰摂取は、日常的に輸血が必要な人や鉄のサプリメントを摂取している人、ヘマクロマトーシスと呼ばれる遺伝性の鉄の貯蔵障害を持っている人の間でのみ起きると考えられています。
ヘマクロマトーシスを持っている人は、鉄を体全体の組織に貯蔵してしまいます。特に肝臓、膵臓、心臓に多く蓄積するため、肝硬変、糖尿病、心不全を引き起こす可能性があります。
鉄の過剰摂取は食品の摂取からのみでは普通は起きにくいものですが、男性の場合、貧血を経験していないことが多いため、過剰な鉄に関連するリスクが高いと言えます。近年、度を超えた鉄の摂取や貯蔵、特に男性で心臓疾患やガンの原因に巻き込まれてきました。加えて、リュウマチ関節炎を患っている人の関節内で鉄は高いレベルで発見されることがあります。
予防や治療が期待できる病気
鉄を適切に摂取することで以下のような病気の予防・治療が期待できます。● アルコール中毒
● 注意欠陥障害(ADD)
● 大腸炎
● 糖尿病
● 月経時の過剰出血
● 鉄不足による貧血
● 白血病
● 寄生虫への感染
● 下肢静止不能症候群(RLS)
● 胃潰瘍
● 結核
鉄分の補給を忘れずに
前回のヨウ素は日本人にとっては比較的摂取しやすい栄養素だと言いましたが、逆に鉄分は欧米に比べると摂取しづらい栄養素かもしれません。というのは、鉄は植物性の食品には基本的にあまり多く含まれていないため、肉食である欧米人と比べて貧血が起こりやすいと言えます。肉を食べることを推奨するわけではありませんが、体にとって無くてはならない栄養素ですので、きちんと必要な量を毎日摂ることを心がけましょう。
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それではまた。
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