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yomiDr. | 2017.03.29 17:00

 抗がん剤と超音波の二重攻撃で難治性がんを死滅させることを目指す新しい治療法を、東京女子医科大学の村垣善浩教授(先端工学外科学)らの研究チームが開発した。

 手術ができない膵臓(すいぞう)がん患者15人を対象に安全性を確認する臨床研究を、東京医科大学消化器内科で4月にも始める。

 新治療では、超音波に反応して、がん細胞に毒となる活性酸素を発生させる抗がん剤を使用。この薬を微粒子で包み、がん細胞に集まるように加工した上で患者に注射する。24時間後に超音波を数回、病巣に集中して照射。活性酸素によるがんの死滅を狙う。

 病巣をピンポイントで攻撃できるため、正常細胞へのダメージを抑えることが期待される。動物実験では、通常の治療に比べて少ない抗がん剤でがんの成長を止める効果があり、重い副作用もないことを確認したという。

 小型超音波装置は、東北大と国内メーカーが共同開発。特殊な加工を施した抗がん剤も国内の技術で作製された。日本医療研究開発機構は「日の丸医療技術」として注目しており、実用化を加速させるため昨年11月に研究費の追加支援を行った。チームは2020年度の承認申請を目指している。

 この分野の研究に詳しい京都大学の武藤学教授は「活性酸素の治療効果が高く、抗がん剤が少量で済むので、従来の治療に比べて繰り返し行うことができるのが利点だ」と話している。

 

(2017年3月29日 読売新聞)