肥料登録という方策により生き残りを賭けたA社。
しかしながらこれが大いに外れた。
経営陣は

登録さえあればいいだろ?

と言った考え方だったが、営業的には違った。
これまで、農薬でもなく肥料でもなく資剤という立場で有機や減農薬などをターゲットにしてきた方針が大幅転換を余儀なくされたために。

また、農薬としての用途で使用させたい肥料もその売り文句が制限された。
やはり、農薬効果を前面に出すのは時勢的に憚られたためだった。

足掻かないことには倒産しかないためメインに販売していた農薬の登録拡大を計画した。
これが上手くいけばそれなりに生き残ることが可能と思えた。
だが、更なる法律変更などによりそれも難しくなり、経営は悪化する一途だった。

そんな訳だけど、法改正後1年目は僅かに売り上げが落ちた、という印象だった。
だが、その時にまさに主力の営業が一人別会社へ抜けていった。
有能な人だったのでその穴は大きかった。

その穴を埋めるために無駄に田舎に配置されている取締役部長が営業に回ることになった。
週に2日ほど出張しながら。

全く無駄な経費を用いたその場しのぎの策は当然失敗に終わり。
ボーナスのカットなど社員の生活を圧迫することに。
そしてまた一人営業が去っていった。

まあ、色々あるんだけどとにかくA社はもう虫の息。
最後に残ったのは農薬登録のある1商品だけ。
この農薬と言うのが…

違法とか偽装とかドンと来いのメイン商品に関してはまた。

*この内容は全てフィクションです。(同僚はまだ働いてるので)