髪を優しく撫でる感触がして私はゆっくりと目を覚ます。
一瞬何のことだかわからなかったけれど、昨日の経緯がフラッシュバックしてから
その手の人物を思い出した。
「ルカ、ちゃん…?」
ゆっくりと起き上がると、ルカちゃんが微笑みを見せてくれた。
「おはようアルマエルマ。ありがとうね、看病してくれたみたいでさ」
昨日の熱なんて、なんともないそんな表情でルカちゃんは呟く。
私が今まで寝ていた位置には、ルカちゃんの足があった。
膝枕していて、くれたんだ…。
「ルカ、ちゃん…っ!」
私はつい感極まって、抱きしめてしまっていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
目を覚ますと、横にはアルマエルマが僕の腰ぐらいの位置で寝ていた。
それだけで、アルマエルマがずっと看病してくれていたんだって、わかって、心が温かくなるのを感じた。
僕は自然と表情に出た笑顔と共に、アルマエルマへお礼の一言を伝えると。
アルマエルマは突然僕に抱きついてきた。
あの時とは違った、心がほんわかする感触。
僕が今まで求めていたのは、こういう幸せなの、かも。
「ごめん、独りにさせちゃって…」
そうだ、僕が寝込んでしまったら、アルマエルマは本当に独りになってしまう。
「ううん、近所のおばあちゃんが良くしてくれたから」
本当に面倒見のいい人だなぁ…。
「そっか」
耳元でそう囁いてからも、アルマエルマは数分程抱きついたままだった。
まるで、意識を取り戻した僕を再確認するかの、ように。
僕から離れるとアルマエルマは鼻歌を歌いながら。「ご飯、私が作ってあげるわ」そう笑顔を振りまいて行ってしまった。
「へぇ、アルマエルマがご飯かぁ」
んん…。アルマエルマがご飯…?
一体どういう風の吹き回しというか、一体どうなるんだろうか。
何か嫌な予感するので、多少重たい体を持ち上げて台所へ向かうと。
いつもの通りのワンピースにエプロンをつけたアルマエルマが真剣な眼差しで料理をしていた。
あれ、意外と手際もいいし、何かレシピ的なものを見て作っている…?
邪魔をしないようにリビングのイスへ腰掛けて、静かに見守っていると、アルマエルマはこちらへ気付いて、ゆっくりと口を開く。
「ルカちゃん、話の続きしていいかな」
少しだけ考えて、僕は気付いた。
アルマエルマが言っているのは、きっと、あの泉での話のこと。
そういえば、いいところでアリスが現れたのだった。
「本当にちょびっとだけ思い出したの、サキュバスの村が瓦礫の山になっていて、それを駆ける私…」
「サキュバスの村が、瓦礫の山って一体…」
「私にもわからないわ、でも、一つだけ確実なことがあるの」
アルマエルマはせっせと動かしていた手を止めて、こちらへ振り向いた。
「その現場に魔王様がいたことよ…」
「っ!?」
断片的な記憶ではあるが、それが真実だとするのなら…。
「もしかして、アリスがサキュバスの村を・・・?」
「…私の両親であろう、男女の横に立っていたのが、魔王様だったの」
「アリスは、そんなことするわけがっ…」
言おうとして、僕は口を閉ざした。
現状で真実にたどり着くのは無理だった。
「私も信じたくないわ、私が信じてきた魔王様が私の両親を…なんて」
アルマエルマも力なくそう言って、後に「この見ている映像だって、私のものかすら怪しいもの…」と付け加える。
「やっぱり、当事者に聞くべきだと思う」
そうだ、現状で全てを知っているであろうはアリスなんだから。
――――――「行くなルカ!!死ぬことになるぞっ!」
あのアリスの一言がひっかがっていた。
死ぬ、どうして…?
「魔王様に直接、聞くしかないわね」
「そのタイミングは、アルマエルマに任せるよ」
「今、すぐにでも行きたいわ」
「…ていうか、鍋大丈夫なの・・・?」
「え、あ、あぁーっ!!!!」
アルマエルマが台所を振り返ると、鍋から少しだけ黒い湯気が立ち上っていた。
そして、出来上がった料理は、黒いこげがところどころに混じったおかゆ。
一口食べてみると、本来のうまみと、苦味が口の中に広がった。
それでも、懸命に作ろうとしてくれただけで僕は嬉しかった。
「アルマエルマ、おいしいよ、ありがとう」
ご飯がうまいとかではなくて、アルマエルマが作ってくれるというだけで十分嬉しい。
それでも、しゅんっと落ち込んでいるアルマエルマ。
「こんなはずじゃ、なかったのにぃ…」
むーと口を尖らせて、僕の対面に座る彼女は、自分の作った料理を口に運んで、「にがぁ」と(>x<)←こんな顔をしていた。
それを何だかわいく思う。
「おいしいから気にしないでいいよ」
「うぅん…」
やっぱり納得のいかないアルマエルマなのだった。
「じゃあ、また今度作ってよ?」
「当たり前よっ、毎日でも作るわ」
そう言って、アルマエルマは自分の発言の意味に気付いて、頬を赤らめた。
「よろしくね」
でも、僕もそれについては大歓迎だった。
「それにしても、回復早いわねルカちゃん、昨日まで意識なかったのに…」
「僕は半分天使だからね、回復早いんだよ」
「あ、そうだったわね」
「あはは」と苦笑いするアルマエルマ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルマエルマとの食事を終えて、僕達は真実をを知るべく魔王城へと向かうのだったが。
僕の顔面は相変わらず、アルマエルマの豊満な胸に埋まってしまっていて、これからシリアスモードなのかギャグモードなのかいまいちわからなかった。
彼女は満足そうである。
魔王城へ着いて、魔王城へ入る時、アルマエルマは躊躇した。
それはそうだろう、彼女は今、四天王の一人ではないのだから。
「大丈夫だよ、僕がいるから」
アルマエルマと手を繋いで、魔王城を進む。その先には魔王である、アリスが待っていた。
隣にはたまもや、グランベリア、エルベティエも佇んでいる。
「アルマエルマ!戻ったきたのじゃな」
僕達二人を確認すると、たまもが花咲くような笑顔を見せる。
「もちろん、戻るのであろう、アルマエルマ」
「戻ってきたのね…」
エルベティエとグランベリアも笑顔を見せる。
僕達が構えていた反応とは少しズレていたため、僕はずっこけそうになった。
「てっきり追い出されるのかと…」
「そうね…」
僕とアルマエルマは顔を見合わせる。
「で、アルマエルマはどうしたいのだ?四天王に戻りたいのか?」
アリスが腕を組んで、アルマエルマに問う。
「私は…それよりもっ…」
その一言を聞いた瞬間、アリスは既にアルマエルマと衝突していた。
「なっ!」
僕は暴風に吹き飛ばされそうになるのを何とか踏ん張って耐えた。。
「そうか、では試験をしよう。お前が四天王に相応しいかっ!それが伝統であろう」
「突然何をするんですか魔王様…」
そのスピードごと受け止めたアルマエルマ。
力は互角なのか、その場から動くことはない。
「我はとてつもなく怒っている。そう、アルマエルマ、お前に対してだっ!!」」
アリスは強く叫んだ。
「私、私だって…!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
突然の出来事に反応は多少遅れてしまったものの、魔王様の攻撃を受け止めた。
これはもしかして…私を殺そうとしているの…?
「私だって、魔王様、いや、アリスフィーズっ!あなたに対して怒っている…!!」
きっと睨み返す。
ルカちゃんのおかげで踏みとどまっていた憤怒が当人を前にふつふつと湧き上がってきた。
私の両親を殺したであろう、アリスフィーズ。
知らぬ顔で今まで過ごしていた…!
そんな奴に今まで従っていた。
それが情けなくて、悔しくて。
「アルマエルマ、アリスやめて!!話し合いすらまだできてないんだぞ!?」
そんなルカちゃんの言葉は届かなかった。
今は目の前の獲物に復讐することしか頭にない。
「私の大切な人はもう渡さない、失わせない!!ルカちゃんは私のだっ!!!」
アリスフィーズと戦えばルカちゃんは悲しむかもしれないけど。
今だけは許してっ…。
「貴様ぁっ…!!!ルカは我のものだ。今まで築いてきた絆はお前なんかより深い、我こそがルカの隣に相応しいのだっ!!」
私とアリスフィーズは距離を取る。
「魔王様頭に血、上りすぎじゃぞ!?」
外野の四人は止めることもできず見守っているしかない。
だったら、ここで決着を着けよう。
邪魔もされないのなら。
「全力で行くっ!!」」
アリスフィーズが弾丸のようなスピードで迫り、振りかぶって突き出した拳を軽い身のこなしで交わして、そのまま巴投げをする。
「ぐっ」
相手の力をそのまま利用して地面を落としたため、すさまじい衝撃がアリスフィーズに襲ったはずだ。
息ができないのかゲホッゲホッと咳き込む。
「やはり、一筋縄ではいかないな…力も多少取り戻しているようだし」
「は、何を言って…」
その隙を突いて、アリスフィーズが、尻尾を横になぎ払う。
何とか距離をとって避けたものの、腕にそのまま巻きついてくる。
「ちぃっ…」
そのままじりじりと引っ張られていってしまう。
余裕の笑みを浮かべるアリスは。
「賭けをしよう。アルマエルマ、この四天王の試験に合格できたらルカとお前の交際を認める。だが、我が勝ったら、ルカのことを手放せ、かかわりを持つな、そして四天王を去れ」
「上等よっ…!」
負ければ私の居場所は完全になくなる。
私の存在する意味がなくなる。
死んだとしても、誰にも気付かれない…。
それが嫌なら、勝てばいい。
ルカちゃんと離れ離れになるぐらいだったら、勝つしかない…!
一瞬何のことだかわからなかったけれど、昨日の経緯がフラッシュバックしてから
その手の人物を思い出した。
「ルカ、ちゃん…?」
ゆっくりと起き上がると、ルカちゃんが微笑みを見せてくれた。
「おはようアルマエルマ。ありがとうね、看病してくれたみたいでさ」
昨日の熱なんて、なんともないそんな表情でルカちゃんは呟く。
私が今まで寝ていた位置には、ルカちゃんの足があった。
膝枕していて、くれたんだ…。
「ルカ、ちゃん…っ!」
私はつい感極まって、抱きしめてしまっていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
目を覚ますと、横にはアルマエルマが僕の腰ぐらいの位置で寝ていた。
それだけで、アルマエルマがずっと看病してくれていたんだって、わかって、心が温かくなるのを感じた。
僕は自然と表情に出た笑顔と共に、アルマエルマへお礼の一言を伝えると。
アルマエルマは突然僕に抱きついてきた。
あの時とは違った、心がほんわかする感触。
僕が今まで求めていたのは、こういう幸せなの、かも。
「ごめん、独りにさせちゃって…」
そうだ、僕が寝込んでしまったら、アルマエルマは本当に独りになってしまう。
「ううん、近所のおばあちゃんが良くしてくれたから」
本当に面倒見のいい人だなぁ…。
「そっか」
耳元でそう囁いてからも、アルマエルマは数分程抱きついたままだった。
まるで、意識を取り戻した僕を再確認するかの、ように。
僕から離れるとアルマエルマは鼻歌を歌いながら。「ご飯、私が作ってあげるわ」そう笑顔を振りまいて行ってしまった。
「へぇ、アルマエルマがご飯かぁ」
んん…。アルマエルマがご飯…?
一体どういう風の吹き回しというか、一体どうなるんだろうか。
何か嫌な予感するので、多少重たい体を持ち上げて台所へ向かうと。
いつもの通りのワンピースにエプロンをつけたアルマエルマが真剣な眼差しで料理をしていた。
あれ、意外と手際もいいし、何かレシピ的なものを見て作っている…?
邪魔をしないようにリビングのイスへ腰掛けて、静かに見守っていると、アルマエルマはこちらへ気付いて、ゆっくりと口を開く。
「ルカちゃん、話の続きしていいかな」
少しだけ考えて、僕は気付いた。
アルマエルマが言っているのは、きっと、あの泉での話のこと。
そういえば、いいところでアリスが現れたのだった。
「本当にちょびっとだけ思い出したの、サキュバスの村が瓦礫の山になっていて、それを駆ける私…」
「サキュバスの村が、瓦礫の山って一体…」
「私にもわからないわ、でも、一つだけ確実なことがあるの」
アルマエルマはせっせと動かしていた手を止めて、こちらへ振り向いた。
「その現場に魔王様がいたことよ…」
「っ!?」
断片的な記憶ではあるが、それが真実だとするのなら…。
「もしかして、アリスがサキュバスの村を・・・?」
「…私の両親であろう、男女の横に立っていたのが、魔王様だったの」
「アリスは、そんなことするわけがっ…」
言おうとして、僕は口を閉ざした。
現状で真実にたどり着くのは無理だった。
「私も信じたくないわ、私が信じてきた魔王様が私の両親を…なんて」
アルマエルマも力なくそう言って、後に「この見ている映像だって、私のものかすら怪しいもの…」と付け加える。
「やっぱり、当事者に聞くべきだと思う」
そうだ、現状で全てを知っているであろうはアリスなんだから。
――――――「行くなルカ!!死ぬことになるぞっ!」
あのアリスの一言がひっかがっていた。
死ぬ、どうして…?
「魔王様に直接、聞くしかないわね」
「そのタイミングは、アルマエルマに任せるよ」
「今、すぐにでも行きたいわ」
「…ていうか、鍋大丈夫なの・・・?」
「え、あ、あぁーっ!!!!」
アルマエルマが台所を振り返ると、鍋から少しだけ黒い湯気が立ち上っていた。
そして、出来上がった料理は、黒いこげがところどころに混じったおかゆ。
一口食べてみると、本来のうまみと、苦味が口の中に広がった。
それでも、懸命に作ろうとしてくれただけで僕は嬉しかった。
「アルマエルマ、おいしいよ、ありがとう」
ご飯がうまいとかではなくて、アルマエルマが作ってくれるというだけで十分嬉しい。
それでも、しゅんっと落ち込んでいるアルマエルマ。
「こんなはずじゃ、なかったのにぃ…」
むーと口を尖らせて、僕の対面に座る彼女は、自分の作った料理を口に運んで、「にがぁ」と(>x<)←こんな顔をしていた。
それを何だかわいく思う。
「おいしいから気にしないでいいよ」
「うぅん…」
やっぱり納得のいかないアルマエルマなのだった。
「じゃあ、また今度作ってよ?」
「当たり前よっ、毎日でも作るわ」
そう言って、アルマエルマは自分の発言の意味に気付いて、頬を赤らめた。
「よろしくね」
でも、僕もそれについては大歓迎だった。
「それにしても、回復早いわねルカちゃん、昨日まで意識なかったのに…」
「僕は半分天使だからね、回復早いんだよ」
「あ、そうだったわね」
「あはは」と苦笑いするアルマエルマ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルマエルマとの食事を終えて、僕達は真実をを知るべく魔王城へと向かうのだったが。
僕の顔面は相変わらず、アルマエルマの豊満な胸に埋まってしまっていて、これからシリアスモードなのかギャグモードなのかいまいちわからなかった。
彼女は満足そうである。
魔王城へ着いて、魔王城へ入る時、アルマエルマは躊躇した。
それはそうだろう、彼女は今、四天王の一人ではないのだから。
「大丈夫だよ、僕がいるから」
アルマエルマと手を繋いで、魔王城を進む。その先には魔王である、アリスが待っていた。
隣にはたまもや、グランベリア、エルベティエも佇んでいる。
「アルマエルマ!戻ったきたのじゃな」
僕達二人を確認すると、たまもが花咲くような笑顔を見せる。
「もちろん、戻るのであろう、アルマエルマ」
「戻ってきたのね…」
エルベティエとグランベリアも笑顔を見せる。
僕達が構えていた反応とは少しズレていたため、僕はずっこけそうになった。
「てっきり追い出されるのかと…」
「そうね…」
僕とアルマエルマは顔を見合わせる。
「で、アルマエルマはどうしたいのだ?四天王に戻りたいのか?」
アリスが腕を組んで、アルマエルマに問う。
「私は…それよりもっ…」
その一言を聞いた瞬間、アリスは既にアルマエルマと衝突していた。
「なっ!」
僕は暴風に吹き飛ばされそうになるのを何とか踏ん張って耐えた。。
「そうか、では試験をしよう。お前が四天王に相応しいかっ!それが伝統であろう」
「突然何をするんですか魔王様…」
そのスピードごと受け止めたアルマエルマ。
力は互角なのか、その場から動くことはない。
「我はとてつもなく怒っている。そう、アルマエルマ、お前に対してだっ!!」」
アリスは強く叫んだ。
「私、私だって…!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
突然の出来事に反応は多少遅れてしまったものの、魔王様の攻撃を受け止めた。
これはもしかして…私を殺そうとしているの…?
「私だって、魔王様、いや、アリスフィーズっ!あなたに対して怒っている…!!」
きっと睨み返す。
ルカちゃんのおかげで踏みとどまっていた憤怒が当人を前にふつふつと湧き上がってきた。
私の両親を殺したであろう、アリスフィーズ。
知らぬ顔で今まで過ごしていた…!
そんな奴に今まで従っていた。
それが情けなくて、悔しくて。
「アルマエルマ、アリスやめて!!話し合いすらまだできてないんだぞ!?」
そんなルカちゃんの言葉は届かなかった。
今は目の前の獲物に復讐することしか頭にない。
「私の大切な人はもう渡さない、失わせない!!ルカちゃんは私のだっ!!!」
アリスフィーズと戦えばルカちゃんは悲しむかもしれないけど。
今だけは許してっ…。
「貴様ぁっ…!!!ルカは我のものだ。今まで築いてきた絆はお前なんかより深い、我こそがルカの隣に相応しいのだっ!!」
私とアリスフィーズは距離を取る。
「魔王様頭に血、上りすぎじゃぞ!?」
外野の四人は止めることもできず見守っているしかない。
だったら、ここで決着を着けよう。
邪魔もされないのなら。
「全力で行くっ!!」」
アリスフィーズが弾丸のようなスピードで迫り、振りかぶって突き出した拳を軽い身のこなしで交わして、そのまま巴投げをする。
「ぐっ」
相手の力をそのまま利用して地面を落としたため、すさまじい衝撃がアリスフィーズに襲ったはずだ。
息ができないのかゲホッゲホッと咳き込む。
「やはり、一筋縄ではいかないな…力も多少取り戻しているようだし」
「は、何を言って…」
その隙を突いて、アリスフィーズが、尻尾を横になぎ払う。
何とか距離をとって避けたものの、腕にそのまま巻きついてくる。
「ちぃっ…」
そのままじりじりと引っ張られていってしまう。
余裕の笑みを浮かべるアリスは。
「賭けをしよう。アルマエルマ、この四天王の試験に合格できたらルカとお前の交際を認める。だが、我が勝ったら、ルカのことを手放せ、かかわりを持つな、そして四天王を去れ」
「上等よっ…!」
負ければ私の居場所は完全になくなる。
私の存在する意味がなくなる。
死んだとしても、誰にも気付かれない…。
それが嫌なら、勝てばいい。
ルカちゃんと離れ離れになるぐらいだったら、勝つしかない…!