※この作品はもんむす・くえすと!を元にした二次創作であり、原作とは異なったり、改ざんしている部分がございます。ご了承の上、ご覧になってください
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目を覚ますと、僕はベッドに寝かされていた、先程もそんな感じで目を開けた気がするけど、おぼろげだった。
あれ、さっきまで誰かいなかったっけ…。
何か気配が隣に残っているような…。気のせいかな
起き上がると、今までの記憶が蘇るように脳裏へ映し出された。
そうか、僕はイリアスと戦ってたんだっけ。
最後にイリアスに救ってもらったような…。
それからどうしたんだろ…気絶して寝てたのかな。
すると、ドアが大きな音を立てて開かれた、
「ルカ!?ようやっと起きたのか!?」
犯人はたまもだったらしい。
僕を一目見ると、怪訝な表情を浮かべる。
それは、 怒っていいのか、安堵していいのか、喜んでいいのかよくわからないからだろうか。
それにしても、僕の治癒力は高いはずだし、寝てたとしても一日二日であろう、そこまで血相変えることなのだろうか…。
「お主が無事で、本当によかったのじゃ…。最悪の場合もあったのじゃぞ」
結局怒ることはせず、温かい眼差しを僕に向けて、傍に腰掛けた。
「僕どれぐらい寝てたの?」
「一ヶ月ちょっとじゃ…」
その言葉を聞いて最初は「あぁ、一ヶ月か」と単純に考えた。
しかし、はっきりとわかってくると…
「は、はぁ?!どうして起こしてくれなかったの!?」
がたっとベッドが揺れる
「睡眠ではないのじゃから、無闇に起こすことも出来ぬぞ…」
呆れ顔のたまもを見て、僕も「そりゃそうだね…」と呟く。
「一ヶ月か…何か変わったことあった?」
「イリアスの脅威が消え去って、幾分か暮らしやすい世界になったぞ」
たまもは僕が見て来れなかった一か月分の世界を知っているのだろう、とても弾んだ声でそう言う。
「ウチが説明するより、実際目で見た方が早いじゃろう。お主が救ってきた町や城を見に行くとよいぞ」
どうやら僕は重い病かかってるわけでもないし、大きな怪我をしているわけでもない。
一ヶ月間寝ていたわりには体は何不自由なく動くので、よっと軽い身のこなしでベッドを下りると、たまもはそそくさと扉を出て行こうとした。
「みなに伝えてくるのじゃ」
そうニッコリと笑ってから出て行った。
「僕もみんなに挨拶しにいかないとな」
たまもの後に続こうと扉を出ようとすると同時に、僕はとても強い衝撃を受けてベッドへ吹き飛んだ。
「ぐえっ」
何かが横から走ってきて体当たりしたようなのだが、扉から一番出ていた鼻に衝撃が集中して、案の定出血した。
「ルカ!!起きたのか?!怪我は!?何か体調わるかったり……血が出ているじゃないか!?一体どうした!?」
ベッドの一部分を血溜まりに変えつつ、僕はその人物がグランベリアだと気付いた。
何か言おうとするも、グランベリアはずがずがと部屋へ入ってきて、僕の肩に手を置いて揺らしまくる。
「無事なのか!?ルカっ、意識はあるのか!?」
僕は体全身を揺らされながらも、何とか意識を保っていた。
正直、揺れすぎて魂を落っことす所だった。
とりあえず、ティ、ティッシュ…。
鼻に手を当てても血が止まらなかった。
あれ、こういう時って下を向くんだっけ、上を向くんだっけ…。
てか今どっち向いているのかわかんないぃぃぃ…。
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それから数分して、グランベリアの手は止まって、僕の息の根も止まる寸前だった。
「と、とりあえず、お、ち、おち、と…落ち着いて」
「お前が落ち着け」
最終的に僕が落ち着く番だった。
「グラベリア、焦りすぎだって…。そこまで大きな怪我も病気もないし、この通りピンピンしてるから」
元気な姿を見せようと体を伸ばすと、寝ていたことで固まっていた筋肉がほぐれていって気持ちよかった。
「そ、そうか。色々とすまなかったな」
グランベリアは今更ながら自分にした行動が恥ずかしかったのか、頬を赤らめる。
タイムラグが随分と激しいご様子です。
「それにしても、ルカが無事でよかった…。世界の平和を取り戻してくれた勇者様が死んだなんて聞いたらな…」
逆に僕が死んでもいいとか、そういう風に思っていたのかもしれない。
それで世界が救われるのなら、とかね。
たまもの前でそんなことを言えば、説教の嵐であろう。
「取り残された者の気持ちを少しは考えぬかっ!」とかなんとか言いそうである。
「もう無理はするんじゃないぞ」
鋭い爪をしてても、僕の頭を撫でるその手はとても優しげでぬくもりがあった。
――母さん。
なんだかお母さんのことを思い出した。
そういえば、さっきお母さんに会ったような…。
はは、そんなはずないか、母さんはもういないし。
それでも、僕の幻想で母さんと会えたならそれはそれで素晴らしいな。
「ありがとうグランベリア。みんなを大切にするよ」
満足したように頷いたグランベリアは「みんなにも伝えてくるぞ」と残して出て行った。
その後も、アリスがグランベリアのように突撃してきたり、エルベティエに絡まれたり(いろんな意味で)して、やっとこさ魔王城を出て行き、みんなに挨拶しようとした時。
「あら、ルカちゃんじゃない、起きたの?」
その声は…と振り向くと、紫の色のロングへアーを風になびかせているアルマエルマがいた。
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