暗闇の中で光を掴んだような気がした。

それは意識の灯火、体中に力が巡っていく感覚。

薄っすらと目を開けると、そこには女性の顔があった。

心配そうに覗き込むその顔。

母さん…?

僕はホッと胸を撫で下ろした。だったらここは我が家だろう。

ゆっくりと目を閉じる。

そして、静かに話しかけた。


母さん、僕は今まで、旅をしてたんだよ。
初めて魔物を倒して、それからとっても強い魔物を仲間にして。
最初は本当に同行をするだけだったのに、たまに協力してくれたり

四天王と戦って、最終的には一緒にイリアスと戦ってくれたり。

そして、その強い魔物は 魔王だったり。

母さんの友達とも 会えたよ。


でもね、最後の戦いの後、僕は無理をしちゃって…。


―――――――――死んでしまったのかと思ってたんだよ

それをポツリッと呟くと、また眠気が襲ってきた。

頬に伝わる、一筋の微かな冷たさを感じるのを最後に。

また僕の意識は深遠へと落ちていった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ルカちゃんが薄っすらと目を開けて、私のことを「お母さん」と呼んだ時、

私の中には言葉に出来ないほどの温かさと、懐かしさと、切なさでいっぱいになった。

同時に、ズキリッと痛む頭の奥。


「…?」

その痛みを不思議に思いつつ、再び眠りに着いたルカちゃんを眺める。

眺めるだけでは我慢できず、頬に伝わる雫を拭い、頭を優しく撫でてあげると。

幾分か呼吸が安らいでいった。

あぁ、こんな気持ちになったのはいつ以来かしら。

私にも、いつか…。



――――――――――――――もんむす・くえすと! アルマエルマ編


一番とっつきやすい変わりに 

本当に仲良くなるのがとても難しいであろうアルマエルマ

「亡くしたモノを辿り物語」

近日本編開始予定