えっ・・・。
隙間へ入ったら、また八雲家の暖かさを感じられると思っていた。
光が見えないのは、紫達が寝てしまい、光が灯されていないだけだと思っていた。
しかし、落ちた先は以前にも見た事のある、大きな館の前だった。
「こ、紅魔館って言った…か?」
闇に包まれた幻想郷、人間の視界はなんとも無力なものだった。
「ってか、今、夜だろっ」
また、人喰い妖怪に襲われてしまう…!!
そう思うと、闇の中に、俺を狙っている妖怪がいるのかもしれないという恐怖心が沸いた。
背筋が凍り始める。
「紫は何をやってんだ・・・」
とりあえず、紅魔館にかくまってもらうしかないだろうな。
大きな門を叩いて人を呼ぶものの、中から出て来る気配がないというか、門と館の距離が大きすぎて声が聞こえるはずがない。
しかも、他の妖怪達に気付かれないようにするために大きな声で叫べるはずもなかった。
「もっと作り方考えろよ・・・」
闇に耳を澄ませると、吐息のようなものが聞こえて、俺の恐怖心は高ぶった。
「な、なんだ・・・また妖怪か!」
恐る恐る隣を見ると…。
闇でぼやけているものの、美鈴がすやすやと寝ているのを確認できた。
「お、驚かせやがって・・・」
な、なんだ美鈴かよ・・・。友人だから安心した・・・。
ふぅっと緊張とともに出てきた汗を拭う。
「って、美鈴かっ!!良かった・・・!」
近付いて美鈴に声を掛けると、寝惚けた彼女は立ち上がった。
「ん・・・、神無・・・さん?」
闇でも良く効く妖怪の目で俺を認知してくれた。
「あぁ、そうだよ、頼みごとがあるんだ、紅魔館へ通してくれないか!」
両手を合わせ、頭を下げて頼むと、あっさりと門を開けてくれちゃった。
「どぉーぞ・・・」
そんな簡単に開けていいもんなのか。
開けてくれなければ生きていけない俺が、こんなことを言うのもどうかと思うけど…。
門を開けるとともに、美鈴は寝てしまった。
「・・・ついてきてくれないのかよ・・・」
不気味な闇に包まれた庭を慎重に進み、紅魔館の大きな扉を開く。
見た目とは違い、軽い力加減で開いてしまった。
そこには、ホテルような大きなホールが広がっていた。
左右には大きな階段。
「あ、あのぉー誰かいませんかー?」
トボトボと紅魔館の中へ足を踏み入れ、行ったり来たりを繰り返していると…。
「あ、あらっ!?こんなところに人間が」
メイド服をした女性が、焦りながら階段を下りて来た。
「どどどうしてこんなところにいるんですか!」
「えっ、いや・・・紫の隙間でここに落されてしまいまして・・・それから美鈴に案内されて・・・」
女性は頭を抱える。
「また、あの門番ったら・・・」
「あの、ここで一晩泊めさせてくれないでしょうか・・・?色々と事情があるんですけど・・・」
じとーっと俺の瞳を睨みつけ、全身を見る。
「あなた、名前は?」
「白鳥神無です」
「んっ?・・・白鳥?」
「はい、そうです・・・けど」
もしかしたら、この女性は俺の先祖を知っているのだろうか。
と少しだけ期待を抱いてしまう。
「・・・このままほっといて食われたとしても、私はなんとも思わないのですが・・・ちょっと気に掛かることがあるので」
「気になること?」
「その、強力な力を持った紫さんがどうして、あなたをここに落したのかという疑問も入ってますけどね」
「あぁ・・・なるほど」
「・・・この館の主人に通してあげますから」
淡々とした口調で女性は俺に来るよう指示をした。
「あの、あなたの名前は?」
「そうでした、名乗っていませんでしたね。私は十六夜咲夜です」
そう、営業スマイルを見せてから歩み始めた。
なんか、とっつきにくい人だってことは理解できた。
「この部屋に主人はおりますので、くれぐれも襲われないように」
最後のは、そうだとしても言ってほしくなかった・・・。
緊張と不安が更に渦巻き始めながらも、俺は、他の部屋とは柄の違った扉を静かに開く。
慎重に部屋に入ると、突然扉は閉まった。
「あ、あのぉ・・・」
大きなベッドと大きな棚が置いてある、豪華な部屋。
窓に腰掛ける一人の少女を見つけた。
「あなたが侵入者?」
「は、はい・・そうです」
襲われないように、腰を低くして、絶対・・・この人の怒りをかってしまうようなことのないように・・・!
「話は聞いているわ、紫に落されたーとかなんとか」
「っ・・・」
先ほど、咲夜は俺の目の前にいたはずなのに、どうして話が通っているんだ?
さすが・・・この巨大な館の主人だ・・・。
館で起こることはすべてお見通しってわけか。
「まぁ、あたしも少しだけ興味あるし・・・今日は泊まっていってもいいわ」
ニヤリッと唇を微かにあげたのが気になったというか、不気味に思った。
「あ、ありがとうございます!!」
それでも、一応、この日を超えることができるのなら甘えさせてもらおうと思って。
刺激しないように、俺は土下座した。
「下がっていいわ」
「はいっ!」
とりあえず、命の保証ができたことに安心して、部屋を後にしようとする。
でも、身元も何も知らない人物を、自分の館に置こうとなんてことどうしてするのだろうか。
そんなことをするのは…。
すごくオープンな人か、俺に何かしようと企んでいるやからだろう。
「あっ、ちょっとまって…俺どこの部屋に泊ま…」
館の主に振り向いた瞬間、光は消えた。
それは切れ目の闇ではない、本当の深遠の闇。
隙間へ入ったら、また八雲家の暖かさを感じられると思っていた。
光が見えないのは、紫達が寝てしまい、光が灯されていないだけだと思っていた。
しかし、落ちた先は以前にも見た事のある、大きな館の前だった。
「こ、紅魔館って言った…か?」
闇に包まれた幻想郷、人間の視界はなんとも無力なものだった。
「ってか、今、夜だろっ」
また、人喰い妖怪に襲われてしまう…!!
そう思うと、闇の中に、俺を狙っている妖怪がいるのかもしれないという恐怖心が沸いた。
背筋が凍り始める。
「紫は何をやってんだ・・・」
とりあえず、紅魔館にかくまってもらうしかないだろうな。
大きな門を叩いて人を呼ぶものの、中から出て来る気配がないというか、門と館の距離が大きすぎて声が聞こえるはずがない。
しかも、他の妖怪達に気付かれないようにするために大きな声で叫べるはずもなかった。
「もっと作り方考えろよ・・・」
闇に耳を澄ませると、吐息のようなものが聞こえて、俺の恐怖心は高ぶった。
「な、なんだ・・・また妖怪か!」
恐る恐る隣を見ると…。
闇でぼやけているものの、美鈴がすやすやと寝ているのを確認できた。
「お、驚かせやがって・・・」
な、なんだ美鈴かよ・・・。友人だから安心した・・・。
ふぅっと緊張とともに出てきた汗を拭う。
「って、美鈴かっ!!良かった・・・!」
近付いて美鈴に声を掛けると、寝惚けた彼女は立ち上がった。
「ん・・・、神無・・・さん?」
闇でも良く効く妖怪の目で俺を認知してくれた。
「あぁ、そうだよ、頼みごとがあるんだ、紅魔館へ通してくれないか!」
両手を合わせ、頭を下げて頼むと、あっさりと門を開けてくれちゃった。
「どぉーぞ・・・」
そんな簡単に開けていいもんなのか。
開けてくれなければ生きていけない俺が、こんなことを言うのもどうかと思うけど…。
門を開けるとともに、美鈴は寝てしまった。
「・・・ついてきてくれないのかよ・・・」
不気味な闇に包まれた庭を慎重に進み、紅魔館の大きな扉を開く。
見た目とは違い、軽い力加減で開いてしまった。
そこには、ホテルような大きなホールが広がっていた。
左右には大きな階段。
「あ、あのぉー誰かいませんかー?」
トボトボと紅魔館の中へ足を踏み入れ、行ったり来たりを繰り返していると…。
「あ、あらっ!?こんなところに人間が」
メイド服をした女性が、焦りながら階段を下りて来た。
「どどどうしてこんなところにいるんですか!」
「えっ、いや・・・紫の隙間でここに落されてしまいまして・・・それから美鈴に案内されて・・・」
女性は頭を抱える。
「また、あの門番ったら・・・」
「あの、ここで一晩泊めさせてくれないでしょうか・・・?色々と事情があるんですけど・・・」
じとーっと俺の瞳を睨みつけ、全身を見る。
「あなた、名前は?」
「白鳥神無です」
「んっ?・・・白鳥?」
「はい、そうです・・・けど」
もしかしたら、この女性は俺の先祖を知っているのだろうか。
と少しだけ期待を抱いてしまう。
「・・・このままほっといて食われたとしても、私はなんとも思わないのですが・・・ちょっと気に掛かることがあるので」
「気になること?」
「その、強力な力を持った紫さんがどうして、あなたをここに落したのかという疑問も入ってますけどね」
「あぁ・・・なるほど」
「・・・この館の主人に通してあげますから」
淡々とした口調で女性は俺に来るよう指示をした。
「あの、あなたの名前は?」
「そうでした、名乗っていませんでしたね。私は十六夜咲夜です」
そう、営業スマイルを見せてから歩み始めた。
なんか、とっつきにくい人だってことは理解できた。
「この部屋に主人はおりますので、くれぐれも襲われないように」
最後のは、そうだとしても言ってほしくなかった・・・。
緊張と不安が更に渦巻き始めながらも、俺は、他の部屋とは柄の違った扉を静かに開く。
慎重に部屋に入ると、突然扉は閉まった。
「あ、あのぉ・・・」
大きなベッドと大きな棚が置いてある、豪華な部屋。
窓に腰掛ける一人の少女を見つけた。
「あなたが侵入者?」
「は、はい・・そうです」
襲われないように、腰を低くして、絶対・・・この人の怒りをかってしまうようなことのないように・・・!
「話は聞いているわ、紫に落されたーとかなんとか」
「っ・・・」
先ほど、咲夜は俺の目の前にいたはずなのに、どうして話が通っているんだ?
さすが・・・この巨大な館の主人だ・・・。
館で起こることはすべてお見通しってわけか。
「まぁ、あたしも少しだけ興味あるし・・・今日は泊まっていってもいいわ」
ニヤリッと唇を微かにあげたのが気になったというか、不気味に思った。
「あ、ありがとうございます!!」
それでも、一応、この日を超えることができるのなら甘えさせてもらおうと思って。
刺激しないように、俺は土下座した。
「下がっていいわ」
「はいっ!」
とりあえず、命の保証ができたことに安心して、部屋を後にしようとする。
でも、身元も何も知らない人物を、自分の館に置こうとなんてことどうしてするのだろうか。
そんなことをするのは…。
すごくオープンな人か、俺に何かしようと企んでいるやからだろう。
「あっ、ちょっとまって…俺どこの部屋に泊ま…」
館の主に振り向いた瞬間、光は消えた。
それは切れ目の闇ではない、本当の深遠の闇。