途端、轟音を発して雷が炸裂した。
会話をしているうちに、どす黒い雲に青空が覆われてしまう。
「ま、まずいっ!、ネコマタとパパと風は私の腕に、リオは私の足に掴まれっ!お前の腕力ならなんとかなるだろう」
すぐに頭を働かせて状況を判断したリオは大きくうなずいた。
「任せておけ、落ちた場合もきちんとキャッチする」
アヤが言うように、柳とメコと風はアヤに抱かれるような姿勢になった。
「とんだ瞬間きちんと掴めよ」
「任せておけ」
風を切るような音が響き、羽が一斉に広く開いた。
「行くぞっ!!」
空気を切り裂くように飛び始めたアヤの足には、しっかりとリオが捕まっていた。
「少し風が痛く感じるだろう、我慢してくれ」
柳はアヤの胸の中でも、風とメコを庇う形に立ち、切り裂くような風を防いでいた。
「このまま上昇し、すぐに我が家へ辿り着くは…ず…」
柳達は顔を進行方向に向けないようしていた。
向けてしまえば肌や眼球さえも傷つけてしまうと思うほど強い突風が降りかかってくるのだ。
リオも目を開けられない状態。
そんな中、唯一進行方向が見えるアヤは言葉を失っていた。
「ど、どうしたんだアヤ…」
段々と抵抗が緩やかになってくるのを感じ取り、柳もゆっくりと振り向く…と。
家族達の家は、どす黒く燃え盛る炎に包まれていた。
家だけではなく、野菜や周りの木々にも燃え移り山火事を起こしていたのだ。
その状況を目の当たりにした五人は言葉を失って、移すべき行動を取れないでいた。
「…うそ…だろ…、アル!アルを助けに行かなきゃ!!!アヤ、行ってくれ」
「無理だ」
アヤは首を横に振った。
「どうして、無理なんだよ!?アルを、家族であるアルを助けなきゃ!!」
そう叫ぶものの、アヤは決して家族達の家に近づこうとはせず、むしろ遠ざかっていた。
「何やってんだよ、アヤ!あそこにはアルがいるんだぞ!?助けに行かなきゃっ!!…」
「例えあの場へ降りられたとして、山火事はすぐに燃え移り、私達も丸こげになってしまうぞ」
正論であった。
何とか助けに行きたかった、でも…。
「な、なんで…どうして…」
突風が吹き荒れる中、アヤはドラゴンという種族の力を振り絞って、その場へ佇んだ。
「悲しいことだが…私達が助かるには、山火事が収まるまで待つしかないんだ…」
アヤは悲しそうに、言いづらそうに呟いた。
「なんでだよ…なんで…。雨が降ってくれないんだ…全然火事が収まらないじゃ、ないか…」
風ばかりが吹き荒れるためか、炎は秒単位で激しさを増していく。
「下へ行こう、ここにいてはさすがの私でも身が持たない…」
これが最善の策なんだ、そう言わんばかりの沈黙。
アヤは否定をしない五人を感じ取り、すばやく下降していった。
否定したかった、誰もがアルを早く助けに行きたかった…。
しかし、それはできるはずがなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
山のふもとへ戻ると、赤く燃え上がる一つの光が見えた。
それは家族達の家を、思い出を、ぬくもりを、温かさを焼き尽くす
残酷な光だった。
会話をしているうちに、どす黒い雲に青空が覆われてしまう。
「ま、まずいっ!、ネコマタとパパと風は私の腕に、リオは私の足に掴まれっ!お前の腕力ならなんとかなるだろう」
すぐに頭を働かせて状況を判断したリオは大きくうなずいた。
「任せておけ、落ちた場合もきちんとキャッチする」
アヤが言うように、柳とメコと風はアヤに抱かれるような姿勢になった。
「とんだ瞬間きちんと掴めよ」
「任せておけ」
風を切るような音が響き、羽が一斉に広く開いた。
「行くぞっ!!」
空気を切り裂くように飛び始めたアヤの足には、しっかりとリオが捕まっていた。
「少し風が痛く感じるだろう、我慢してくれ」
柳はアヤの胸の中でも、風とメコを庇う形に立ち、切り裂くような風を防いでいた。
「このまま上昇し、すぐに我が家へ辿り着くは…ず…」
柳達は顔を進行方向に向けないようしていた。
向けてしまえば肌や眼球さえも傷つけてしまうと思うほど強い突風が降りかかってくるのだ。
リオも目を開けられない状態。
そんな中、唯一進行方向が見えるアヤは言葉を失っていた。
「ど、どうしたんだアヤ…」
段々と抵抗が緩やかになってくるのを感じ取り、柳もゆっくりと振り向く…と。
家族達の家は、どす黒く燃え盛る炎に包まれていた。
家だけではなく、野菜や周りの木々にも燃え移り山火事を起こしていたのだ。
その状況を目の当たりにした五人は言葉を失って、移すべき行動を取れないでいた。
「…うそ…だろ…、アル!アルを助けに行かなきゃ!!!アヤ、行ってくれ」
「無理だ」
アヤは首を横に振った。
「どうして、無理なんだよ!?アルを、家族であるアルを助けなきゃ!!」
そう叫ぶものの、アヤは決して家族達の家に近づこうとはせず、むしろ遠ざかっていた。
「何やってんだよ、アヤ!あそこにはアルがいるんだぞ!?助けに行かなきゃっ!!…」
「例えあの場へ降りられたとして、山火事はすぐに燃え移り、私達も丸こげになってしまうぞ」
正論であった。
何とか助けに行きたかった、でも…。
「な、なんで…どうして…」
突風が吹き荒れる中、アヤはドラゴンという種族の力を振り絞って、その場へ佇んだ。
「悲しいことだが…私達が助かるには、山火事が収まるまで待つしかないんだ…」
アヤは悲しそうに、言いづらそうに呟いた。
「なんでだよ…なんで…。雨が降ってくれないんだ…全然火事が収まらないじゃ、ないか…」
風ばかりが吹き荒れるためか、炎は秒単位で激しさを増していく。
「下へ行こう、ここにいてはさすがの私でも身が持たない…」
これが最善の策なんだ、そう言わんばかりの沈黙。
アヤは否定をしない五人を感じ取り、すばやく下降していった。
否定したかった、誰もがアルを早く助けに行きたかった…。
しかし、それはできるはずがなかった。
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山のふもとへ戻ると、赤く燃え上がる一つの光が見えた。
それは家族達の家を、思い出を、ぬくもりを、温かさを焼き尽くす
残酷な光だった。