朝食を四人で囲んで食べている。

まるで、昔のあの頃からは想像もできない「温かさ」がそこにはあった。

「け、結局あの話はどうなったんでしょうか」

「まぁ、気付いた人から起こしに行くって事でいいでしょ…」


「ところで、パパ、聞きたいことがあるのだが」


「ん、何?」

アヤはメコを指差す。

「ずっと思っていたのだが、そこのネコマタとパパはどういう関係なのだ?」

困惑の色を見せるアヤと、「今頃かよ」と呆れ半分な柳。

しかし、これは絶好のチャンスではないか?(主に二人に差をつけること)と考えたメコは目を光らせた。

「ふふん、聞いて驚かないでください!柳さんは私を嵐のよるに救ってくれた大恩人なのです。ですから、私と柳さんは運命で結ばれているといっても過言ではありません」

「そうだね、あの時は本当の偶然が重なったし、僕をここまで成長させてくれたのはネコマタなんだ。だから、この人はとても大切な人なんだ」

「大切な人…。もしかして、パパとネコマタは結婚していたり、するの…か?」

「はいっ♪」

満面の笑みで頷くネコマタ。

果たして、世間一般でいう結婚がなされているのかは疑問である。


「な、なん…だと…!?」

「い、いやぁ、正式な結婚ではないと思うけど…。違ってはないよ」

「せ、正式ではないのだな、ほっ…」

「なんですかその、ほって!」

ネコマタがくってかかるが、華麗にスルーされた。

((正式の結婚ではないのなら、後々堕とすことも可能であろう、まだ手はある))

朝食を食べながら、そんなことを計画しているアヤであったが、そんなことも露知らず、柳は農業について考え始めた。

「おはよう!農業を手伝いにきたぜ」

玄関を蹴っ飛ばして入ってきたのはリオであった。

「おはようリオ、今行くよ」

僕が声をかけると、リオは少しだけ黙り込み。

「あぁ、柳、さ…少しだけ話があるんだ、いいか?」

「あ、あぁ、いいよ」

いつになく真剣な表情をしたリオの後ろへついていく。

家を出る時、食事途中であった三人は不安の色を見せていたが、柳は微笑んで安心を促した。

家の裏手へ回ると、オーガは振り返った。

言いにくそうに間をあけた後。

「俺、もうそろそろここを出て行こうと思ってるんだ」

と、少し俯き加減で言うリオ。

「そ、そうか、…理由を聞かせてくれないかな?」

何となく予想ができたのか、柳はそこまで驚きはしていない。

「…俺、思ったんだ…。あのドラゴンの母親が来て、俺よりずっと強い種族が柳の隣にいるのなら、俺はもう役割を終えたんじゃないかって…」




「柳を守っていくっていう役割を、さ」



「もう、ここにいる必要だって、ないかもしれない」



間。
柳は静かに口を開いた。


「僕は確かに、「リオには他の男性と結ばれて、幸せになる権利があるからここにいていいのか?」という疑問を持ったことはあったんだ」


「でもさ、そんな理由で去っていくなら僕は全力で止めさせてもらうよ」

「えっ?」


リオの瞳は揺れていた。

「家族ってさ、料理したり、家事したり。そういう風に過ごしていくけど、役割とか必要とかそういうのを求めるなんてことはないんだよ」

「ただのんびり過ごしているだけでいいんだよ。リオも同じ。僕達にとってリオは家族なんだ。役割終えたとか、必要がなくなったとかそういうのは関係ないんだ。ここにいてくれるだけで、いいんだよ」



「だから、そんな悲しいこと言わないでよね」




「ははっ…柳はいつも、優しくて、強いな」


真剣な表情が一変して、柔らかな微笑が零れていたリオ。

「どこかで自分の居場所を探していたのかもしれない、そう言ってもらえることを期待した自分がいたのかもしれない…な」

目を瞑り、傍に見える青空へ顔を向ける。

「俺って卑怯だなぁ」



「そういう時もあるさ、さ、いつもに戻ろう」


そう言ってリオの手を引いて


柳達は戻っていった。
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追記
リアではなくリオでしたw修正しました。
後ネコマタ9話ではなく 8話でしたね。