「さすらいも、何かクエストやるの?」
初級クエスト、中級クエスト、上級クエスト。
あんまり戦いを好まない俺でも、生活費を稼ぐとしてはやるしかないってことだな・・・。
「アツキは普段、どんなクエストをやっているのじゃ?」
「・・・農業の手伝いとか・・・牛の世話とか」
「そのようなクエストばかりを受けていたのか・・・」
ぼけーとしたさすらいが言った。
「ふむ、では共にクエストを受けようではないか」
「どうしたん、急に?」
「なんとなくじゃ、これを受けてみようではないか」
さすらいが指差したのは上級クエストの、ドラゴン討伐だった。
「…まぁ、さすらいが頑張ってくれればいいか」
「クエスト始まり前から我に任せる気なのか・・・」
「討伐・・・なになにー、群れからはぐれたドラゴン族の竜が近くの洞窟に住み着いてしまったと」
「そうじゃ、この町の者を危険から救うためと思えば、討伐ができるじゃろう」
「…なんで、さすらいそのことを」
「お主を見ていればなんとなくわかるのじゃ、さぁていくかのう」
「ま、待ってくれ、連れの者に伝えていかなきゃ」
「ふむ、我は待っているのじゃ」
「ありがと」
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宿屋へ向かうと、魔王はすやすやとベッドで寝ていた。
「疲れてたのか…。置手紙は残しておくか」
魔王は魔王で、慣れない旅で疲れが溜まっているのだろう。
紙にクエストの情報と位置を書いて、俺は宿屋を出た。
「早かったのぅ」
「連れは疲れて寝ていたよ、俺達二人が行こう」
「わかったのじゃ」
魔王がいればもっと安心だったけど、さすらいも頼りになるからな。
…普通は俺が頼られなければいけないような。
依頼掲示板に貼られている紙を取って、近くの洞窟へと向かった。