回想はいつもより長かった。
「私は、小さい頃からここにいるんだ」
赤い瞳が光る。
「こんな所に・・・・?」
「うん、私は外に出ると、なんでも壊しちゃうからって」
なんでも、壊してしまう・・・・。
「だから、ずーっと、ここにいるんだ。あまり、誰もこない・・・ここで」
その時、僕と幼い自分も同じように感じていたはずだ。
「・・・・・僕の妹と・・・同じ?」
そう。その言葉を。
「・・・・ちょっぴりね」
「でもね、時々、お姉ちゃんが妖怪とか、人間とかをここに連れてくるんだ」
「へぇ・・・・」
「連れてきた人間と妖怪が、私を見るたびに、怖い顔をして・・・・・・・。私はそれが嫌だったの」
「なんで、そんな顔するのって。私は遊びたいだけなのに・・・なんで・・・って・・・」
「うん・・・」
「だから、私はその顔を壊していったの。そして、それが快感になって、さっきまで、私は君を壊そうとしてたの」
・・・では、幼い自分の対処は、意外と正しかったということか・・・。
「でも、主は怖い顔しないで、私に平然と話しかけてくれた・・・。私、それがすごく嬉しかった」
幼い自分は難しい顔をして、こう答えた。
「・・・・だって、フランは怖くないし。どちらかというと、綺麗だよ」
「ふぇ・・・?」
灯火が放つ光から、黄色の髪が輝いている。
赤い目も、よく見れば美しい。
「僕は、そんなにフランが怖いとは思わないし・・・それに、妹と同じなら、なおさら、大切にしたいって思うな」
フランは嬉しそうに喜んだ。
「ありがとう・・・本当にありがとう」
心の闇が解き放たれたかのように、フランは泣き出してしまった。
「えっええ・・・だ、大丈夫?」
自分は、背中を優しくさすってあげていた。
「うん・・・」
「ねぇ、主は・・・現実の世界に行っちゃうの?」
「うん・・・妹の病気を治すために」
「そ・・・・そうなんだ・・・」
少し落ち込み気味に、フランが返す。
「だけど、フランと出会ったことは、絶対・・忘れないから、だから・・・きっと・・・戻ってくるからね」
「うん・・・それまで、待ってる」
輝く笑顔を浮かべた。
そして。
―――――――――――――
end
確かに、記憶を取り戻したが、まだ、疑問が残っている