「しょうがない・・・で、しょうが? ・・・あははっ確かに!」


相手も理解したのか、同じように笑っていた。


「ね?こういうほうが楽しいでしょ。そんな一人が楽しむより、ずーとマシだよ!」


反応はあまりよろしくないようで。


「じゃあ、僕の夢を聞いて欲しいな」


「うん・・・わかった」


返事に困ったようだが、何を思ったのか、耳を傾けることにしたのだ。



僕はその後、一人でしゃべり続けたのだ。暗闇の中、たった二人。


恐怖も感じず、動じず。 


「僕の妹はね、二歳の時から妖怪の毒で、寝込んでるの・・・。だから・・・僕はそれを治したいんだ・・・!」


「へぇ・・・」


あまり面白くなさそうに相槌を打つ。


「妹はね、いつも言ってるんだ。病気が治ったら・・・絶対お兄ちゃんと一緒に、人間の里から出て、一緒に遊ぶって」


それから、相槌がなくなった。


「その時、僕は医者になるって決めたの・・・。妹の病気を治そうって。君には、お姉さんとか・・いないの?」


「いるけど?」


「そのお姉さんが病気になったら、君はどう思う?」


「・・・・・、そのまま死んでほしいって思う・・・かな・・?」


残酷なことを口にする。


「でも、君のお姉さんのおかげで、僕と君は今ここで話せてるんだよ?だったら、お姉さんに感謝しなきゃいけないと思う」


「うん・・・」


「それに、お姉さんが病気になって死んじゃったら、君に会いにくる人なんて、いないかもしれない。この館だって、一緒になくなっちゃうかもしれない」


「う・・・ん・・・」


幼い自分は、意外と知的だったのだ。 「殺し合い」という言葉は、あまり聞かないから、知らなかっただけなのだろうか。


「じゃ、じゃあ・・死んでほしくないかな・・・・?」


「ね。僕も同じ、気持ち、でも君はまだ、マシなほうだと思う」


「えっ?」・・・と驚きを見せる。表情は少ししか見えない。


「お姉さんがいて、パーティーもしてて、メイドさんとか・・いっぱいいるじゃん・・・」


「うん・・・そうだけど・・・?」


相手は何のことか、よくわかっていない。僕もあまりわかっていないが。


「もう・・・妹のお見舞いへ行くの。僕だけなんだよ・・・。僕だけ・・・」


「「えっ・・・?」」


僕とフランは、同時に聞き返した。


end