記憶の中で見た時から、気になっていたこの館。


何かに引き寄せられた・・というか。根拠はあまりわかっていないが、博霊神社に行く前に、寄ってみたかった。


門の前で、時計台を見上げると、針は六時を差していた。


「不思議な館だ・・・」


じっと見ていると、頭が少し痛む。


何か、思い残しの類があるのだろうか。後日、調査してみるべきか・・?


それにしても、この館には、窓が少ないように見えるのだが・・。


「何か御用ですかー?」


「うわぁ!」


門のすぐ近くから、中国っぽい服装をした、身長の高い女性が声をかけてきた。


「ここって・・人が住んでたんだな・・・」


「侵入してくるかと思って、攻撃の構えしていたのに、ボケッーとしているもんですから」


「あ・・あぁ、いや、なんでもない。侵入する気もない」


「じゃあな」と去ろうとしたところ、誰かに手を掴まれた。


「待て、お前、今ここで何をしていた?」


身長の高い、メイド服を着た女性が出てきた。


「何にもしてないさ・・・。ただ、時計台を眺めていただけ」


「・・・怪しいな、こちらを向け」


言われるがまま、女性の方を振り向く。怪しまれることはしていないから、躊躇することもない。


「咲夜さん、私も見ていましたが、何もしていませんでしたよ」


「・・・・・・・・」


「咲夜さん・・・?」


もう、行っていいか・・・?


「お前は・・・・・・」


僕の顔をじっと見つめて、顔をしかめる。



「そう、そうか・・・、悪い、もう行って良いよ」


なぜか、口調が緩んでいる。


「はぁ、じゃあ・・・」


一体・・なんだったんだ?


まぁいいや・・。


博霊神社まで、まだ距離はあるな。





「メイリン、今日は久々に仕事してたみたいね」


「久々って・・・・でも、いきなりどうしたんですか?」


「次期にわかるわよ。それよりメイリン、次あの子がここに来たときは、快く迎えて」


「は・・・はい」


end

まだまだ謎が多い、天田主と幻想郷との関係