どれくらい、歩いただろうか。


夕日も落ちて、真っ暗闇に体を溶かしている。


自分が歩いているのは、まだ都会で、人が多い。


見つかったら、施設に連れて行かれるかもしれない。


だから、歩いた。



誰も、自分を知らない、遠くの場所へ行きたいから・・・。





闇がまだ、日本を覆っている頃、大きな、人通りの少ない道へ出た。


ここで・・・休もう。


見つからないように、路地裏へ隠れ、そして、僕は眠りについたのだ。


夢の中での出来事が、あまりにも美しすぎて、現実が、灰色にしか見えない。