これは夢。火をつかわない動物を檻の外からみてる休日


 カマキリが我が子を食べる畑では銀行員と農夫が笑う


 地下室でつめたく冷えたじゃがいもの芽を摘む母の背に消える夕 


 夏地獄。皮一枚でつながった鱧を食べてはあしたを生きる


 牢獄で魚の骨をしゃばしゃばと喰らう鍵屋が消えた雨の日


 星ヲミル魚ノ脂ハジケレバ喰ワレテ死ヌノモイイカモシレナイ


 葬式に死からの時間長ければ長いほど生臭くなる寿司


 サーカスのテントを畳むすばやさを葬式饅頭食いながら見た


 血だらけで死にゆく子牛忘れてもなまこの肌を忘れぬ女


 そのくちを開き味わう夢をみて音をたてずに風上に立つ



 
kk

  食うものは食われる夜 (単行本) 蜂飼耳